fbpx

トップページ > 本国法に注意!外国籍者でも日本で遺言書を作成できるか

本国法に注意!外国籍者でも日本で遺言書を作成できるか

国際結婚を経て夫婦で日本に在住するケースは決して少なくありません。日本で遺言書を遺そうと考える外国籍の配偶者も増えていると考えられます。ここでは、外国籍の人でも日本で遺言書を作成することが可能か説明していきます

 

日本法に基づく遺言作成

日本在住の外国籍者名義の財産が日本にある場合、日本法に基づいて遺言書を作成することが可能です。本国法における遺言の定めを確認する必要性はありますが、自身の死後、家族に財産を相続させるために、元気なうちから準備を始めるといいでしょう。

 

日本では公正証書遺言を作成する

日本在住の外国人が遺言を遺そうとする場合、選択肢は自筆証書遺言公正証書遺言のいずれかになります。

 

自筆証書遺言を遺す場合の注意点

自筆証書遺言を作成する際、問題は死後の手続きにあるといえますが、たとえば裁判所による検認の手続きについて考えてみましょう

これらの書類は日本人であれば労せず取得できますが、被相続人の本国および相続人の在住国によっては、そもそも戸籍謄本や印鑑登録証明の仕組み自体がないことも考えられます。この場合、代替書類として、本国で署名証明書や在留証明書を取得し日本の裁判所に提出する手間が生じることになります

 

公正証書遺言を遺す場合の注意点

公正証書遺言を作成する際も、自筆証書遺言の検認時と同様の書類を集める必要があり、やはり相応の手間がかかります。被相続人は戸籍謄本や印鑑登録証明書に代わる書類を本国で取得し、これを公証役場に提出する必要があるからです

 

また、日本語をどの程度理解し話すことができるかも重要です。遺言書や法律に関わる言葉は特有の言い回しをしますので、これらに対応することができない場合は通訳をつけて公正証書遺言を作成することになります。

 

自筆証書遺言も公正証書遺言も、必要書類の準備などに相応の手間がかかりますが、日本における信頼性の高さや安全性からいっても公正証書遺言を選択した方がいいでしょう

 

相続の準拠法

ここまで遺言書の作成について説明しましたが、日本で作成した遺言書が日本で効力を発揮するかどうかは、被相続人の本国法に基づきます。国によって相続人の範囲や相続割合などは異なりますが、本国法で「日本法が適用される」と定められている場合は日本の法律にしたがい手続きを行います

 

たとえば、被相続人が外国籍で、日本に不動産を所有していた場合について考えてみましょう。

 

被相続人(遺言者)がアメリカ人の場合

被相続人が在日アメリカ人の場合、州法を本国法として扱います。しかし、被相続人である在日アメリカ人が日本に所有する不動産については日本法に基づいて相続手続きを行いますので注意しましょう。

 

日本で不動産を相続する際に不可欠な相続登記では、戸籍謄本などの各種書類を用意する必要があります。ただし、アメリカには戸籍制度がないため、代替書類として出生証明書や死亡証明書、婚姻証明書や他に相続人が存在しない旨を記した宣誓供述書を準備します。なお、英語で書類が作成されている場合は翻訳文を添付しなければなりません。

 

被相続人(遺言者)が韓国人の場合

韓国法では、被相続人の本国法が適用されると定めていますので、日本在住の被相続人(在日韓国人)は韓国法に基づいて相続手続きを進めることになります

 

韓国では2008年に戸籍制度が廃止されましたが、遡って戸籍謄本を取得することもできます。戸籍謄本の廃止に伴う新たな制度として、家族関係登録制度が創設されましたので、翻訳文と共に以下の書類を取り寄せて日本で相続登記を行います。外国人登録原票の写しは法務局に申請して取得します。

 

日本在住の相続人にとって、韓国法を理解し必要書類を揃えることは決して簡単ではありませんので、遺言書を作成する際は、別途韓国法に基づく手続きなどの指南書を用意しておいた方が、相続開始後の手続きの助けになるでしょう。

 

まとめ

日本在住の外国人でも日本で遺言書を作成することは可能ですが、必ず確認すべきなのが「本国法ではどのように定めているか」ということです。日本と本国の両方の法律を照らし合わせ、どちらの国の法律にしたがうべきなのかを明確にするところから、遺言書作成が始まると考えてもいいかもしれません。

 

当事務所では行政書士を窓口とし、司法書士などの専門家と連携しながら相続のサポートを行っており、在日外国人の方による遺言書作成についてもご相談を受けています。個人が法律を理解し遺言書に落とし込むには相応の労力を要しますので、ぜひ無料相談をご利用いただきお気軽にお問い合わせください。

無料相談の予約はこちら