トップページ > 例外もある?法で定められた遺言書の効力はどこまで有効か
例外もある?法で定められた遺言書の効力はどこまで有効か
遺言書には、法律によって効力を与えられた遺言事項がありますので、見落とさないように注意しましょう。ここでは、法で定められた遺言書の効力について説明していきます。
遺言書の法的効力がおよぶ範囲
民法に定められている遺言書の効力として、「財産に関わる事柄」「身分に関わる事柄」「遺言執行に関わる事柄」を挙げることができます。具体的にどのような事柄が対象になるのか、それぞれ確認していきましょう。
財産に関わる事柄
- 遺産分割割合や相続させる財産の内容など
- 相続人以外の人や団体に対する遺贈
- 生命保険金の受取人変更
- 特別受益の持戻し免除
遺言書は遺言者による財産分割の意思表示ですので、「誰にどの財産をどれくらい承継させるか」を指定することができます。必ずしも法定相続割合にしたがうことはなく、生前の相続人との関係性から相続分を割り振ったり、あるいは特定の人や団体への遺贈を行ったりすることが可能です。
また、生前に遺言者から贈与を受けた相続人は、その特別受益分を考慮して相続することになりますが、「持戻し免除」する旨を遺言書に記載することで、特別受益分を差し引かず相続させることもできます。
保険法改正により、遺言書で生命保険金の受取人を変更することもできるようになりました。
(遺言による保険金受取人の変更)
第四十四条 保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
2 遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。
※e-Govより抜粋「保険法」
身分に関わる事柄
- 非嫡出子の認知(婚姻によらない子の認知)
- 未成年後見人の指定(相続人に「親権者のいない未成年」が含まれる場合)
- 相続人廃除
生前の遺言者に対して暴力や虐待などを行ってきた人物が、遺言書によりその相続権を剥奪されることがあります。これを相続人廃除といい、遺言執行者により手続きが行われます。
遺言執行に関わる事柄
- 遺言執行者の指定
- 遺言執行者の指定の委託
遺言執行者とは、遺言書に記載された事柄を確実に実行するために選任する人物です。財産目録の作成・不動産名義変更・預貯金解約などを行う権限を持っています。
遺言書の効力が及ばないケース
基本的に、遺言者の意思である遺言書は最優先で扱われますが、次の2点において遺言書の効力が及ばないことがあります。
全相続人が遺言書によらない相続に同意した場合
すべての相続人が「遺言書によらず遺産分割協議で相続分を決定したい」と同意した場合、遺言書があっても遺産分割協議による相続が認められます。遺言書の内容に全相続人が納得をしていなかったり疑問を感じたりするような場合は、自分たちで相続について話し合って決めた方がいいと考えるケースもあるのです。
付言事項は遺言事項ではなく補足である
遺言書に記載された事柄は基本的に「実行すべき遺言事項」ですが、この他に付言事項として遺言者の心情や遺言書作成にいたった背景事情などを書き添えることができます。これら付言事項について法的効力はありませんが、遺言者の心のうちを相続人に伝える助けとなるでしょう。結果として、相続手続きがスムーズに進む可能性が見えてきます。
まとめ
法的効力を持つ遺言書を作成するためには、法に定められた形式を理解し間違いを避ける努力が必要です。専門家に相談・依頼すれば、遺言書案の作成アドバイスをもらえたり遺言執行者の引受サポートを受けたりすることができるので、慎重を期して専門家に話を聞いてもらうこともおすすめです。
当事務所では無料相談をご用意しておりますので、遺言についてお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。