fbpx

トップページ > 自筆証書遺言作成の流れ

自筆証書遺言作成の流れ

遺言作成手続きの流れ 

 

遺言作成手続きの全体の流れを理解しましょう。

 

 遺言書は大まかに分類すると自筆証書遺言と公正証書遺言に大きく分類され、ほとんどのケースでどちらかの遺言書で作成することになります。どちらの遺言書をつかって作成するかによって、遺言書作成の手順は異なってきます。

 

自筆証書遺言で遺言を作成する場合の流れ

 自筆証書遺言は完全に自分一人で書類作成を完結することができますので、極端な話、紙とペンがあればすぐに作成することができます。しかし、自筆証書遺言の作成ルールは厳格に守る必要があるので、書籍やインターネット等で最低限の作成ルールを確認したり、場合によっては専門家のアドバイスを受けながら作成することも必要になります。

 

 最低限のルール確認が済んだら、次は自分の財産の状況の確認も必要になります。遺産になりうるものがそれほど多くない場合は財産のリスト化までは不要になるかと思いますが、たくさんの種類の財産があり、一体自分はどの程度の財産を保有しているかが不明な場合は、財産目録を作成して、どんな財産があり、それらの財産の評価額はいくらくらいになっているのかまで確認したほうがよいと思います。この点についても、財産の評価方法、財産目録の作成を専門家に相談・依頼しながら進めると安心できると思います。遺言書作成の場面では、筆者のような行政書士の他、弁護士、司法書士、税理士等も心強いサポーターになってくれると思います。

 

 遺言作成ルールの確認、自己の財産の把握が済んだら、次は実際に誰にどれだけの遺産を相続もしくは遺贈するかの検討です。遺言書の作成をすることを決めた時点ですでに誰にいくらを相続もしくは遺贈するか決定していることもありますが、財産が多くて、相続税や遺留分等にも配慮が必要な方は、財産の棚卸しをしてはじめて遺言書の内容が固まることもあります。

 

 遺言書の内容となる「誰に」「どんな財産を」「どれだけ(いくら)」という部分の「誰に」のところは、客観的に誰がその財産の承継者になっているかを明確にする必要があります。つまり、「人物の特定」を明確に行う必要があるということです。

 

 相続させる人、遺贈する人の特定については、氏名は当然のこと、遺言書作成時点での住所や生年月日、遺言者との続柄(親族関係であれば、遺言者にとっての誰にあたるのか)も遺言書に記載します。この人物特定のルールは特に法律上ここまで記載せよという明確なルールはありませんが、実際に作った遺言書を使って相続手続きをする場面(遺言者死亡後)において、その記載の仕方が相続手続きの進行に大きく影響します。曖昧な記載だと、せっかく作った遺言書が相続手続き先で否定されるようなこともありえます。人物特定は丁寧に記載するように意識しましょう。

 

 また、「誰に」「どんな財産を」「どれだけ(いくら)」という部分の「どんな財産を」という箇所も同じく「財産の特定」が非常に重要になってきます。

 

 先に述べた財産目録を作成しないで遺言書を作成する方は、たとえば不動産であればその財産の特定を不動産の登記簿(法務局で取れる証明書)を取得して行ってください。自宅にある権利証では、権利証自体古いものである場合、不動産の特定の際に不都合が生じる可能性もあります。自宅に多くの権利証があってよくわからないという方もおります。不動産の登記簿の取得の他、不動産の評価額を調べるためには、市町村の固定資産税の担当課に出向いて「固定資産評価証明書」の取得や「不動産の名寄台帳の閲覧」などを行うとよいでしょう。固定資産税が課税されている不動産を遺言書に記載する場合は、市町村から毎年春頃に送付される「固定資産税納税通知書」にも評価額が書かれています。「固定資産評価証明書」の取得や「不動産の名寄台帳の閲覧」が、書類交付申請者の自宅から遠くにあり、役所に行けない場合は、郵送での申請も受け付けているので、担当課に連絡してその申請方法の確認が必要になります。

 

 不動産の他にも、預貯金についても大抵の方が1か所以上の取引をしていますので、預貯金の特定もしっかりと行います。預貯金の特定は、次の事項を入れておけば特定としては充分かと思います。

 

★ 金融機関名  ★ 支店名  ★預金種類(普通預金や定期預金の別)  ★口座番号

 

 そもそも通帳は保有しているが、通帳の見方がわからない(定期預金の金額がよくわからない)、通帳を紛失していくら入っているかわからない、休眠口座がある、投資信託などの金融商品もあるなどの場合は、できれば金融機関より自己が保有する一切の財産の「残高証明書」の取寄せも場合によっては必要になります。その他、金融機関より定期的に発行交付されているお手紙やハガキを見たりするのも特定作業に役立ちます。

 

 ここでは不動産と預貯金に絞っての財産の特定方法を解説しましたが、基本、どのような財産であっても財産の特定はしっかりと行うようします。

 

 最後に、「誰に」「どんな財産を」「どれだけ(いくら)」という部分の「どれだけ(いくら)」という箇所についてです。

 

 「どれだけ」の財産を承継させるかは、遺言者の判断になりますが、遺言書への書き方としては、自己の一切の財産を包括的に相続させるのか、ある特定の財産を誰かに全部相続させるのか、またはある特定の財産を複数名に割合的に相続させるのかによって、その記載方法が異なります。

 


★自己の一切の財産を包括的に相続させるケース

「私の有する一切の財産を●●へ相続させる」(相続人以外なら「遺贈する」という文言を使用)

 


★自己の一切の財産をある特定の者に包括的に相続させるケース

「私の有する一切の財産を、遺言者の妻である●●(←人物の特定も明確に)に2分の1の共有持分割合で相続させ、遺言者の長男である●●(←人物の特定も明確に)に2分の1の共有持分割合でそれぞれ相続させる」

 


★ある特定の財産を特定の者に相続させるケース

「私の有する●●(←財産の特定を明確に)は遺言者の妻である●●(←人物の特定も明確に)に相続させる」

 


★ある特定の財産を複数名に包括的にに相続させるケース

「私の有する●●(←財産の特定を明確に)は遺言者の妻である●●(←人物の特定も明確に)に2分の1の共有持分割合で相続させ、遺言者の長男である●●(←人物の特定も明確に)に2分の1の共有持分割合でそれぞれ相続させる」

 


 このように遺言書の本文を作成します。自筆証書遺言の場合は、この本文の他に遺言書を作成した日付を記入し(日付の特定)、遺言者の氏名を署名し、署名の末尾に印鑑を押印して完成となります。遺言本文、日付、署名、印鑑を全て漏れがないように作成することが必要なので覚えておきましょう。

 

無料相談の予約はこちら