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介護施設への入居にともない空き家の売却を家族に任せたい

空き家の活用

 Xさんは、数年前に妻を亡くして以来、持ち家で一人暮らしをしています。しかし最近になり、足腰が衰えて日常生活に支障が出るようになってきたことから、介護施設に入居しようと考えています。Xさんには、息子のYさんがいますが、すでに家を出ていて、今後実家を利用することはないとXさんに話しています。Xさんは、空き家のまま放置するくらいであれば、売却して代金を介護費用の足しにできればよいと思っています。しかし、Xさんの暮らしている地域では、家を売りに出してもいつ売れるか分かりません。そこでXさんは、Yさんに家の売却と売却代金の管理を任せたいと考えています。

 

空き家の売却を家族に任せるには?

 近年、全国で空き家の増加が問題となっています。空き家の原因として特に多いのが、家の持ち主が介護施設に入所したり亡くなったりした後、家族が家をそのまま放置しているケースです。高齢者が介護施設に入居し、子供が家を利用しない場合、家はそのまま空き家として残ります。家が空き家として放置されると、管理が行き届かず家の価値は下がってしまい、倒壊などにつながるおそれもあります。また、空き家であっても固定資産税がかかります。家を空き家にしないためには、売却する、賃貸する、解体するなどの方法が考えられますが、売却することができれば、売却代金を生活費や介護費用に充てることができます

 

 家の処分を家族に任せる方法として、家の名義は変えずに家族が代わりに売却を行う方法があります。しかし、家の持ち主が認知症になるなど判断能力が低下してしまうと、家の持ち主を売主とした売却ができなくなります

 

 別の方法として、あらかじめ家を「生前贈与」しておくことも考えられます。家族は「生前贈与」された家を売却するなどして得たお金を生活費や介護費に充てることができます。しかし、「生前贈与」には贈与税が課されます。「相続時精算課税制度」を使い相続が発生するときまで納税を遅らせることはできますが、それ以外にも、家の取得には不動産取得税、家の売却には譲渡所得税が課されます。

 

高齢者の家の売却にはこのような問題があります。

・本人が病気や認知症となり判断能力が低下すると、家族による家の売却が難しくなる。

・家族に贈与すると多額の税金がかかる可能性がある。

 

家族信託を活用する

 「家族信託」を活用することで、家の売却を家族に任せることができ、もし家の持ち主が認知症などになっても売却手続きを進めることができます。また、家の売却と併せて売却代金の管理も任せることができます。家族に家の売却と売却代金の管理を任せる目的で家族信託を使うときは、次のような仕組みを作ることが考えられます。

 

1.家の売却と売却代金の管理を目的とした家族信託では、家と売却代金が、管理を任せる財産である「信託財産」となります。

 

2.「信託財産」の管理を他者に任せる「委託者」には、家の持ち主を設定します。

 

3.「委託者」のために「信託財産」の管理を行う「受託者」には、家族などの信頼のおける人を設定します。また、「受託者」が信託財産を適切に管理しているのか監督してほしい場合は、別途「信託監督人」を設定します。一般的には、法律の専門家に依頼して「信託監督人」となってもらいます。

 

4.「受託者」が管理する「信託財産」から利益を受ける「受益者」には本人を、本人が亡くなった後に利益を受ける「第二受益者(二次受益者)」には家族を設定します。

 

5.本人が亡くなるなどして信託が終了したときに「信託財産」の清算を受ける「帰属権利者」には家族を設定します。

 

家族信託はどのように働くのか

1.委託者が受託者と「信託契約」を結ぶことで家族信託が始まります。委託者は、信託契約で定めた信託財産に当たる家の名義を受託者に変更し、受託者は信託財産の管理を開始します。

 

2.受託者は信託財産である家の売却を進めます。

 

3.家が売却できた場合、委託者である本人が生きている間は、受託者は信託財産から本人のために生活費や介護費用を支払います。

 

4.本人が亡くなったときは、帰属権利者である家族などに信託財産が帰属します。

 

まとめ

 家族信託を活用することにより、家の売却を家族に任せやすくなり、認知症になったときに備えておくこともできます。また、家の売却代金は、生活費や介護費用などとして有効に利用できる可能性があります。

 

当事務所では、皆様のご事情にあわせて家族信託の仕組みをお作りしております。介護施設への入居にともない、家族が家を売却しやすい仕組みを作っておきたいという方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

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