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相続遺言に関する書籍出版や執筆ご案内

遺言書30文例書籍を執筆しました

 当事務所代表行政書士・千田が、一般社団法人相続診断協会様のご協力により、遺言書30文例の一部を執筆させていただきました。執筆した記事を下記に掲載させていただきます。

 

遺言文例本

 

法定相続人が30人いる?遺言書がないと遺産の分割は相当難しくなる。

<家族構成>

 遺言者本人(女性・遺言作成時87歳)には配偶者と子2人がいましたが、配偶者及び子2名は先に死亡しており、孫はいません。遺言者の親もすでに死亡していました。遺言者の兄弟姉妹は遺言者も含めて全部で12名でしたが、健在な兄弟は遺言者他に1名のみの状況です。つまり、10名の兄弟姉妹はすでに死亡していました。その死亡している兄弟姉妹の子供は全部で29名という事案です。

 

<財産内容>

預貯金 2700万円(金融機関2社)

不動産 300万円

合計  約3000万円

 

遺言書を作成するに至った経緯

 筆者は遺言者の亡夫死亡時の相続手続きのお手伝いをさせていただいたのですが、その際、遺言者ご夫婦にはお子様がおらず、相続人が配偶者と死亡した夫の兄弟姉妹や甥姪にまで及んだことから、相当数の相続人が存在し、その中には交流のない相続人も多くいたことから、亡夫の相続手続きは困難の連続でした。相続手続きが完了したのは、手続きスタートから半年以上も経った頃です。この時の相続人の人数は全部で16名いました。

 

 相続手続きは遺言書がない場合、相続人全員の足並みを揃え、相続人全員を相続手続きに参加させる必要があります。この時、相続人全員の実印をついた書類と印鑑証明書が必要になるので、一人でも相続手続きに非協力的な者がいた場合、まったく相続が進まないという事態となります。

 

 遺言者はこの時の苦い経験から、遺言者が死亡した時に残される相続人に苦労をかけたくないという思いと、これまで遺言者の面倒をみてくれた親族の一部に自分の遺産を渡したいという気持ちがありましたので、遺言書を作成するということになり、その遺言書作成のサポートを筆者が行いました。

 

遺言書作成の手続き開始

 筆者は相続や遺言関係を専門とする行政書士です。行政書士は遺言書のような権利義務に関する書類作成をサポートする専門家ですが、まず、筆者は遺言者が死亡した際にどのような相続人が存在するのかの調査よりスタートしました。これを推定相続人(相続が発生した際に相続人となる人のこと)の調査といいます。

 

 遺言者は自分には兄弟姉妹が何名いて、すでに亡くなっている兄弟姉妹が何名なのかすらわからない状況でした。遺言者よりも先に兄弟姉妹が死亡しており、その兄弟姉妹にお子様がいる場合、その子(遺言者からすると甥姪)は代襲相続人となります。

 

 遺言書には相続させる相手(もしくは遺贈する相手)だけ記載し、その他の相続人は記載する必要はないので、このような推定相続人の調査は不要かと思われる方がいますが、遺言書に遺言執行者(遺言の内容を実現する人のこと)の指定がある場合、遺言執行者は遺言者死亡後に相続人全員に相続財産の状況を報告する義務があることから、事前の推定相続人の調査は必要になります。

 

 筆者はこの推定相続人の調査を3か月程度かけて行った結果、なんと推定相続人が30名もいることが判明しました。これは遺言書がなければ、30人の相続人で遺産分割の協議をする必要が生じるので、遺言者はその人数を聞いて、今回、遺言書の作成を進めてよかったと言っていました。筆者もここまで推定相続人がいると思わなったので遺言書がないと大変なことになったとお話しをしました。

 

遺言書の内容

 遺言者にはこれまで大変お世話になった甥や姪がいました。30名で遺産を分けるのではなく、お世話になった一部の甥や姪に自分の遺産を分けたいということになり、その甥や姪を指名して、次のような遺言書を公正証書遺言として遺しました。

 

遺言公正証書(以下は実際の遺言書例文です。)


本公証人は、遺言者〇〇〇〇の嘱託により、後記証人の立会いのもとに、以下のとおり遺言者の口述を筆記し、この証書を作成する。

 

第1条 遺言者は、その有する本条記載預貯金を、遺言者の甥である〇〇〇〇 (昭和〇〇年〇月〇日生。住所 〇〇〇〇〇〇〇〇) および遺言者の姪である〇〇〇〇 (昭和〇〇年〇月〇日生。 住所 〇〇〇〇〇〇〇〇)に各2分の1ずつ相続させる。

預貯金

① 〇〇銀行 〇〇支店

1)普通預金 口座番号 〇〇〇〇〇〇

2)定期預金 口座番号 〇〇〇〇〇〇

 

② ゆうちょ銀行

1)通常貯金

記号番号〇〇〇〇〇〇

2)定額貯金

記号番号〇〇〇〇〇〇

 

その他、遺言者が取引中の金融機関の遺言者名義の預貯金の全部

 

第2条 遺言者は、遺言者名義の下記不動産を前記甥・〇〇に相続させる。

不動産

1 土地

(土地の表示)

所 在    〇〇〇〇〇〇

地 番    〇〇番〇

地 目    宅地

地 積    〇〇〇平方メートル〇〇

 

第3条 遺言者は第1条から第2条記載の財産を除く一切の財産を、前記甥の〇〇および前記姪の〇〇に各2分の1ずつ相続させる。

 

第4条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 行政書士   千  田  大  輔

昭和56年1月26日生

2 遺言執行者は、単独で、遺産である預貯金等について、名義書換、名義変更、払戻し、解約請求等一切の処分、取引を行うほか、貸金庫・保護預かり契約がある場合には、これを開扉の上、内容物を収受し、又はこの貸金庫・保護預かり契約を解約するなど、本遺言を執行するために必要な一切の行為をする権限を有する。

3 遺言執行者の請求に応じて、遺産である預貯金等を払い戻した金融機関は、その責任を免除されるものとする。

4 遺言者は、遺言執行者が本遺言を執行するために必要であると認めたときは、本遺言の執行実務を、専門家である第三者に委託することを認める。

 

本旨外要件

住所  〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

職業  〇〇

遺言者 〇〇 〇〇

昭和〇年〇月〇日生

前記遺言者は、印鑑証明書の提出により人違いでないことを証明させた。

 

住所  〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

職業  行政書士

証 人 千  田  大  輔

昭和56年1月26日生

 

住所  〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

職業  行政書士補助者

証 人 〇〇 〇〇

昭和〇年〇月〇日生

 

前記遺言者及び証人に読み聞かせたところ、各自筆記の正確なことを承認し、以下に署名押印する。

遺言者           〇〇 〇〇

証 人           千  田  大  輔

証 人           〇〇 〇〇

この証書は、平成〇年〇月〇日、当公証役場において、民法第969条第1号ないし第4号の方式に従って作成し、同条第5号に基づき本公証人以下に署名押印する。

所在地 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

札幌法務局所属

公証人           〇〇 〇〇

以 下 余 白


 このような遺言書の内容となりました。遺言の付言事項としては、以下のような文言を入れ、なぜこの遺言を作成するに至ったのか、また、争族にならないような配慮を相続人に求めるものでした。

 

<付言事項>

 甥の〇〇と姪の〇〇にはこれまで大変世話になりました。夫が死亡した際も、行政書士さんを紹介してくれて大変な相続手続きも一緒になって手伝ってくれました。それだけでなく、これまでわざわざ遠いところ私が居住する家まで何度も足を運び、私の体のことを気遣ってくれたり、一緒に買い物に行ったりと私の身の回りの面倒も本当によくみてくれています。甥〇〇と姪〇〇には感謝しています。ありがとう。私には30名もの相続人がいるそうですが、甥の〇〇と姪の〇〇以外は疎遠で、なんの連絡も取りあっていません。私の気持ちとしては、やはり面倒をよく見てくれた甥〇〇と姪〇〇に自分の財産をあげたいのです。この気持ちはご理解ください。みなさんどうぞお元気で。よろしくお願いします。

 

遺言者死亡後の遺言執行

 筆者がこの遺言作成のサポートをしてから数年後に、遺言者は他界されました。筆者はこの遺言で遺言執行者の指定を受けており、生前中に推定相続人の調査を行っていたため、遺言執行に際しすぐに遺言書の内容を相続人全員に開示でき、また、相続財産の状況についても報告ができました。相続人の皆さまは付き合いのなかった叔母(一部兄弟姉妹)ということで、特に遺言書の内容に関して異議もなく、遺言書記載のとおりスムーズに遺言の執行を行うことができました。もし、遺言書がなければ相続人30人での遺産分割となったため、遺言書があって本当によかった事案であると思っています。

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