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遺言書作成場面での登場人物

遺言者・推定相続人・受遺者について

① 遺言者 

遺言書を作成する張本人です。遺言は遺言能力さえあればだれでも作成できますが、遺言能力は満15歳以上のものが有するとされています。

 

② 推定相続人

遺言者が亡くなった際に相続人となりうる人のことを推定相続人といいます。遺言者が亡くなった場合は、相続人となりますので、遺言作成段階では「推定」という言葉を加えて表現します。

 

③ 受遺者(じゅいしゃ) 

遺言者が推定相続人以外のものに財産を譲る場合、その遺言書で財産を譲ると指定された人のことを受遺者といいます。遺言者の財産全体のうち包括的に(総財産のうち2分の1などの包括的な表現)財産を譲り受ける人のことを包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)、特定の財産を譲り受ける人のことを特定受遺者(とくていじゅいしゃ)といいます。法律的にその地位に違いがあります。包括受遺者のほうが特定受遺者よりも相続人に近い存在になります。

 

遺言執行者について

 遺言書を作り、その後遺言者が亡くなれば、当然遺言に基づいた相続手続きがされますが、そのときいったい誰が遺言内容を実現する(遺言による相続手続きをする)のでしょうか。

 

 遺言保管者・発見者が遺言内容を実現すればよいのですが、相続人が複数いる場合ですと、その遺言に不服がある者もいるかもしれません。遺言に不服がある相続人がいる場合(遺留分の侵害のケースが考えられます)、いくら遺言があっても遺言書の保管者・発見者(相続人や受遺者であることが前提)だけで遺言による相続手続きが取れないことがあります。また、自筆証書遺言の保管者もしくは発見者が自分に不都合な遺言であると認識している場合(遺言がすでに開封されているケース)、その遺言を勝手に破棄したり、隠したりするかもしれません。

 

 公正証書遺言の場合は、遺言の原本が公証役場に保管されますので、遺言正本や謄本(遺言者に交付される遺言書の手控え)の破棄や隠匿をしても意味がありませんが、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、遺言管理者が破棄したり隠匿すれば、この世に遺言はないものと同じことになってしまいます。

 

 このようなケースで、遺言者は遺言書の保管や管理、遺言者死亡後の遺言による相続手続き(遺贈による登記の移転義務履行や物の引き渡し等の手続)を任せる人を遺言の中で指定することができます。この任せる相手のことを遺言執行者といいます。遺言の保管・管理や手続面で、お願いできる遺言執行者がいると遺言者は安心できるかと思いますし、相続人が複数いて相続人間の利益が相反するような場合などは、遺言執行者を選任することによって遺言の内容をスムーズに実現することができます。(遺言執行者は指定をしたほうがよいですが、一部例外を除き、不可欠な存在ではありません。)

 

遺言執行者の資格

遺言執行者は未成年者や破産したもの以外、誰でもなれます。相続人はもちろん、第三者でも法人でも遺言執行者になることができます。第三者の場合は、信頼のおける方や専門家を遺言執行者にしておくのがよいと思います。遺言による相続手続きの経験がないものが遺言執行者になると、様々な手続きにおいて苦労されることも考えられるので、専門家を指定する場合、経験のある方を指定するとなおよいでしょう。

 

なお、遺言執行者の選任は、通常、遺言によって指定されますが、指定されていないまたは指定の委託がない場合、指定された者が就職を拒絶した場合、遺言執行者につき死亡、解任、辞任、資格喪失などの事由が生じた場合等は、利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任することもできます。申立てをできる利害関係人は、相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた者です。遺言執行者に選任された者は、就職を承諾することも拒絶することも自由ですが、承諾したときは、直ちに任務を行わなければなりません。また、利害関係者には承諾するかどうかの返答を催告する権利があります。

 

遺言執行者がいないと実現できない事項

認知していない子を遺言により認知する場合と相続人廃除・取消を遺言書の中に盛り込む場合は、必ず遺言執行者を選任する必要があります。認知や相続人廃除・取消は生前に行う方法もありますが、遺言で認知や相続人廃除・取消を行う場合、遺言執行者がいないとその実現ができません。

 

 子の認知、相続人の廃除・取消をするには、遺言執行者による役所への届出や家庭裁判所への審判の請求が必要になりますが、実質的に利益が対立する相続人が遺言執行者になると、これらの手続を行わず自分に有利なように取り計らったりする可能性があるので、このようなケースでは、中立な立場の遺言執行者(相続人や受遺者ではない者)が必要になります。

 

遺言執行者の権限

 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。遺言執行者は、まず遅滞なく相続財産の目録を調製して、これを相続人に交付しなければなりません。そして、不動産の遺贈登記や預金の払い戻し・名義変更などの相続手続きを行います。

 

 遺言執行者は、これまでの民法のルールでは原則的にやむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができなかったのですが、現在は自己の責任で遺言執行者以外の第三者にその任務を行わせることができるようになりました。(遺言者が反対の意思を表示していない場合)

 

 遺言執行者が相続人である場合、遺言の執行実務の経験がないことが多いと思いますので、ご自身で遺言執行をするのに不安がある場合は、その遺言執行を専門家にサポートしてもらうとよいでしょう。第三者が遺言執行をすることによって、より公平な相続手続きの実現もできると思います。

 

 また、これまでのルールでは、遺言書によって特定の財産を共同相続人の一人又は数人に相続させるという遺言(特定財産承継遺言と言います。)があったとしても、遺言執行者においてその相続手続き(不動産の相続の場合は相続登記の申請行為)をすることができなかったのですが、民法のルールが変更され、このような特定財産承継遺言によって、遺言執行者が相続手続きをすることが可能になりました。

 

 

遺言執行者の報酬と遺言執行時の費用負担

 遺言執行者の報酬については、遺言に定めていればそれに従い、定めがない場合でも、家庭裁判所が、相続財産の状況その他の事情を考慮して定めることができます。また、遺言執行の費用は、相続財産から支払われます。ただし、それによって遺留分を減ずることはできず、遺留分を減ずる場合は、受遺者が費用負担をします。

 

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