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不動産を相続させるための遺言書の書き方
国税庁が公表した「令和4年分 相続税の申告事績の概要」では、相続財産のうち不動産が占める割合が3割強あることがわかりました。多くの被相続人・相続人にとって、不動産は決して無縁ではない相続財産なのです。ここでは、不動産を相続させるための遺言書の書き方について説明していきます。
遺言書に記載する不動産情報のポイント
遺言書で不動産を相続させようとするケースについて考えてみましょう。もし、「自宅の土地建物を配偶者である○○に相続させる」としか記載されていなかった場合、土地建物を遺言書から特定することができないため、相続登記を行うことができません。家族だけがわかっていればいいのではなく、客観的に「どの土地・建物なのか」が明確になるよう記載する必要があるのです。
登記事項証明書の取得
土地や建物は、不動産を特定するための地番や家屋番号により法務局が管理しています。自宅住所が「札幌市北区北○条西○丁目1番2号」だったとしても、自宅が建つ土地の登記情報は「札幌市北区北○条西○丁目123番地」など、異なる表記になっていることが非常に多いのです。
つまり、相続登記を行うことを念頭に置けば、遺言書に記載すべきは法務局の登記情報ということになります。遺言書に記載する不動産の地番や家屋番号は、法務局で登記事項証明書を取得すればわかります。また、土地の権利証や固定資産税納税通知書にも記載されていますので確認してみましょう。
共有名義の不動産を相続させる場合
相続対象の不動産が共有名義である場合は、遺言書に持分割合を明記しておくことが必要です。
遺言による相続登記の手続き
遺言によって不動産を相続させる場合、相続登記には次の書類の提出が求められます。ただし、遺言書で被相続人と相続人の関係が明確になっていれば、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要はありません。この点は、遺産分割協議により法定相続割合にしたがって不動産を相続するケースと異なります。
【遺言による相続登記の必要書類】
- 登記申請書
- 遺言書(登記原因証明情報として)
- 登記名義人(被相続人)の死亡の事実がわかる戸籍または除籍謄本)
- 登記名義人(被相続人)の戸籍の附票
- 相続人の戸籍謄本または抄本
- 相続人の住民票
- 固定資産評価証明書
※遺言執行者が手続きを行う場合は委任状などの代理権限証明書類
登記名義人(被相続人)が所有する不動産の所在地がどこかによって申請先が変わります。札幌市の場合は、以下の申請先に必要書類を提出するか法務省のオンライン申請システムを利用します。
【不動産所在地と管轄法務局】
- 札幌法務局(本局):中央区
- 南出張所:豊平区、南区、清田区
- 北出張所:北区、東区
- 西出張所:西区、手稲区
- 白石出張所:白石区、厚別区
不動産を相続させる遺言書の書き方
遺言書で不動産を相続させたいとき、当該不動産の登記名義人が被相続人のみである場合と共有名義である場合で遺言書の記載内容が変わってきます。
不動産の登記名義人が被相続人のみの遺言書
遺言書
遺言者(北海道太郎:昭和○年○月○日生)は、所有する不動産について次のとおり遺言する。
1.遺言者は、遺言者が所有する下記不動産について、妻北海道花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
【土地】
所 在:北海道札幌市○区○町〇丁目
地 番:○番○
地 目:宅地
地 積:○.○㎡
【建物】
所 在:北海道札幌市○区○町〇丁目
家屋番号:○番○
種 類:居宅
構 造:木造○○2階建
床 面 積:1階○.○㎡、2階○.○㎡
2.当該建物内の一切の什器備品を妻北海道花子に相続させる。
令和○年○月○日
北海道札幌市○区○町○丁目○番地○
遺言者 北海道太郎 印
不動産を相続させる場合、登記事項証明書に沿った情報を明記しましょう。また、自宅建物内の家財道具すべても相続させたい場合は、その旨も忘れず記載することが大切です。
不動産が共有名義である場合の遺言書
遺言書
遺言者(北海道太郎:昭和○年○月○日生)は、所有する不動産について次のとおり遺言する。
1.遺言者は、下記不動産の持分を妻北海道花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
【土地】
所 在:北海道札幌市○区○町〇丁目
地 番:○番○
地 目:宅地
地 積:○.○㎡
遺言者の持分2分の1
【建物】
所 在:北海道札幌市○区○町〇丁目
家屋番号:○番○
種 類:居宅
構 造:木造○○2階建
床 面 積:1階○.○㎡、2階○.○㎡
遺言者の持分2分の1
2.当該建物内の一切の什器備品を妻北海道花子に相続させる。
令和○年○月○日
北海道札幌市○区○町○丁目○番地○
遺言者 北海道太郎 印
共有名義の不動産を相続させる場合は、被相続人の持分を明記する必要があります。
まとめ
遺言書で不動産を相続させたい場合、不動産情報の書き方に注意を払わなければなりません。
当事務所では、遺言書作成はじめ相続全般に豊かな経験を持つ行政書士を窓口としてご相談・ご依頼をお受けしております。司法書士や税理士との連携もありますので、相続登記から相続税への対応までワンストップでサポートさせていただくことが可能です。
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