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任意後見契約で複数の受任者に委任するときの注意点

任意後見契約は本人の判断能力が保たれている間に受任者と交わす委任契約のひとつです。契約相手である受任者は複数いてもよいとされています。ここでは、任意後見契約で複数の受任者に委任するときに注意すべきことについて説明していきます

 

任意後見契約の受任者が複数だったときの注意点

任意後見契約で受任者が複数いる場合、後見事務をどのように割り振るか契約書に明記することになります。その際気を付けたいのが、それぞれの受任者が「単独で代理権を行使する」ときと「共同で代理権を行使する」ときでは状況がどのように変わるかという点です。

 

単独で代理権を行使する場合

単独での代理権行使」とは、任意後見人AとBがいたとして、Aが財産管理を行いBが身上監護を担うようなケースを指します。任意後見人AとBそれぞれに別の代理権が付与されており、役割が明確になります。また、任意後見人が1人だけのときと比べると、負担が軽減される点も特徴的です。

 

なお、この場合、契約は受任者ごとに締結するため、A・Bそれぞれに任意後見監督人がつくことになります。

 

共同で代理権を行使する場合

共同での代理権行使」とは、財産管理・身上監護の両方について、任意後見人A・Bの両人が共同で業務遂行するケースを指します。1人あたりの負担が軽減される点は「単独での代理権行使」と同様ですが、問題点もあります。

 

任意後見人AとBの間で後見事務の方向性に相違があった場合、両人が対立してしまう可能性を想定しておかなければなりません。後見人同士が対立すれば、本来遂行されるべき業務が滞ったり本人に不利な状況が生じたりするリスクも出てくるでしょう。

 

この場合、後見事務のやり方について任意後見人同士で意見の対立があった場合、後見事務の履行に支障が出て、本人に不利益な状況になってしまうおそれがあります。

 

しかし、財産管理や身上監護についてA・Bが協力しあい業務遂行できる点はメリットだといえます。

 

予備的任意後見受任者を定めることはできるか

任意後見契約は、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されて初めてその効力を発揮します。任意後見監督人の選任以外に契約発効の条件をつけることは、任意後見契約に関する法律の第2条1項に基づき無効であると考えられています

 

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

一 任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。

※e-Govより抜粋

 

これにより、たとえば「任意後見人Aの死亡などを原因として任意後見人Bとの契約を発効させるような予備的受任者」を決める行為も無効とされています。

 

まとめ

任意後見人が複数いる場合の考え方や予備的任意後見受任者の可否について説明しましたが、いずれに関しても注意点があります。もし、複数の任意後見人と契約を結んでおきたいご事情などがあれば、まずは当事務所まで一度ご相談いただくことをおすすめします

 

任意後見契約は法律行為ですから、どのような状態や行為が有効もしくは無効かを理解していなければなりません。また、単独での代理権行使にした方がいいか共同での代理権行使にした方がいいか、ご自身では判断が付きかねるところもあるでしょう。

 

当事務所では、ご相談時にじっくりとご事情やご心情などに耳を傾け、状況を十分に理解したうえで、適切と思われる助言を行ったり、ご希望により当職を受任者とした任意後見契約を結んだりすることが可能です。大切な契約について納得いくまでご説明しますので、ぜひご安心のうえお問い合わせください。

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