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死後事務と成年後見人ができることの範囲について

本人が認知症になったり障害を負ってしまったりしたとき、本人の身の回りのさまざまな事柄をサポートするのが任意後見契約を交わした成年後見人です。しかし、成年後見人は死後事務まで関わることができません。ここでは、死後事務と成年後見人ができることの範囲について説明していきます

 

本人の死後に成年後見人ができることとは

成年後見人によるサポートは、認知症などになってしまった本人が亡くなるまでの間に限られます。本人が亡くなった後の葬儀や遺品整理といった死後事務については原則的に業務範囲外であり、相続人など家族に対してそれまで管理していた財産の引き継ぎを行ったり後見終了の手続きを行ったりしてその役目を終えます。

 

本人が亡くなった後に成年後見人が行う最後の業務として、以下を挙げることができます。

 

【家庭裁判所への手続き】

被後見人が死亡した事実を報告します。

 

【法務局への手続き】

後見終了の登記申請を行います。

 

【後見の清算事務】

以上を、本人死亡から2ヶ月以内に行います。

 

【相続人への財産引き継ぎ】

以上の引き継ぎが完了したら、家庭裁判所に対し後見事務終了報告書を提出して終了します。

 

死後事務のうち成年後見人ができることとは

もう少し詳しくみていきましょう。原則として成年後見人は死後事務に関わることができませんが、民法873条の2に基づき、一部に限り成年後見人が死後事務を行うことができます

 

被後見人の死亡により後見人ではなくなりますので、元成年後見人には遺体の引き取りや、葬儀を行う義務がなく、死後の手続きは原則として被後見人の親族が行いますが、平成28年に法改正が行われ、成年後見人が関与できる死後事務について明確化されることとなりました。

 

下記のとおり(民法873条の2)、一部の死後事務については成年後見人が行うことが認められています。

 

まず,改正法により成年後見人が行うことができるとされた死後事務は,以下の3種類です。

(1) 個々の相続財産の保存に必要な行為

  (具体例)

・ 相続財産に属する債権について時効の完成が間近に迫っている場合に行う時効の中断(債務者に対する請求。民法第147条第1号)

・ 相続財産に属する建物に雨漏りがある場合にこれを修繕する行為

(2) 弁済期が到来した債務の弁済

  (具体例)

・ 成年被後見人の医療費,入院費及び公共料金等の支払

(3) その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産全体の保存に必要な行為((1)(2)に当たる行為を除く。)

  (具体例)

・ 遺体の火葬に関する契約の締結

・ 成年後見人が管理していた成年被後見人所有に係る動産の寄託契約の締結(トランクルームの利用契約など)

    ・ 成年被後見人の居室に関する電気・ガス・水道等供給契約の解約

・ 債務を弁済するための預貯金(成年被後見人名義口座)の払戻し

 

 次に,成年後見人が上記(1)~(3)の死後事務を行うためには,

(1)成年後見人が当該事務を行う必要があること

(2)成年被後見人の相続人が相続財産を管理することができる状態に至っていないこと

(3)成年後見人が当該事務を行うことにつき,成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかな場合でないこと

という各要件を満たしている必要があります。 

 また,上記(3)の死後事務(民法第873条の2第3号)を行う場合には,上記の要件に加えて,

(4)家庭裁判所の許可

も必要となります。

※法務省ホームページより抜粋

 

一読してわかるとおり、それまで業務の境界線が不明確であった各種の手続き遂行が成年後見人に認められることとなりました。ただし、成年後見人が死後事務に関与できるのは「必要に迫られている場合」に限られます。あくまでも補助的に認められた権限であることを踏まえれば、できれば任意後見契約と死後事務委任契約の両方について準備しておくことが望ましいといえるでしょう。

 

まとめ

任意後見契約に基づけば、委任者が亡くなった後の事務手続きで関与できることは「財産管理や相続人への財産引き渡し」に限られます。葬儀や役所への手続きなど諸々の死後事務については、任意後見契約の対象外となりますので、別途、死後事務委任契約を結んでおくことが必要です。

 

当事務所では、任意後見や死後事務などについて必要な助言およびサポートを行っております。具体的にどのような形でお力になれるかは、個々のケースにより変わってきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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