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飼い主にもしものことがあったときにペットが安心して暮らせるようにしたい

ペットの飼い主の悩み

 高齢のXさんは、夫が亡くなった後、ペットの犬を家族として大切に飼ってきました。しかし、最近は思うように体が動かなくなり、高齢者施設に入所することを考えるようになりました。Xさんは、自分が施設に入所した後、ペットを信頼のおける人に託して、安心して暮らしてほしいと思っています。Xさんには、娘のYさんがいますが、ペットを飼える状況にはないため、家族以外の人に飼育をお願いしなければいけません。そこでXさんは、犬を飼っている知り合いのZさんに、ペットの飼育を任せたいと考えました。Xさんは、ペットの飼育に必要となる金銭をZさんに支払いたいと考えていますが、きちんとXさんのペットのために金銭を使ってもらえるか不安があります。

 

ペットの飼育を任せるには?

 ペットは大切な家族の一員です。自分が重い病気や認知症になったり、高齢者施設に入所してペットを飼えなくなったりした場合や、もしものことがあってペットが残された場合に、ペットが無事に暮らしていけるのか、多くの飼い主が不安をもっています。また、高齢者の中には、そのような不安からペットを飼うことを躊躇される方もいます。

 

 飼い主がペットの飼育が困難になったときや、飼い主が亡くなったとき、信頼のおける人にペットの飼育を任せたい、または、すぐに頼める人がいないため適当な人を探してほしい場合はどうすればよいのでしょうか。ペットの飼育には費用がかかるため、飼育を任せる場合は飼育費用として金銭を支払うことも考えられますが、確実にペットのために飼育費用を使ってもらうにはどうすればよいのでしょうか。

 

 このような場合に、考えられる方法の一つとして、ペットを飼育すること、またはペットの飼育を託せる人を探すことを任せる「委任契約」があります。しかし、委任契約は本人が亡くなると終了してしまうため、自分が亡くなった後もペットの飼育を任せたいときには使えません。もう一つの方法として、ペットの飼育を任せて、きちんと飼育することを条件に財産を「遺贈」するという内容の「遺言書」を作成することが考えられます。しかし、飼育を任された人が、このような内容の遺贈を確実に受けてくれるかは分かりません。飼い主の中には、遺言書で財産をペットに残したいという方もいます。しかし、ペットは財産をもつことができないため、そのような内容の遺言書を作成しても、財産がペットのために残されることにはなりません。

 

このような場合が問題となります。

・重い病気で入院しなければならず、ペットを飼うことができなくなった。

・認知症のためペットを飼い続けることが難しくなった。

・飼い主が亡くなり、家族にはペットを飼える人がいない。

 

家族信託を活用する

 このような問題を解決するために活用できるのが「家族信託」です。ペットの飼育を任せる目的で家族信託を使うときは、次のような仕組みを作ることが考えられます。

 

1.ペットの飼育を目的とした家族信託では、ペット※および飼育費用にあてる金銭が、管理を任せる財産である「信託財産」となります。※ペットは法律上は動産に当たるため、信託財産の対象となります。

 

2.「信託財産」の管理を他者に任せる「委託者」には、ペットの飼い主を設定します。

 

3.「委託者」のために「信託財産」の管理を行う「受託者」には、相続人などの信頼のおける人を設定します。また、「受託者」が信託財産を適切に管理しているのか監督してほしい場合は、別途「信託監督人」を設定します。一般的には、法律の専門家に依頼して「信託監督人」となってもらいます。

 

4.「受託者」が管理する「信託財産」から利益を受ける「受益者」には飼い主を、飼い主がペットの飼育が困難になった後に利益を受ける「第二受益者(二次受益者)」にはペットの飼育を任せる人を設定します。

 

5.ペットが亡くなるなどして信託が終了したときに「信託財産」の清算を受ける「帰属権利者」には、ペットの飼育を任せる人を設定します。

 

どのような人を「受託者」や「第二受益者」に選ぶか

・受託者には、通常は家族や友人のように信頼のおける人を選びます。また、信託を代行する事業者などを受託者に選ぶこともできます。

・第二受益者には、ペットを飼育できる知り合い、ペットの飼育を専門とする事業者、ペットの保護団体などを選びます。

受託者と受益者は同じ人の場合は、1年で家族信託が終了します。そのため、受託者と受益者は別の人を選ぶことが大切です。

 

家族信託はどのように働くのか

1.委託者が受託者と「信託契約」を結ぶことで家族信託が始まります。委託者は、信託契約で定めた信託財産に当たる金銭を受託者に引き渡し、受託者は信託財産の管理を開始します。

 

2.委託者である飼い主が健在なうちは、ペットを飼育し続け、受託者は飼育費用として信託財産から金銭を受益者である飼い主に支払います

 

3.委託者がペットの飼育を続けられなくなったときは、信託契約で定めたペットの飼育を任せる人にペットを飼育してもらいます。受託者は飼育費用として信託財産から金銭を第二受益者であるペットの飼育を任せる人に支払います。これにより、受託者は信託財産がペットの飼育に充てられているか監督することができます。

 

4.ペットが亡くなったときは、帰属権利者であるペットの飼育を任せる人に信託財産が帰属します。

 

まとめ

家族信託を活用することにより、飼い主がペットを飼えなくなったときに飼育を続けてもらえるうえ、飼い主の生前から亡くなった後までの飼育費用の管理を任せることもできるようになります。こうした仕組みを準備しておくことで、飼い主にもしものことがあってもペットが安心して暮らせるようになるため、将来の不安をもたずにペットを飼うことができるようになります。また、飼い主の家族としても飼い主が亡くなった時に、故人の大切な家族であるペットをどのように扱うか悩まずに済みます。

 

当事務所では、皆様のご事情にあわせて家族信託の仕組みをお作りしております。飼い主にもしものことがあったときに、ペットが安心して暮らせるように準備しておきたいという方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

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