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法人と個人事業主では異なる?事業承継の手続きに必要な書類
事業運営の主体は法人か個人事業主かの二通りに分かれます。したがって、事業承継における手続きや書類もいずれかによって変わってくるのです。ここでは、事業承継の手続きに必要な書類について説明していきます。
法人の事業承継に必要な書類
法人の場合、事業の承継先は親族あるいは第三者のいずれかになります(M&Aを除く)。親族に事業を承継させるか第三者に承継させるかによって、必要な書類は変わってきますので確認しておきましょう。
親族に事業を承継させる場合
事業を親族に承継させる場合は、次の書類が必要になります。
- 事業譲渡契約書
- 株式譲渡契約書
事業譲渡契約書とは、会社が持つ資産や各種権利、雇用する従業員などの譲渡内容を記載するものです。また、株式譲渡契約書とは、会社経営者名義の株式を後継者に譲渡する旨を記したものです。
このほかにも、親族間で事業承継する場合に特有な書類として、次のものを挙げることができます。
- 遺言書
- 生前贈与契約書
- 遺産分割協議書
経営者は、自分に万が一のことがあったときに備えて、事業を含めた財産をどのように継がせるか明記した遺言書を用意しておくといいでしょう。同じく生前対策として生前贈与契約書を作成しておくと、親族間の揉め事防止に役立ちます。経営者が亡くなり被相続人となった場合は、事業を含む財産をどのように相続するかを決めた遺産分割協議書を作成しなければなりません。
第三者に事業を承継させる場合
事業を第三者に承継させる場合は、次の書類が必要になります。
- 株式譲渡承認契約書
- 株式譲渡契約書
会社の定款によって株式譲渡制限がかけられている場合があり、あらかじめ取締役会から承認を得る必要があります。承認が得られたら、譲渡先や株式の数を記載した株式譲渡承認契約書を作成します。そのうえで、後継者に株式を譲渡する旨を明記した株式譲渡契約書も作成します。
第三者への株式譲渡ではさらに、次の書類も用意しなければなりません。
- 株式名義書換請求書
- 株主名簿
後継者への株式譲渡が済んだら名義を書き換えますが、このとき求められるのが株式名義書換請求書です。株式の名義を後継者に換えることを明記したものになります。また、株主名簿も合わせて作成しましょう。
個人事業主の事業承継に必要な書類
個人事業主の事業承継では、現在の事業主による廃業届を済ませてから後継者が開業届を行う、という流れで手続きを進めます。
現在の事業主による廃業届
廃業するためには、廃業届や青色申告の取りやめ手続きなどを行わなければなりません。これら手続きの際に必要になる書類は次の通りです。
- 廃業届出書
- 事業廃止届出書(課税事業者の場合)
上記2種類の書類を所轄庁に提出することで廃業することができますが、別途税務関係の以下書類を用意する必要もあります。
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
- 給与支払事務所等の廃止届出書(従業員がいない場合は不要)
後継者による開業届
現在の事業主が廃業手続きを済ませたら、次に後継者が開業手続きを行います。青色申告を利用した場合の手続きについて確認しておきましょう。後継者が作成・提出すべき書類は次の通りです。
- 開業届
- 所得税の青色申告承認申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書(専従者がいる場合) など
開業と同時に青色申告や専従者給与に関する書類も作成しなければなりません。また、従業員を雇用する場合や消費税を扱う場合は、以下の書類も必要です。
- 雇用に関する書類
- 消費税課税事業者選択届出書(課税事業者を選択する場合)
- 消費税簡易課税制度選択届出書(消費税を扱う場合)
このほか、許認可を要する事業を行う場合は所轄庁に対してあらためて申請を行います。実務上では取引先や顧客への引き継ぎも必要になるでしょう。
まとめ
事業承継の対象が法人か個人事業主かによって、手続きの流れや必要書類は異なってきます。できるだけ時間的余裕をもって会社あるいは事業所の現状把握に努め、どのような書類が求められるかあらかじめ確認することが大切です。
事業承継にまつわる書類の準備には、専門的な知識が欠かせません。行政書類の作成はもちろんのこと、税金の申告に関わる手続きも必要になるため、できるだけ専門家に相談・依頼することをおすすめします。
当事務所では、行政書士を窓口として、提携する司法書士や税理士と協力しながら事業承継のトータルサポートを行っています。無料相談をご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。