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信託財産について

信託財産について

 信託財産とは、委託者が有する財産が受託者に預けられますが、その預けられた客体そのものを信託財産といいます。信託財産は何でもかんでもその客体にすることはできず、一般的には金銭、動産、不動産、有価証券などの金銭的価値のあるものがその客体となります。借金などの消極財産や、銀行預金債権(譲渡が禁止された債権であるため)、年金受給権(委託者の一身専属的な権利のため)は信託財産にすることはできません。

 

 なお、上記のとおり、消極財産は信託財産にできませんが、委託者が有する債務を受託者に引き継がせたい場合に、信託契約とは別に債務引受契約を行い、債権者の同意を得れば実質的に債務も信託ができるケースもあります。

 

 

信託財産の範囲について

 信託財産の範囲については、信託法に次のような規定があります。

 

 信託法16条 信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産

 

 このような規定となっているので、例えば、信託財産を担保して金融機関から金銭の借り入れを行った場合、その借入金も信託財産を構成することになります。また、受託者が信託された不動産を売却して、その不動産が金銭へと変形した場合も、その変形物も信託財産を構成することになるのです。

 

 

信託財産の特定、公示方法、信託財産目録について

 信託の設定を行う際には、どのようなものが信託財産になるのかを明確にしなければなりません。(信託財産の特定)信託契約書を作成するケースでは、通常、信託財産の特定を図るため、信託財産目録を作成します。この信託財産目録は必ず必要というわけではありませんが、信託する財産が複数ある場合は、信託財産目録を信託契約書につなぎあわせて添付するとよいでしょう。

 

 次に信託財産の公示についてです。信託法には次のような規定があります。

 (信託財産に属する財産の対抗要件)
信託法14条 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。 
 

 第三者に対抗することができないとは、信託財産が不動産である場合、その不動産が信託の設定を受けているということを委託者・受託者以外の第三者に主張することができないということです。つまり、信託設定の登記をしないと信託された不動産を受託者において安全に運用管理できないことになります。また、信託財産が不動産の場合、その信託設定の登記は、受託者の分別管理義務ともなりますので、やはり登記手続きが必要になります。

 

 

信託財産の追加について

 信託契約を締結した後に、信託財産を追加したい場合は、委託者と受託者との合意があれば信託財産の追加は可能となります。これは追加する財産が金銭であろうと不動産であろうと可能です。

 

 金銭を追加したい場合は、信託契約書にいつでも金銭の追加信託可能という趣旨の文言があれば、信託契約書の変更手続きを取らずに、受託者が管理する預金口座等で追加的に金銭管理を行えばよいということになります。

 

 不動産を追加したい場合は、信託契約書の変更と信託設定の登記が別途必要になります。金銭より不動産のほうが信託財産の追加の場面では厳格な手続きが必要になるということです。

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