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相続手続きの基本書類

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相続手続きの基本書類(相続手続きは何から手を付けたらよいのか)

 ここでは実際の相続手続きで必要となる書類について解説します。まず、どの相続手続きでも共通して必要になる書類がありますので、その書類についてです。

 

★相続手続き基本書類 その1

被相続人の生まれてから亡くなるまでのつながった戸籍・除籍・改製原戸籍

 

 相続手続きにおいては、亡くなった方(被相続人)の生まれてから死亡までの戸籍(こせき)を市町村役場に請求して、それらの戸籍をすべてつなげて取る作業(戸籍収集作業)が必要になります。これは、戸籍というのは被相続人の生前中の身分事項(被相続人がいつどこで生まれたとか、いつ誰と結婚したとか、婚姻外の子を認知したとか、誰と養子縁組をしたかなど)を公的に証明した証明書になるので、この戸籍を生まれてから死亡したときまで全てつなげて取得し、相続手続き先に被相続人の相続人が誰なのかを証明して、相続手続きに関与すべき人を確認する目的があるからこの戸籍収集作業が必要になるのです。

 

 この戸籍収集作業のやり方を順に追って解説します。

 

① 被相続人の死亡の記載のある戸籍の取得(戸籍の種類の説明)

 被相続人死亡後、死亡届が被相続人の本籍地(戸籍を置いているところ)がある市町村役場に到達し、死亡から数日経つと、被相続人の戸籍の身分事項欄にいつ死亡したかが記載されます。戸籍の取得は、この死亡の記載がされてからスタートします。死亡の記載がいつ戸籍に反映されるかは市町村役場の事務処理のスピードによって異なるので、死亡してすぐに取る場合は、事前に市町村役場に確認し、目途として、いつ頃戸籍に死亡の記載がされるかを確認してから戸籍を請求するようにしましょう。次に、戸籍の種類についても解説します。

 

 戸籍には謄本と抄本という違いがありますが、相続の場合は被相続人に関する戸籍に関し、すべて「謄本」で請求をしてください。「謄本」は戸籍に記載されているすべての人が記載されています。被相続人に配偶者がいれば必ずその戸籍「謄本」に配偶者の記載があります。相続手続きではこの戸籍収集で誰が相続人になっているかを相続手続き先に証明する必要があるので、戸籍は「謄本」で請求しないと意味がありません。なお、戸籍「抄本」というのは、戸籍の中の一部の人だけを抜き出した証明書になります。もしここで被相続人の戸籍「抄本」請求をしてしまうと、被相続人に配偶者がいるのに、その配偶者の記載のない証明書となってしまい、誰が相続人になっているかの証明ができなくなってしまいます。

 

 戸籍の中には、戸籍の筆頭者(戸籍の中の代表者的存在)が必ずいて、この筆頭者と本籍地の組み合わせで市町村役場では戸籍事務を管理しています。つまり、この筆頭者と本籍地の情報がないと、市町村役場では戸籍の交付申請者に戸籍の交付ができないことになるのです。

 

 戸籍請求をする際に、どうしても被相続人の本籍地がわからない場合は、まずは被相続人の住民票の除票という証明書を請求(証明書に省略事項なしで請求)し、その住民票の除票中に本籍地や戸籍筆頭者の情報が記載されていますので、それをもとに戸籍の請求をするとよいでしょう。

 

 戸籍の種類の中でもう1点、覚えておく事項があります。戸籍謄本と除籍謄本、改製原戸籍(かいせいはらこせき)謄本の違いです。

 

 戸籍謄本はその証明書の発行日現在において、その戸籍中に誰かが現存している証明書をいいます。人は死亡するとその戸籍から除籍されますが、その戸籍中に誰かが存在していれば、その証明書は戸籍謄本といえます。また、結婚や養子縁組などの事由により、その当事者が戸籍から抜ける(除籍)こともありますが、この時も戸籍謄本中に誰かが残っていればその証明書は戸籍謄本ということにとなります。戸籍謄本とは逆に、戸籍に誰も存在しなくなった証明書を除籍謄本といいます。また、戸籍の本籍地をある場所に移転する(転籍といいます)と、移転前の戸籍は除籍扱いとなり、その本籍地移転前の証明書も除籍謄本となります。

 

 最後に、改製原戸籍謄本ですが、これは、法令の改正に伴い、戸籍のリニューアルを行うことがあるのですが、そのリニューアル前の戸籍を改製原戸籍と呼びます。戸籍のリニューアルを行うとリニューアル後の戸籍とリニューアル前の戸籍が分かれて製作されるので、被相続人の生まれてから死亡までの戸籍をつなげて取る場合、この改製原戸籍謄本も合わせて取らないと、相続人が誰かということを相続手続き先に漏れなく説明することができなくなってしまいます。

 

 ①の証明書を取れたら、その被相続人の身分事項(被相続人の情報が書かれた欄)を確認し、また、謄本中の被相続人以外の人物を確認して、思ってもいない相続人が存在しないかを確認します。この作業は次の②以降の証明書についても全て同様に確認作業をします。

 

 

② ①の証明書を取ってから、その戸籍謄本(もしくは除籍謄本)を見て、その前の除籍謄本(もしくは改製原戸籍謄本)を請求する。

 ①を取ると、①の証明書の中に必ず、その戸籍謄本(もしくは除籍謄本)の従前の戸籍のありかがわかるようになっています。①の戸籍謄本(もしくは除籍謄本)が戸籍のリニューアルで書き換えをされている場合は、次は改製原戸籍謄本の請求ということになりますし、戸籍のリニューアルでなく、本籍地の移転(転籍)が行われている場合は、転籍前の除籍謄本の請求という流れになります。

 

③ ②の証明書が取れたら、②の証明書を確認し、同じ作業を繰り返しを行う(戸籍の遡り作業)

 被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍の遡りを行い、最終的に被相続人の生まれたときの戸籍まで遡って相続人の確認を行います。なお、戸籍の遡りはできれば被相続人の出生時まできっちりと行ったほうがよいです。相続手続き先では15歳まで遡ってくださいとか12歳まで遡ってくださいとかの違いがあるので、それならいっそのこと、出生時まで遡ったほうがすべての相続手続きに共通して使えるので、すべて取るようにしたほうがよいでしょう。

 

 被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍は取得してから有効に使える期限というのは基本的にないのですが、相続手続き先で指定期限がある場合はその期限が到来する前に相続手続きを取る必要があります。

 


★基本書類その1での注意点

 被相続人の生まれてから死亡までの戸籍の取得は、ほとんどの相続手続きで要求されますが、次の場合ではこの戸籍収集作業が増えます。

 

〇代襲相続が発生しているケース

 被相続人よりも先に(もしくは被相続人と同時に)亡くなった子がいて、その亡くなった子に子がいる(被相続人の孫)ケースは代襲相続と言いますが、この代襲相続が発生している場合は、その亡くなった子(被代襲相続人)の生まれてから死亡までの戸籍の取得も必要になります。被代襲相続人の子(代襲相続人)も被相続人の相続人になるので、その相続人の人数も確定させる必要があるためです。

 

 なお、この代襲相続は、被相続人に子や孫などの直系卑属がいなく、親や祖父母などの直系尊属もいない場合で被相続人の兄弟姉妹が相続人になるケースでも発生することがあります。被相続人よりも先に(もしくは被相続人と同時に)亡くなった兄弟姉妹がいて、その亡くなった兄弟姉妹に子がいる(被相続人の甥や姪)ケースです。この場合も代襲相続と言えますので、被相続人よりも先に(もしくは被相続人と同時に)亡くなった兄弟姉妹(被代襲相続人)の生まれてから死亡までの戸籍の取得も必要になります。

 


〇数次(すうじ)相続が発生しているケース

 先の代襲相続と少し異なるのが数次相続のケースです。被相続人よりも先に被代襲相続人が亡くなったケースでは、被代襲相続人の生まれてから死亡までの戸籍の取得が必要になると申し上げましたが、被相続人死亡後に相続人間での遺産分割未了の状態でその相続人が死亡したケースが数次相続のケースと言えます。

 

 このケースも、被相続人の死亡後に遺産分割未了のまま死亡した相続人の生まれてから死亡までの戸籍の取得も必要になります。相続人が本来持っていた相続の権利関係が、さらにその相続人の相続人に承継されることになるからです。

 


〇相続人の範囲が被相続人の兄弟姉妹や甥姪まで及んでいるケース

 この場合の注意点は、被相続人の生まれてから死亡までの戸籍の取得にとどまらず、被相続人の亡親(実親全員の他、養子縁組で被相続人に養親がいる場合は養親全員も含める)の生まれてから死亡までの戸籍の取得も必要になります。これはなぜかというと、被相続人の亡親の生まれてから死亡までの戸籍も取得しないと、被相続人の兄弟姉妹の人数の確定ができないためです。亡親の生まれてから死亡までの戸籍を取ると、その亡親の子供の数が確認できますので、つまり、それは被相続人の兄弟姉妹の人数の確定につながるというわけです。

 

 

★相続手続き基本書類 その2

相続人全員の戸籍謄本及び相続人全員の住民票(もしくは戸籍の附票)

 

 すべての相続手続きでこの証明書を漏れなく取る必要まではありませんが、多くの相続手続きでは相続人全員の戸籍謄本(被相続人の場合と異なり、相続人の場合は戸籍「抄本」でもよいが、相続手続き先で戸籍「謄本」を求められるケースもあるので、できたら戸籍「謄本」で取る)を求められますので、この証明書は用意するようにします。相続人本人が自分の戸籍謄抄本を取ることはできますが、自分以外の戸籍謄抄本は取れないケースもありますので、自分以外の相続人の戸籍謄抄本は他の相続人にお願いして取ってもらうとよいでしょう。

 

 また、相続人全員の住民票(もしくは戸籍の附票→戸籍の附票とは、戸籍に記載された者の住所情報を記載した証明書のことをいいます。)も全ての相続手続きで要求されたものではないのですが、相続関係説明図の作成や遺産分割協議書の作成、その他の各種相続手続き書類の中で住所情報を記載することもあるので、できたら合わせて用意するようにしたらよいと思います。

 

 相続人の戸籍謄抄本・住民票(戸籍の附票)は、取得してから有効に使える期限というのは相続手続き先で指定されていることがあります。その指定がない場合は厳密な期限があるわけではありませんが、あまりにも古くなった場合は再取得をお願いされることもあります。

 

 

★相続手続き基本書類 その3

相続人全員の印鑑証明書(遺言書がない場合)

 

 基本書類の最後が相続人全員の印鑑証明書となります。相続手続きでは、その相続手続き書類に相続人全員の署名及び押印を求める扱いが多く、その押印する印鑑は実印(市町村役場に登録してある印鑑)である必要があります。印鑑の登録を市町村役場にしていない方は、市町村役場に実印の登録を行います。

 

 法的に有効な遺言書がある場合は、相続手続き書類に相続人全員の署名及び押印までは不要になることもありますが、遺言書がない場合はほとんどのケースで相続人全員の署名及び実印の押印が必要となりますので、それに伴い印鑑証明書の取得が必要になります。印鑑証明書の使える有効期限は、これも相続手続き先により異なりますが、金融機関(預貯金等)では発行より3か月から6か月となっています。

 

 

★相続で作成する書類作成例(遺産分割協議書)

 遺産分割協議書とは、被相続人の遺産に関し、相続人全員がどのようにその遺産を取得するかを取り決めした書面と言えます。遺産分割協議書の作成が必須なケースと不要なケースに分かれますが、相続人間での後日の争いやトラブル防止のため、書類の作成はしておいたほうがよいと思います。

 

 遺産分割協議書の中にはどんなことをどのように記載すべきかは、ケースバイケースとなりますが、ここでは一般的な遺産分割協議書の例を掲載しておきます。

 

  遺産分割協議書作成例PDF

 

 

★相続で作成する書類作成例(相続関係説明図、法定相続情報証明)

 基本書類その1とその2(戸籍関係書類一式、住民票関係書類一式)が揃った段階で、相続手続き先に相続人の関係を明瞭に示すために、相続関係説明図の作成もしたほうがよいといえます。ただし、相続関係説明図の作成は必須ではありません。相続関係説明図を相続手続きに添付することによって、取得した戸籍の還付請求ができることもあります。

 

 また、被相続人の死亡地や本籍地、相続する不動産の所在地、相続人の住所地などを管轄する法務局に、取得した戸籍関係書類一式、住民票関係書類一式と作成した相続関係説明図を提出した上で、「法定相続情報証明」の交付請求を行うこともできます。この「法定相続情報証明」を相続手続きの際に提出することにより、取得した戸籍関係書類一式、住民票関係書類一式を手続き先に提出しなくても相続手続きが進むケースもあります。

 

  相続関係説明図作成例(法定相続情報証明)PDF

 

  法定相続情報証明申請に必要な書類一覧(法務省HP抜粋)PDF

 

  法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書(法務省HP抜粋)PDF

 

  法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書記入例(法務省HP抜粋)PDF

 

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