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信託財産が金銭と不動産の場合の信託契約書例

信託財産別の信託契約書の作成方法②

 

信託財産が金銭と不動産の場合

 

 下記・信託契約書は金銭に加えて不動産も信託財産に加えた内容となっています。金銭の他に不動産を有する親(委託者兼受益者)のため、その子(受託者)が金銭の管理と不動産の運用・管理・処分もできる権限を付与されることにより、親が認知症になり、親の資産が事実上凍結されるリスクを回避する場面を想定しています。

 

 親が認知症になった場合の不動産の処分については、売買契約の場面で問題になります。不動産の売買契約は、その不動産の金額の多寡に関わらず、重要な財産の処分になることが多く、正常な判断能力がないと売買契約自体が行えません。不動産の売主の判断能力に疑問がある場合、買主としては売買契約成立後に契約が無効であると主張されるリスクもあることから、売買契約自体をしないということになります。

 

 また、不動産売買の仲介業者や売買登記に立ち会う司法書士にも高度な注意義務があるので、売主の判断能力に問題がある場合、そもそも不動産売買の仲介や登記申請を拒否されるリスクもあります。このような問題に対応するために、下記・信託契約書では金銭のみならず、不動産もその信託財産に加えて、認知症対策としての信託契約案としています。

 


令和  年第   号

信託契約公正証書

 本公証人は、委託者 ●● ●●(以下「甲」という。)と受託者 ●● ●●(以下「乙」という。)の依頼を受けて、双方の述べる契約の内容を聞き、その趣旨を書き取ってこの証書を作成する。

(本契約の趣旨)

第1条 甲と乙は、甲が乙に対して第3条記載の財産(以下「本件信託財産」という。)を信託し、乙がその譲渡を受けた本件信託財産を第2条に掲げる目的(以下「本件信託の目的」という。)に従い管理・運用・処分し、かつ、本件信託の目的を達成するために必要な行為をなすべき旨の契約を締結する(以下「本契約」又は「本信託」という。)。

(信託の目的)

第2条 本信託は、乙が本件信託財産を管理・運用・処分することにより、甲の生涯の生活を支援することを目的とする。

(信託財産)

第3条 本信託の信託財産は、別紙信託財産目録記載の不動産(以下「信託不動産」という。)及び金銭(以下「信託金銭」という。)とする。

(信託財産の追加)

第4条 甲は、その有する財産(本信託の信託財産を除く。)を、乙の同意を得て、信託財産の中に組み入れることができる。

(委託者及び受益者等)

第5条 本信託の委託者兼受益者たる甲は、次の者である。

住所 ●●●●●●●●●●●●

氏名 ●● ●●(昭和●年●月●日生)

2 委託者の地位は、甲の死亡によって相続人に承継されない。

3 甲は、本信託の受益権を譲渡し又は質入れすることはできない。

(受託者)

第6条 本信託の受託者たる乙は、次の者である。

 住所 ●●●●●●●●●●●●

 氏名 ●● ●● (昭和●年●月●日生)

(信託財産の引渡し)

第7条 甲は、乙に対し、本信託開始日に、信託不動産を、その所有権移転登記手続及び信託の登記手続を行うことにより引き渡すものとする。登記費用は、甲が支払うものとする。

2 甲は、乙に対し、本信託開始日に、信託金銭を引き渡すものとする。

(信託給付の内容)

第8条 乙は、信託不動産の管理・運用を行い、甲に対し生活の本拠として信託不動産を使用させ、公租公課その他の信託不動産を管理するための必要経費を支出する。

2 乙は、前項の目的を達成するため、信託不動産について、必要な保全、修繕又は改良を行うものとする。

3 乙は、信託金銭の管理・運用を行い、甲の生活費、医療費並びに介護費用等に充てる。

(信託不動産の処分)

第9条 乙は、信託目的達成のため必要と判断した場合、信託不動産を売却により換価処分することができ、その売却代金を乙において管理・運用する。

(信託金銭の管理・運用)

第10条 信託金銭は、信託期間中、以下の信託専用口座で管理・運用するものとする。

金融機関名 ●●銀行

支店名   ●●支店

預金種類  普通預金

口座番号  ●●●●●●

口座名義人 ●● ●●

2 乙は、信託不動産に関する公租公課の支弁、信託不動産の修繕、保全その他信託事務の処理に必要な費用、甲の生活費、医療費その他本信託の目的を達成するために必要な費用を、信託専用口座から支出する。

(善管注意義務)

第11条 乙は、信託財産の管理・運用・処分その他の信託事務について、善良な管理者の注意をもって処理するものとする。

(信託事務処理の第三者への委託)

第12条 乙は、信託事務の処理を第三者に委託することができる。ただし、本信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。

2 前項の規定により、信託事務の処理を第三者に委託したときは、乙は、当該第三者に対し、本信託の目的の達成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(信託費用の償還)

第13条 乙は、甲から信託事務処理に係る費用の償還又は前払を受けることができる。

(信託報酬)

第14条 乙の本信託における信託報酬は、無報酬とする。

(信託の計算等)

第15条 本信託の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までとする。ただし、第1期の計算期間は、信託開始日から令和●年12月31日までとする。

2 乙は、信託事務に関する計算を明らかにするため、信託不動産に属する財産及び信託不動産責任負担債務の状況を記録しなければならない。

3 乙は、信託不動産に関し、第1項の信託期間に対応する信託財産目録及び収支計算書を当該計算期間が満了した月の翌月末日までに作成しなければならない。

4 乙は、信託不動産を第三者に賃貸することに関し、賃借人の退去、新たな賃借人の入居及び賃料並びに管理費の変更など賃貸借契約の当事者及び内容等に変更があった場合には、その経過報告書を作成しなければならない。

5 乙は、第3項記載の信託財産目録及び収支計算書を、同項により決められた期日までに、甲に提出しなければならない。前項の経過報告書については、その作成の都度、甲に提出しなければならない。

6 乙は、第2項に基づき作成した帳簿は作成の日から10年間、前項に基づき甲に提出した書類は信託の清算の結了の日までの間、保存しなければならない。

(信託の変更)

第16条 本信託は、甲及び乙の合意によって信託の変更をすることができる。

(信託の終了)

第17条 本信託は、甲の死亡により終了するものとする。

 (信託終了時の帰属権利者)

第18条 本信託が終了した場合における帰属権利者は乙とする。

嘱託人の住所、職業、氏名、年齢その他公証人法第36条による本旨外の事項は、以下のとおりである。

住所 ●●●●●●●●●●●●

無 職

委託者甲          ●● ●●
             昭和●年●月●日生

委託者甲は、印鑑証明書の提出により人違いでないことを証明させた。

住所 ●●●●●●●●●●●●

職業 会社員

受託者乙          ●● ●●
             昭和●年●月●日生

 受託者乙は、運転免許証の提示により人違いでないことを証明させた。

 この証書は、令和●年●月●日、●において、法律の規定に従い作成し、列席者に閲覧させたところ、各自これを承認し、本公証人と共に以下に署名押印する。

              

公証人    ●● ●●

 

別 紙

信託財産目録

1 信託不動産

 ⑴ 土地

   所在:●●●●●●●●●●●●

   地番:●●番●●

   地目:宅地

   地積:●●●.●●㎡

 ⑵ 建物

   所在:●●●●●●●●●●●●

   家屋番号:●●番●●

   種類:居宅

   構造:木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建

   床面積:1階 ●●.●●㎡

       2階 ●●.●●㎡

2 信託金銭

  金●●万円

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