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任意後見人にできることとは?法定後見人との違いも解説
任意後見契約とは、将来自分自身の判断能力が低下したときに備えて、委任者である本人と受任者である後見人候補者が結んでおく契約のことをいいます。ここでは、任意後見人にできることに加え法定後見との違いについても説明していきます。
任意後見人にできること
任意後見人は、契約書内に定められた事柄について代理権を行使することができます。つまり、委任者である本人に代わりさまざまな業務を行うことができるのです。任意後見人は、任意後見契約で定められた代理権の範囲内においてその事務を行うことになり、具体的には「本人の財産管理」と「本人の身上監護」の二種類が大切な仕事になってきます。
任意後見人ができる財産管理行為と身上監護行為とは、以下のことをいいます。
財産管理行為
- 預貯金の管理(例:預入や引出、振込みなど金融機関との諸取引)
- 年金の受領
- 日常生活用品の購入やサービスの契約(例:宅配弁当の購入や新聞・水道光熱費などの契約)
- 不動産の処分(例:自宅の売却、アパートの賃貸借契約)
- 遺産分割協議(例:相続放棄)
身上監護行為
- 要介護認定の申請または異議申立て
- 高齢者施設への入所契約(例:有料老人ホームなど)
- 高齢者施設利用料の支払い
- 介護サービス契約(例:ヘルパー、デイサービス、訪問介護など)
- 介護サービス利用料の支払い
- 入退院手続き
- 医療費の支払い
任意後見と法定後見の違い
任意後見人ができることはすでに述べたとおりですが、混乱しがちなのが「任意後見人と法定後見人はどう違うのか」ということです。たとえば法定後見の代表格である成年後見人には、後見・補佐・補助の3つの業務が認められています。任意後見人と成年後見人の具体的な違いについて整理してみましょう。
【前提条件】
- 任意後見人:事前に任意後見契約を結んでいること
- 後見・補佐・補助:特になし
【効力を発するタイミング】
- 任意後見人:任意後見監督人が選任された時点
- 後見・補佐・補助:後見・補佐・補助それぞれの審判がおりた時点
【対象となる人】
- 任意後見人:判断能力が低下した本人
- 後見:常に判断能力が欠けている状態の本人
- 補佐:判断能力が著しく低下した状態の本人
- 補助:判断能力が低下した状態の本人
【後見人の選任】
- 任意後見人:本人が選任する
- 後見・補佐・補助:家庭裁判所が選任する
【取消の権限】
- 任意後見人:なし
- 後見:本人の日常生活に関わること以外の行為について「ある」
- 補佐:法律に規定された行為について「ある」
- 補助:法律に基づき申立ての範囲内で家庭裁判所が定めた行為について「ある」
比較した点はあくまでも一部ですが、大きな違いは以下のとおりです。
【任意後見では・・・】
- 本人が自分で後見人を選べる
- 後見人に同意権・取消権を与えることができない
- 後見人との契約に基づきその代理権の範囲を決めることができる
- 本人の判断能力が保たれているうちに契約内容を決めておくことができる
成年後見人との違いについてより詳しく知りたい場合は、当事務所までぜひお問い合わせください。
まとめ
任意後見は、本人の判断能力がまだ保たれている段階で後見人を選べる仕組みになっており、判断能力が低下したとみなされるタイミングで契約が発効します。元気なうちに将来任せたいことを決めておける利点はあるものの、後見人に委ねることに不安を覚える人もいるかもしれません。
そのような場合は、ぜひ、任意後見を含む生前対策に注力している当事務所までお気軽にご相談ください。最初のヒアリングでしっかりとご事情やご本人の思いをうかがい、最適と思われる提案をさせていただきます。任意後見公正証書の作成サポートや当事務所を後見人とするプランもありますので、ご不明な点や疑問点などがありましたらお問い合わせいただけますと幸いです。