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贈与税について

贈与税が課せられる財産

 贈与税が課せられる財産には、「本来の財産」、「みなし贈与財産」があります。「本来の財産」とは、現金・預貯金や土地・建物などの不動産ですが、ここで注意しなければならないのは「みなし贈与財産」です。贈与したつもりはなくても贈与とみなされて、思わぬところで贈与税を課せられてしまうことがあります。

 

「みなし贈与財産」として課税される場合には以下のようなケースがあります。

 

① 借金の免除・肩代わりをしてもらった場合

 借金の返済を免除してもらったり、肩代わりしてもらった場合などには、その免除や肩代わりしてもらった金額が贈与されたものとみなされて贈与税がかかるので注意が必要です。

 

② 低額譲渡された場合

 財産を時価よりも著しい低価額で売買した場合、安く売ってもらった方が時価と売買価額との差額を売った人から贈与されたものとみなされて贈与税がかかります。

 

③ 他の人が掛け金を負担した個人年金保険などの定期給付契約上の権利

 定期金の給付を受ける権利を贈与された とみなされて、贈与税がかかります。

 

④ 他の人が保険料を負担していた生命保険金などを受け取った場合

 保険金を贈与されたとみなされて、贈与税がかかります。受取人はなんの負担もなく利益を受けたからです。

 

⑤ 親族間の借金

 親族間などで借金をする場合は、金銭消費貸借契約書等を作成し、返済期間、返済方法、担保、利息などを取り決め、借りる人の収入に見合った返済計画を定めておくとともに、銀行振込みの控えなど返済の事実を裏付ける客観的証拠を残しておかなければ、贈与とみなされて贈与税がかかります。

 

 

贈与税がかからない財産

 贈与税がかからない財産もあります。たとえば次のような財産は所得税や相続税という形で課税されたり、その贈与自体が非課税のケースです。

 

① 法人からの贈与財産

 受贈者が当該法人の役員・従業員等であれば給与所得、それ以外の場合は一時所得として所得税が課されます。

 

② 親族からの生活費・教育費としての贈与

 祖父母や両親などの扶養義務者から日常必要と認められる範囲内で財産を贈与された場合。ただし、それで株式や不動産を購入したり、預金をしたりした場合は課税されることもあります。

 

③ 一定の要件にあてはまる奨学金等

 奨学金の支給を目的とする特定公益信託などから財産を取得した場合で一定の要件に当てはまる時

 

④ 障害者の信託受益権、給付金の受益権

 信託銀行などとの「特別障害者扶養信託契約」よる交付金を受け取る権利(信託受益権)を特別障害者が贈与された場合、その信託財産のうち6,000万円までが非課税になります。「障害者非課税信託申告書」の提出が必要になります。また、「心身障害者扶養共済制度」に基づく給付金の受給権についても、贈与税は非課税となっています。

 

⑤ 相続開始の年に被相続人から贈与された財産

 贈与税ではなく、相続税の対象になります。

 

⑥ 社交上必要な贈与

 常識的範囲内の香典や花輪代、お歳暮やお中元、結婚祝い、お見舞いなどの贈答品には贈与税はかかりません。

 

⑦ その他

 離婚による慰謝料・財産分与などには、贈与税はかかりません。

 

 

贈与税の計算

 贈与税は暦年単位(1月1日~12月31日)で課税されることになります。暦年課税による贈与では、贈与税は1月1日から12月31日の1年間に贈与された財産の合計額(課税価格)に課税され、贈与税の課税価格は、財産を贈与された日の時価で評価されます。

 

 また、受贈者1人につき年間110万円の基礎控除があります。贈与税は課税価格からこの基礎控除額110万円を引いた額に贈与税の税率をかけて計算します。

 

 直系尊属(父母や祖父母等)から贈与を受けた受贈者(贈与を受けた年の1月1日において※18歳以上の者に限る)については「特例税率」を適用し 、特例税率の適用がない贈与には「一般税率」を適用します。
※令和4年3月31日以前の贈与については20歳(国税庁ページ参照)

 

特例税率 直系尊属(祖父母や父母など)から、贈与を受けた年の1月1日において※18歳以上の(子・孫など)への贈与の場合
一般税率 特例税率に該当しない贈与の場合(兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合など)

※令和4年3月31日以前の贈与については20歳(国税庁ページ参照)

 

特例税率速算表

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1000万円以下 30% 90万円
1000万円超1500万円以下 40% 190万円
1500万円超3000万円以下 45% 265万円
3000万円超4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

 

一般税率速算表

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1000万円以下 40% 125万円
1000万円超1500万円以下 45% 175万円
1500万円超3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

 

 

 

贈与税の計算例

 特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」と言い、特例税率の適用がない財産のことを「一般贈与財産」と言います。税率は、取得した財産に応じて、一般贈与財産には一般税率を、特例贈与財産には特例税率を適用します。

 

 基礎控除後の課税価格×税率-控除額=税額

 

※18歳の者が父より特例贈与財産200万円と兄より一般贈与財産400万円(計600万円)を取得した場合

※令和4年3月31日以前の贈与については20歳(国税庁ページ参照)

600万円-110万円=490万円(基礎控除後の課税価格)

特例贈与財産に対応する金額:

(490万×20%-30万円)×(200万円/600万円)=約23万円・・・①

 

一般贈与財産に対応する金額:

(490万円×30%-65万円)×(400万円/600万円)=約55万円・・・②

  ①+②=約78万円(贈与税額)

 

贈与税の配偶者控除

 暦年課税による贈与では年間110万円の基礎控除額以上の財産を受けると贈与税がかかりますが、110万円以上の財産を受けた場合でも、贈与税がかからない場合があります。それが贈与税の「配偶者控除」です。

 

  配偶者控除とは、20年以上婚姻関係にある夫婦が、自ら居住するための不動産の贈与または居住用不動産取得のための金銭の贈与をする場合に認められるもので、同一夫婦に1度だけ認められます。

 

 詳しい適用条件は以下のとおりです。

① 夫婦の婚姻期間が20年を経過した後に贈与が行われたこと

② 贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

③ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に住み、その後も引き続き住む見込みであること。

④ 以前に配偶者控除を受けていないこと

 

 贈与税の配偶者控除では基礎控除110万円の他に最高2,000万円の控除が受けられ、それを超える部分に贈与税が課税されます。贈与が2,000万円を超えない場合、他の財産の贈与について110万円の基礎控除が受けられます。この配偶者控除を受けるには必要書類を用意し、贈与税の申告をする必要があります。

 

 

相続時精算課税制度

 贈与時の課税制度には、暦年課税の他に「相続時精算課税」があります。「相続時精算課税」とは、贈与を受けた時に、一定の税率で贈与税を納付し、贈与者が亡くなった時に相続税で精算するものです。暦年課税と相続時精算課税はそれぞれの課税方法を選択することができます。

 

 相続時精算課税を適用するには一定の条件があり、以下の適用条件を満たす場合、相続時精算課税を適用することができます。

贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の親又は祖父母、受贈者は贈与者の推定相続人である贈与を受けた年の1月1日において※18歳以上の子又は贈与を受けた年の1月1日において※18歳以上の孫。

※令和4年3月31日以前の贈与については20歳(国税庁ページ参照)

 

 なお暦年課税と相続時精算課税は一度選択すると、撤回・変更はできません。相続時精算課税では、贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

 

 相続時精算課税では、贈与を受けた時点で制度の対象となる財産についての贈与税を、対象以外の贈与に関する贈与税と区別して、申告・納税します。

 

 相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、贈与税について1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額から2,500万円の特別控除を受けることができます。この特別控除は、限度額の2,500万円になるまで複数回利用できます。なお、2,500万円の特別控除額を超えた部分に対して一律20%の税率がかかります。

 

<相続時精算課税の税額計算>

贈与により3,500万円の財産を取得した場合

3,500万円-2,500万円(特別控除額)=1,000万円(特別控除後の課税価格)

 

1,000万円×20%=200万円(贈与税額)

 

 贈与者が亡くなったときは、相続時精算課税の対象となったそれまでの贈与財産を相続財産に加えて、相続税を計算します。そして、その相続税額から贈与受けた時点で支払った贈与税額を控除します。

 

 もし相続税よりもそれまでに支払った贈与税が多い場合は、控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額について、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。 なお、相続財産に加算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。

 

2024年度法改正-生前贈与・相続時精算課税制度の法改正について

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