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撤回や修正とは何か?遺言書の種類により異なる変更の仕方

人の心や人間関係は、ときの流れとともに徐々に変化していくものです。それに伴い、かつて作成した遺言書のアップデートが必要になることもあるでしょう。ここでは、遺言書の種類により異なる変更の仕方について説明していきます

 

遺言書の変更は可能か

遺言書を作成した時点ではその内容が最も適切であると考えていたはずですが、ときの経過とともに心情や人間関係、財産内容は変化していくものです。これに伴い、遺言書の内容を変更した方がいいと判断する可能性もあるでしょう。

 

遺言書は、相続が起こって始めて効力を発揮しますので、遺言者が元気であるうちはいつでもその内容を変更することができます。このことは民法にも明確に記載されています。

 

民法1022条(遺言の撤回)

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

※e-Govより抜粋

 

撤回」とは、前回の遺言書の内容を否定し新たな内容に変更することをいいます。自筆証書遺言でも公正証書遺言でも内容の撤回・変更は可能ですので、具体的な方法について整理していきましょう。

 

遺言書の種別による変更方法

自筆証書遺言公正証書遺言について、その内容の変更の仕方を理解しておくことをおすすめします。

 

自筆証書遺言

自分で作成した遺言内容を自分で変更していきます。その際、次に挙げるルールに沿って変更作業を行いましょう。

 

遺言書の一部を撤回し修正する場合

  1. 訂正したい箇所に二重線を引き上から押印する
  2. 訂正したい箇所に修正内容を書き込む
  3. 遺言書の末尾などに、何行目の何文字を削除し何文字を追加したか明記する

間違いのないよう、できれば専門家の力を借りて遺言書を修正し確認してもらうことをおすすめします。

 

遺言書をすべて撤回し修正する場合

撤回・修正年月日および当該自筆証書遺言書をすべて撤回する旨を明記しましょう。古い遺言書については忘れず破棄します。

 

自筆証書遺言書保管制度を利用している場合

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、以下の事柄に注意して手続きを行いましょう。

 

Q14:遺言書の保管の申請をした後に、遺言書の内容を変更したい場合はどうすればよいですか。

A:遺言書の保管の申請の撤回を行うと、遺言書の返還を受けることができます。返還された遺言書を物理的に廃棄し、新たに遺言書を作成して、再度保管の申請することで、内容を変更後の遺言書の保管が可能であり、この方法を推奨します。

その他にも、返還された遺言書を民法968条3項の方法で変更して、再度保管の申請をする方法と、撤回をせずに、別途新たに遺言書を作成して、追加で保管の申請をする方法があります。追加で保管の申請をする方法だと新旧複数の遺言書が存在することとなります。

なお、いずれの場合も改めて遺言書の保管の申請の手数料がかかります。

※法務省ホームページより抜粋

 

公正証書遺言

公正証書遺言は内容の撤回や修正をすることができませんので、新たに公正証書遺言書を作り直す必要があります。新しく公正証書遺言書を作成した場合は、前回遺言書作成日を明記しこれを撤回する旨を明記しましょう。

 

公証人連合会は、公正証書遺言書の撤回・変更について次のように述べています。

 

Q2.遺言の取消し(撤回)や変更は、自由にできますか?

  1. 撤回や変更も可能

遺言は、人の最終意思を保護しようという制度ですので、取消し(法律上は、遺言の取消しのことを「撤回」といいます。)や変更は、いつでも、また、何回でもできます。遺言書を作成した時点では、それが最善と思って作成した場合でも、その後の家族関係を取り巻く諸状況が変化し、あるいは心境が変わったり、考えが変わったりして、遺言を撤回し、または変更したいこともあると思います。さらに、財産の内容が大きく変わったとき等も、多くの場合、書き直した方がよいといえるでしょう。

  1. 撤回や変更のための新たな遺言

以上のように、遺言は、遺言書作成後の諸状況の変化に応じて、いつでも、自由に、撤回や変更をすることができます。ただ、遺言の撤回や変更は、必ず新たな遺言の形式(自筆証書であるか、公正証書であるかの種類は問いません。)でする必要があり、その場合、新たに作成する種類の遺言の方式に従って、適式にされなければなりません。

※公証人連合会ホームページより抜粋

 

まとめ

遺言書の作成形式を誤ってしまうと遺言内容自体が無効とされてしまいます。また、時間の経過とともに遺言内容を見直すことで、遺言者の希望を正しく相続人に伝えることが可能になります。もし、すでに作成した遺言書の内容について撤回・修正が必要と感じたら、早い時点で専門家に相談し、適切な対応を行うことをおすすめします

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