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可能?不可能?遺言書で指定された財産の受け取り拒否

遺言書は亡くなった人の最後の意思表示であり、相続手続きにおいては優先して取り扱われるものです。しかし、さまざまな事情から、指定された財産の受け取りを断りたいと考える人もいます。ここでは、遺言書で指定された財産を受け取り拒否できるのかどうか説明していきます

 

遺言内容を拒否できる例

遺言内容が明らかに偏った内容であるような場合は、遺言による財産相続を拒否することが可能です。たとえば次に挙げるようなケースが該当します。

 

特定の相続人に相続財産が集中している場合

長男に金銭および不動産を相続させ、その他の子の相続分が公平ではない場合、遺言書の内容は不適切であるといえます。

 

遺言内容にしたがうと手続きが複雑になる場合

1つの不動産を複数の子の共有財産とする場合、相続後の不動産活用などがスムーズにいかなくなったり分割手続きが非常に複雑になったりする可能性があります。

 

遺言指定の財産を拒否するための方法

上記を含むさまざまな理由から遺言指定の財産受け取りを拒否したい場合、次のような手段で対応することができます。

 

相続放棄

遺言書に「〇〇に△△の財産を相続させる」と記載されていたが、指定された相続人が当該財産の受け取りを拒否したいと考える場合もあります。このようなときは原則として相続放棄の手続きが必要です。

 

相続放棄することにより、その相続人は最初から相続権利を持たなかった(相続人ではなかった)とみなされることになります。したがって、遺言書に記載があったとしても、指定された財産の受け取りを拒否することが可能です。ただし、相続放棄はすべての財産について引き継ぐ権利を放棄する手続きであるため、他の財産を相続することができなくなる点も理解しておきましょう。

 

遺産分割協議

もし、遺産分割協議を行いすべての相続人の同意を得ることができた場合は、遺言書の内容に関わらず相続人全員が納得する形で遺産を分け合うことができます

 

遺言執行者がいる場合

被相続人が遺言書を作成したとき、確実に遺言書の内容が実現されるよう遺言執行者をつけていることがあります。民法第1012条では「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と明記されていることから、遺産分割協議で遺言書の内容と異なる相続方法を話し合ったとしても、遺言執行者がこれに同意しなければ成立しないことになる点に注意しましょう。

 

遺言を拒否できない例

次に挙げるような状況においては、遺言を拒否することができません

 

遺産分割協議で相続人全員の合意が得られない場合

遺産分割協議においてすべての相続人の合意を得ることができれば、遺言書と異なる内容での相続が可能です。しかし、遺産分割協議で1人でも反対者がおり全員の意向が一致しない場合は、遺言を拒否する内容での相続はできません

 

遺言執行者の同意が得られない場合

遺言により遺言執行者が定められているときは、遺言内容と異なる相続をするうえで必ず同意を得なければなりません。遺言執行者の職責は遺言の確実な実行にありますから、もし同意を得ることができなければ遺言を拒否することはできないのです。

 

拒否された財産の扱い

遺言書が指定する財産の引き継ぎが拒否された場合、遺言書内で特に指定がない限り、当該財産は相続財産に組み戻され、遺産分割協議で相続方法が話し合われることになります。ただし、あらかじめ遺言書に「遺贈が拒否された場合」などを想定した対処方法が記載されていれば、これにしたがいます。

 

遺贈を拒否できるか

被相続人が遺言により相続人以外の誰かに財産を譲渡することを遺贈といいます。財産を受け取る側の人を受遺者とよびます。遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちますので、あらかじめ認識しておくことが大切です。

 

包括遺贈の場合

相続財産のすべてまたは一部を遺贈することを包括遺贈といいます。財産を特定せず割合だけを指定しますので、必ずしもプラスの財産だけではなくマイナスの財産も含まれる点に注意しましょう。

 

なお、民法990条によれば、包括遺贈の受遺者は相続人と同一の権利を有するとされていますので、もし遺贈を受けたくない場合は相続放棄の手続きをとる必要があります。

 

特定遺贈の場合

例えば「Aの土地をBに遺贈する」といったように、財産と受遺者を指定して遺贈することを特定遺贈といいます。民法986条によれば、特定遺贈の受遺者はいつでも遺贈を放棄することができるとされています。

 

ただし、受遺者が遺贈放棄すれば対象の財産が相続財産に戻ることになり、相続人は遺産分割協議をやり直す必要が出てくるかもしれません。このことから民法987条では、受遺者に対して相当期間内に遺贈を受けるかどうか回答を催告することができ、もし受遺者が期間内に回答しなければ遺贈を受け入れたとみなす、としています。

 

まとめ

遺言書は相続において最も優先されるべきものですが、必ずしも相続人あるいは受遺者に受取の義務が生じるものではありません。このため遺言者は、自分が亡くなったら相続人となる人(推定相続人)や受遺者となる人と話し合い、引き継がせたい財産を受け取る意思があるかどうか確かめておく必要性も出てきそうです。

 

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