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身寄りなしの人が備えておくべき死後事務委任契約
身寄りのない人が高齢になり自分の死後に備えようとするとき、自らの葬儀や部屋の片付け、各種手続きなどは誰がやってくれるのでしょうか。ここでは、身寄りなしの人が備えておくべき死後事務委任契約について説明していきます。
身寄りがないことによる死後の問題
人が亡くなると、葬儀はもちろん行政手続きや各種サービスの解約、病院や施設の費用清算など、さまざまな業務が発生します。身寄りのない自分が亡くなったあと、これらのことを誰に頼めばいいか不安に感じている人は少なくありません。
実際、身寄りがないことによる死後の問題として、次のような事柄に備えておく必要があります。
自治体の対応に期待すべきか
身寄りのない人が亡くなるということは、死後の行政手続きを行ってくれる人がいないということでもあります。そのような場合は自治体による火葬・埋葬が行われますが、これは最低限必要な業務にあたります。したがって、一般的な葬儀などは行われませんし、火葬後引き取り先がなければ自治体が一定期間遺骨を保管したのち、市の合同墓に納骨されることになるのです。
札幌市の対応としては、身寄りのない独居者が亡くなりその遺骨の引取先が不明である場合、遺骨は市が2年間保管することになっています。2年の間に市は死亡者の戸籍情報を調査し、遺骨の引取先を探しますが、もし期限内に引取者が現れなかった場合は、市が運営する平岸霊園の合同納骨塚に無縁仏として納骨します。
各種手続き・清算に係る問題は
身寄りがない状態でなくなってしまった場合、住んでいた賃貸物件の家賃清算やライフラインの解約・清算、あるいは入居していた施設の費用の清算ができなくなってしまいます。
身寄りのない人が備えておくべき事柄とは
身寄りがないということは、死後に発生するさまざまな業務に対処できないということを意味しますので、前述の事柄を含め、特に以下については事前に対策を講じておく必要があります。
- 誰が遺体を引き取るか、葬儀・埋葬を行うか
- 家賃あるいは施設利用料などを誰が清算し、その原資はどこから用意するか
- 遺品整理は誰に依頼しどのように行うか
身寄りがなくこれら死後の各種業務を依頼できる人物がいない場合は、「死後事務委任契約」を利用し、万が一に備えておくことをお勧めします。
身寄りがない人の備え
身寄りがなく自分の死後の財産活用や各種手続きについては、遺言書や死後事務委任契約のしくみを活用してみましょう。
遺産活用については遺言書で対応する
身寄りがなく相続人となる人物もいない場合は、相続人以外にも財産を渡すことができる遺贈について遺言書に記しておくといいでしょう。遺贈により、お世話になった人へ財産を渡したり支援したい団体などへ寄附をしたりすることができます。
遺産以外の事柄については死後事務委任契約で対応する
死後事務委任契約とは、死後に発生する各種手続きや各種業務を第三者に委任する契約をいいます。身寄りがない人の場合、行政書士などの専門家を受任者として契約締結することが多いかもしれません。
死後事務委任契約を締結すると、委任者の死後、受任者が次に挙げるような事柄に対応してくれます。
葬儀関連の手続き
- 葬儀社の手配
- 葬儀契約代行
- 宗教家の手配
- 火葬同行
- 埋葬に関する事務(納骨・墓地・改葬など)
行政手続き
- 健康保険証や介護保険証の返還と還付申請
- 年金関係の届出(死亡届・未支給年金請求手続き)
- 各種税金の納付
清算手続き
- 病院の入院費や治療費または施設の入居費の清算
- ライフライン(公共料金)の清算および解約
- 物件退去に係る手続き(賃貸借契約の解除など)
関係者への連絡
- お世話になった人など、委任者があらかじめ指定していた人への連絡
遺品整理
- 遺品整理手配、立ち合い
- デジタル遺品(SNSアカウントの閉鎖やパソコン・スマートフォンなどの個人情報抹消など)
死後事務委任契約にこれらの項目を記載しておくことで、身寄りがなくても自分の死後の手続きをスムーズに進めてもらうことができます。独り身であることは大きな不安を伴うことが多いですが、あらかじめ備えておくことで安心して自分の人生を生きることができるでしょう。
まとめ
独り身で他に頼る人がいない場合は、元気なうちから行政書士などの専門家に相談し、自分の死後のさまざまな手続き・業務に関する死後事務委任契約を検討することも選択肢の一つです。
当事務所では、死後事務委任契約を始めとする各種生前対策について数多くご依頼を承っておりますので、ご不安なことがあればぜひお気軽に無料相談をご利用ください。
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