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家族信託の活用事例「子供のいない夫婦」の財産の残し方

近年、徐々に知名度が高まり多くの人が活用したいと考えるようになった家族信託。一般的には高齢の親が子供と協力して将来に備える形で活用されますが、世の中は必ずしも子供がいる夫婦ばかりとは限りません。では、子供のいない夫婦は家族信託を活用することはできるのでしょうか。ここでは、子供のいない夫婦による家族信託の活用事例を挙げて説明していきます。

 

子供のいない夫婦は家族信託を利用できるのか

子供のいない夫婦は自分たちの財産をどのような形で残したいと考えているのでしょうか。夫婦の数だけ異なる思惑があるものですが、代表的な相談例として「財産を配偶者に渡した後、最終的には自分の親族のもとに財産が戻るような設計にしたい」というものが挙げられます。

 

例えば、夫婦のうち夫名義の不動産があった場合、夫が亡くなると妻が不動産を相続することになります。生前に何も手を打たずにいれば、妻が亡くなった後は妻の兄弟姉妹を含めた親族にまで相続が広がっていってしまうでしょう。

 

もし、このような状況になることを夫が望まない場合、夫婦ともに亡くなった後に不動産が自分の身内に移るよう、以下のような家族信託契約を結んでおくことをお勧めします。

 

委託者:夫

受託者:夫の甥

受益者:夫(健全なうち)・妻(夫が亡くなった後)

帰属権利者:夫の甥

 

これにより、妻が不動産を相続したとしても、妻が亡くなった後は夫の親族のもとに財産が戻ってくることになるのです。

 

また、子供がいない高齢夫婦に特徴的なこととして、相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹となるケースが多々みられます。特に対策を行っていなければ、夫が亡くなった後は妻と兄弟姉妹による遺産分割協議で不動産の所有権について取り決められることになるでしょう。しかし、相続人になる兄弟姉妹もまた高齢であることから、すでに亡くなっていたり認知症などになっていたりしている可能性もあり、相続はますます複雑化することが想定されます。

 

このような場合に備えて家族信託を活用すれば、不動産をどのように継いで欲しいか明らかにしておくことができます。そうすることで遺産分割協議における手間や労力を省くことが可能になるのです。このように、子供がいない夫婦の相続問題は手続きが煩雑になりやすい面があることから、家族信託を利用した対策を積極的に行うことが勧められます。

 

子供がいない夫婦が家族信託により財産帰属先を指定した事例

60代の男性とその妻には子供がおらず、夫が亡くなれば妻が、妻も亡くなれば妻の親族が財産を相続していく系図になっていました。男性には先代から相続した男性名義の土地があり、現在はその土地を駐車場として運用することで、生活費となる収益を得ている状況です。

 

男性は、自分が亡くなった後は妻に土地を残したいと考えていますが、妻が亡くなった場合は妻側の親族が土地を相続することになってしまいます。男性にとっては先代から継いだ土地ですから、このような相続の形を避けて自分の親族側に土地が渡るようにしたいのです。そこで知ったのが家族信託という方法でした。

 

家族信託の設計(スキーム)

男性は行政書士のもとを訪れ、家族信託で自分の希望が叶うかどうか相談しました。そこで行われた提案は、「男性が元気なうちに男性の甥と家族信託契約を結び、あらかじめ自分の死後に備える」というものでした。家族信託のスキームは以下のとおりです。

 

・信託財産:先代から相続した土地

・委託者:男性

・受託者:男性の甥

・第一受益者:男性

・第二受益者:妻

・財産の帰属先:妻(健全なうち)・甥(妻が亡くなった後)

 

これで、夫婦が亡くなった後は、土地が男性側の親族のもとに戻ることになります。

 

遺言書に土地の行き先について書き残すという方法もあります。しかし、一般的に子供のいない夫婦はお互いに向けた相続内容を記しているものの、双方が亡くなったときの相続先までは指定していないことがほとんどです。夫が亡くなって土地が妻に渡るところまではいいですが、妻も亡くなると土地は行き場を失ってしまい、遺産分割協議を経て妻側の親族が土地を相続することになるのです。

 

男性はそのような事態を望んではいないので、遺言書という選択肢ではなく家族信託という方法を選ぶことにしました

 

まとめ

遺言書で相続先を指定できるのは一代先までに限られます。しかし、家族信託であれば世代を問わず受益者を指定しておくことができるため、この点で2つの方法は決定的に異なっています。今回のケースである「先代から受け継いだ土地を最終的に男性の親族のもとに戻したい」という希望を叶える道筋として、土地が男性から妻へ、妻から男性の甥へ継がれるよう指定できるのは家族信託だからこそだといってもいいでしょう。

 

このように、子供のいない夫婦がどちらも亡くなった後、夫婦の財産を誰にどのように継いでもらうかお悩みの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

 

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