トップページ > 2024年度法改正-相続時精算課税制度の申告に必要な書類と書き方
2024年度法改正-相続時精算課税制度の申告に必要な書類と書き方
生前贈与を行うにあたり相続時精算課税制度を選択する場合、受贈者は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに必要書類を揃えて贈与税の申告を行わなければいけません。ここでは、相続時精算課税制度の申告に必要な書類と書き方について説明していきます。
相続時精算課税申告書の添付書類
60歳以上の親や祖父母から※18歳以上の子や孫に生前贈与を行う場合、相続時精算課税制度を利用することができます。生前贈与を行った人が亡くなった場合、贈与財産と相続財産の合計額から相続税額を算出し納めなければなりません。このとき、すでに納入済みの贈与税を精算することになるため、相続時精算課税という名称が付いたのです。
※令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」
令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度はスムーズな早期資産移転を促進する性質を持つにいたりました。従来、生前贈与された財産には高い税率がかけられていたため、せっかく若いうちに資産移転を受けても、受贈者である子や孫は高額な贈与税負担を受け入れる必要があったのです。今回の法改正はこのような現状を改善する目的があるとされています。
相続時精算課税申告に伴う添付書類一覧
相続の開始に伴い、生前贈与の受贈者は暦年課税か相続時精算課税のいずれかを選択しなければなりません。相続時精算課税を選んだ場合、贈与があった翌の2月1日から3月15日までに所轄税務署に申請を行う必要があります。申請時に提出する書類および添付書類は以下の通りです。
【申請書類】
相続時精算課税選択届出書
【添付書類】
- 受贈者が贈与者の子や孫などである場合:受贈者の氏名・生年月日・贈与者の子や孫であることがわかる受贈者の戸籍謄本または抄本など
- 受贈者が※関連法に基づく特例事業受贈者であり1に該当しない場合:受贈者の氏名・生年月日・贈与により特例受贈事業用資産を得たことがわかる書類(※関連法「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」)
- 受贈者が※関連法2に基づく特例経営承継受贈者であり1に該当しない場合:受贈者の氏名・生年月日・贈与により特例対象受贈非上場株式などを得たことがわかる書類(※関連法2「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」)
◆マイナンバー記載の書類を提出する場合は、マイナンバーカードなどの本人確認書類の提示あるいは写しの提出が必要です。
※国税庁ページ参照
相続時精算課税・贈与税の申告書類の書き方
相続時精算課税を選択した場合、相続時精算課税にまつわる届出書と贈与税の申告書を提出しなければなりません。
相続時精算課税選択届出書
国税庁ホームページから「相続時精算課税選択届出書」の書式をダウンロードすることができます。日付・氏名・住所・贈与者との続柄・所轄税務署名を記入したら、項目1から3について記入およびチェックをしていきましょう。
◆項目1「特定受贈者に関する事項」
受贈者の氏名・住所・生年月日を記入。
◆項目2「年の途中で特定贈与者の推定相続人又は孫となった場合」
該当する場合は、推定相続人または孫となった理由と時期を記入。
◆項目3「添付書類」
相続時精算課税選択届出書に添付する書類にチェックを記入。相続時精算課税の届出に伴う添付書類は以下の通り。
- 贈与者と受贈者の関係がわかる戸籍謄本など
- 受贈者の戸籍の附票の写しなど
- 贈与者の住民票の写しなど
- 贈与者の戸籍の附票の写しなど
贈与税の申告書第二表
贈与税の申告書は第一表・第二表とも作成・提出する必要があります。先に第二表を作成し、続いて第一表に移るとスムーズです。まずは第二表に受贈者の氏名を記入し、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」に該当する場合のみチェックを記入します。
◆特定贈与者の住所、氏名、申告者との続柄、生年月日
贈与者の氏名・住所・生年月日などを記入。
◆「種類」「左の特定贈与者から取得した財産の明細」
「種類」:土地や家屋・事業用資産・現金・預貯金などの種別を記入。
「左の特定贈与者から取得した財産の明細」:贈与を受けた財産ごとに必要事項を記入。
◆財産の価格の合計額(課税価格)
贈与を受けた財産の合計額を記入。
◆特別控除額の計算
2,500万円か財産価格のいずれか少ない方を記入。
◆翌年以降に繰り越される特別控除額
贈与額が2,500万円未満のとき、翌年に繰り越される額として記入。
贈与税の申告書第一表
受贈者の氏名・住所・生年月日・所轄税務署名・マイナンバーなどを記入します。
◆暦年課税分
相続時精算課税を選択するため記入不要。
◆合計金額記入欄
贈与された財産評価額の合計を記入。
◆課税価格の合計額欄
第一表⑪に記入した金額は第二表㉑「財産の価格の合計額(課税価格)」に転記。
第一表⑫に記入した金額は第二表㉙「差し引き税額」に転記。
※国税庁「令和4年分贈与税の申告のしかた」参照
まとめ
相続時精算課税を選択した場合の届出書および申告書の書き方について概要をまとめました。書き方については国税庁ホームページが公開している参考例を利用することもできますが、初めての場合は作成に混乱することも考えられます。できるだけ専門家に相談しながら正確な提出書類を作成するようにしましょう。
相続時精算課税を選択することにより、生前贈与された財産のうち最大で2,500万円分までが非課税となり、残りについては一律20%の贈与税が課せられます。自分の場合は税金がいくらになるのか、あらかじめ確認したうえで書類作成に臨むといいかもしれません。
当事務所では、行政書士が窓口となり、提携する司法書士や税理士と協力しながら相続・贈与全般のサポートを行っています。まずは無料相談をご利用いただき、現状やご不安なことなどについてお聞かせください。