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何から手を付ける?家族信託を自分でやる場合の注意点

認知症対策・相続対策として昨今注目を集めている家族信託ですが、どのような点に気を付けて手続きすればいいのでしょうか。ここでは、家族信託契約を自分でやる場合の注意点について説明します

 

家族信託契約に不可欠な事前準備

家族信託契約の手続きを自力で行う場合、手続きの内容や手順などに注意が向いてしまいがちです。しかし、契約手続きや契約内容の実行をスムーズ化させるためには、契約の柱となる部分をあらかじめ明確化し、契約内容や手続きについて家族間で認識共有しておくことがとても大切です。

 

家族信託契約を行う目的をはっきりさせる

「認知症などになったときは自分の財産から介護費用や生活費を捻出して欲しい」というメッセージだけでも家族信託の目的自体は伝わります。しかし、目的をより明確化させた方が、財産を託される受託者にとって財産の管理や運用がしやすくなるでしょう。

 

たとえば、「自分が認知症や重大な疾病などにより日常生活が困難になった場合、所有する財産を代わりに管理してもらい、自分の生活費や介護費、医療費などに充てて欲しい」などといったように、イメージを具体的に伝えることがとても大切です。そうすることで、委託者の希望を信託契約書として書面化する際、とても重要な基礎になりますし、各条項を決定していくときも適切に対応しやすくなるからです。

 

信頼できる家族(受託者)を決定する

家族信託の目的を明確化したら、次に「誰に財産の管理・運用を任せるか」を決定します。委託を受けて実際に財産を取り扱う人物を受託者といいますが、その役割からも、受託者には最も信頼できる家族の誰かを選ぶ必要があるでしょう。

 

受託者となれる家族は、一般的に委託者の配偶者や子、兄弟姉妹や甥姪ですが、心からの信頼関係がある場合は家族以外の人物を受託者とする例もあります。

 

信託する財産内容を決定する

次に、どの財産について信託するかを決定します。一般的には次に挙げるような財産を契約に盛り込むことが多いといえます。

 

 

注意したいのは「信託できない財産がある」ということです。農地は農業委員会による許可がなければ信託財産とすることができませんし、年金は一身専属の権利であるため第三者に信託することはできません

 

家族信託契約の流れ

信託契約を交わす前段階の準備が整ったら、いよいよ当事者間で家族信託契約書を作成し契約締結します。

 

1.家族信託契約書の作成

「誰に、どのような目的で、どの財産を信託するか」を念頭に、信託契約書を作成します。ただし、遺言書に比べ家族信託契約はまだ認知度が十分ではないかもしれません。信託法の定めを遵守しながら正しく条項を並べていく必要がありますし、委託者の希望を漏れなく契約書に盛り込むことができるか注意も必要です

 

インターネット上で信託契約書のひな形を探すこともできますが、自分のケースに合った契約書を作り上げるためには、一度専門家に相談することをお勧めします

 

2.家族信託契約書を公正証書にする

重要書類は公正証書にすると、法的正確さとしても保管状況としても安心が担保されるでしょう。家族信託契約書も例外ではなく、公正証書とすることで本人に意思能力があったことの証明になりますし、紛失や改ざんのリスクを予防することも可能です。

 

3.名義変更・信託口座開設を行う

家族信託契約書を作成したら、次に名義変更と信託口座の開設を行いましょう。不動産を所有している場合は信託登記を、預貯金などの口座を所有している場合は信託口座を開設することで、当該財産が信託財産であることが明確になります。

 

1年ルールと30年ルール

信託契約を結ぶうえで忘れてはいけないのが、信託法に定められた、いわゆる「1年ルール」と「30年ルール」です。信託法には、信託が終了する事由について明記されています。

 

1年ルール

第163条に記載されている通り、「受託者が欠けたあと新たな受託者が就任しない状態が1年間続いたとき」「受託者がすべての受益権を有する状態が1年間続いたとき」は、信託契約は終了してしまいます。これを1年ルールとよんでいます。

 

受託者が受益者である状態は、「委託者からの財産の受託」ではなく「所有権」を有している状態と取れることに加え、受託者と受益者が同一人物である状態は信託契約の体を成していません。したがって、1年ルールにより信託契約が終了する仕組みになっていると考えられます。

 

30年ルール

第91条に記載されている通り、「家族信託契約の成立から30年経過した場合、新たな受益権の承継は一度しか認められない」ことになっています。これを30年ルールとよんでいます。

 

家族信託には、子や孫など世代をまたいだ財産承継を可能にする「受益連続型信託」という仕組みがあります。二次相続や三次相続を想定できるため、委託者としては受益者となって欲しい人物に財産を継がせることができます

 

ただし、この仕組みを利用できるのは信託契約設定時点から30年以内であるため、30年を超えて受益者となった人物が死亡すると(新たな受益権の承継は一度しか認められない/信託法第91条)、受益連続型信託は機能しなくなる点に注意しましょう。

 

まとめ

家族信託契約書の作成や手続き自体は、書籍やインターネットを参考にすれば自分でやることも不可能ではありません。しかし、土台となる法的知識が求められることに加え、先々を見越した財産承継のイメージを明確にする作業も必要になりますので、1人で行うとミスや見落としが発生してしまいかねません

 

当事務所では、遺言や家族信託といった生前対策から相続手続きまで、1つの流れとしてサポートすることが可能です。認知症対策や相続対策としてどのような方法が適しているのか、まずは無料相談でご事情をうかがい選択肢を提案させていただきます。

 

司法書士や税理士など専門家との連携により、不動産相続や相続税対策まで対応可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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