fbpx

トップページ > 無効になる?夫婦共同で遺言書を作成することはできるのか

無効になる?夫婦共同で遺言書を作成することはできるのか

夫婦として年齢を重ねてきたとき、二人で遺言書の作成を検討し始めるケースは少なくありません。ここでは、夫婦共同で1つの遺言書を作成できるのか説明していきます

 

夫婦共同作成の遺言書は無効

できれば夫婦揃って遺言内容を考え、1つの書面として作り上げたいのが自然な心情かもしれません。しかし、民法975条には「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。」と記載されており、共同で作成した遺言書が無効であることを示しています。

 

では、夫婦とはいえ共同で遺言書を作ることができないのはなぜなのでしょうか。

 

民法第1022条によれば、遺言者はいつでも遺言内容を撤回することができるとしています。

 

もし、遺言書を夫婦2人で作成した場合、夫婦の片方だけの意思で内容を撤回することはできなくなってしまいます。遺言内容を1人で撤回できないということは、夫婦の片方が先に亡くなった場合は一切撤回できなくなるということでもあります。また、夫婦間で意見の相違が生じたとしても、遺言内容を見直すことができません。

 

これは、民法が定める「遺言書の自由な撤回」に矛盾するものであり、また遺言者の利益にも反することから、共同遺言は無効あるいは禁止という扱いになるのです。

 

遺言書は夫婦で各1通ずつ作成を

前章で述べたように、夫婦が連名で1通の遺言書を作成することはできません。したがって、遺言書は夫婦別々に1通ずつ作成することが最善の策であることがわかります。法的に有効かつ自由な撤回が可能な遺言書を作成するようにしましょう。

 

また、遺言書作成において次のことに注意することが大切です。

 

有効な遺言書を作成する

法的に有効かつ自由な撤回が可能な遺言書の方式として、自筆証書遺言公正証書遺言が挙げられます。

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言は自分1人で作成することができますが、紛失や改ざんのリスクに備えてしっかりと保管しておくことが大切です。なお、令和2年(2020年)より法務局による保管制度が始まりましたので利用をお勧めします。

 

遺言書保管制度を利用するメリット】

 

公正証書遺言

法的なミスを回避することができ、かつ安全に遺言書を保管できる方法として最も勧められるのは公正証書遺言です。

 

遺言内容の原案は遺言者が考えますが、法律の専門家である公証人により作成されるため、遺言書が法的に無効になるケースはほぼみられません。証人2人に立ち会ってもらうことから、遺言者の意思能力が疑問視されることもないのです。保管状況も安心であるうえ、公正証書として作られた遺言書があれば相続人の間でトラブルになる心配も軽減されるでしょう。

 

遺言執行者を指定する

遺言書を作成するとき、遺言内容が確実に実現されるよう遺言執行者を指定することがあります。遺言執行者は相続手続きに関して、財産管理その他の遺言執行に必要な一切の権限を持っているため、相続人の負担を軽減しつつ遺言者の希望をしっかりと実現することが可能なのです。

 

遺言執行者の指定がなかった場合、相続人はあらゆる相続手続きに時間と手間を割かなければなりません。遺言執行者がいれば、たとえば次のような事柄を任せることができるため、遺言者・相続人の双方にとってメリットがある仕組みだといえます

 

【遺言執行者ができること】

 

相続人などいわゆる利害関係者に遺言執行者としての業務を依頼することもできますが、相続人同士のトラブルを回避する目的から、行政書士や司法書士などの専門家に依頼するケースも少なくありません

 

相続先を詳しく指定しておく

よくある例として「自分が亡くなったら全財産を配偶者に譲る」といった遺言書の書き方をする場合があります。しかし、先に配偶者の方が亡くなった場合、遺言内容を実現できなくなり、最終的には相続人による遺産分割協議を経て相続先が決定されることもあり得るでしょう。また、全財産という包括的な内容では、他に相続人がいる場合トラブルになる可能性も考えられるため、十分注意したいところです。

 

配偶者に自分の財産を相続させたい場合は、先に配偶者が亡くなってしまった場合についても言及しておくことが大切です。

 

まとめ

夫婦はそれぞれが1通ずつ遺言書を作成し、配偶者に対する相続を手厚くしつつ、他相続人の遺留分を侵害しないことに注意する必要があります。特に、子供がいない夫婦の場合、配偶者に相続させることができなければ、どちらの親や兄弟姉妹に財産を継がせるかというところまで突き詰めていくことも大事です。

 

当事務所は相続手続きに関して豊富な経験を有しており、ご夫婦で遺言書を作成しあいたいというご相談にも対応しています無料相談もご用意しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

無料相談の予約はこちら