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音声・動画による遺言は有効か?データの効果的な活用法

昨今では幅広い世代にパソコンやスマートフォンが普及したことから、日記や趣味の写真、動画までデータで残す人が多くなったといえます。遺言書についても、書面より肉声や動画で遺した方がいいのではないかと考える人もいるかもしれません。ここでは、音声や動画による遺言は有効なのか説明していきます

 

音声や動画による遺言は無効

パソコンやスマートフォンの普及により、いつどこにいても音声や場面を録音・録画することが一般的になりました。情報をデータとして扱い保管する傾向がより強くなっているといえます。

 

この流れから、「音声や動画による遺言」を選択したい人たちが一定数現れるようになりました。確かに、決められた形式で書面作成する遺言書に比べると、音声や動画の方が「本人の口から伝えることができる」「本人による遺言であると証明できる」という利点があるのかもしれません。

 

しかし、民法によれば、形式を守って作成された遺言書でなければ効力は認められないことがわかります。遺言書の種類について規定した民法第967条をみてみましょう。

 

(普通の方式による遺言の種類)

第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

※e-Govより抜粋

 

特に、自筆証書遺言については第968条で詳しく定義されています。

 

(自筆証書遺言)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

※e-Govより抜粋

 

自筆証書遺言の場合は「本人の手書きであること」が必ず求められます。財産目録の作成については、パソコンを使用しデータ活用することが認められるようになりましたが、遺言書自体はあくまでも自書であることが原則です。

 

したがって、法律で認められた形式以外の方法である音声や動画による遺言には、効力がないことがわかります。

 

音声や動画の活用法

遺言書そのものとしては有効性が認められない音声・動画ですが、遺言書を補足する材料としては大変役に立つ媒体だと考えることができそうです

 

遺言書は「財産の承継先について記す」ものであり、法律に則って作成することから非常に形式的で、遺言者が何を思って遺言を遺したのかまでは推測が難しいのが現状です。そこで、遺言書を補う位置付けで音声や動画を遺し、媒体を通して直接思いを語りかけることを検討してみるのもいいでしょう

 

 

遺言者としての背景事情や心情を伝えることは、遺言書を肉付けすることにもつながりますので、音声や動画を上手に活用すれば好影響が期待できそうです。

 

まとめ

デジタル化が進んだ現代でも、「遺言書は紙に自書」が前提となっています。法律には遺言書作成に関するルールが定められていますので、ご不安な方やお悩みの方はぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。行政書士による遺言書の原案作成支援・音声や動画の活用方法に加え、税理士や司法書士と連携した相続トータルサポートにも対応しています

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