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意味も税金も別!事業承継と相続の違いとは
事業承継も相続も、事業を継ぐという点では共通しています。ただし、両者には明確な違いがあり混同しやすいのも事実です。ここでは、事業承継と相続の違いについて説明していきます。
【意味が異なる】事業承継と相続の違い
事業承継と相続には、それぞれまったく別の意味合いがあります。
事業承継
事業承継とは、文字通り「先代の経営者から事業を引き継ぐ」ことを意味しています。そのきっかけは先代経営者の高齢化だったり相続だったりしますが、先代経営者が健在であるうちから事業承継の手続きを進めるケースも非常に多いため、相続とは性質がまったく異なることがわかります。
事業承継を行うべきタイミングに関する法の定めはないので、各経営者が自ら会社の状況を判断し、後継者を決め時間をかけて、事業を受け継いでもらうための準備を行うのが一般的です。
相続
相続とは、亡くなった家族や親族を被相続人として、「被相続人の所有財産を引き継ぐ」ことを意味しています。被相続人が事業を行っていた場合、事業に関連する預貯金や土地建物、借金などが相続財産としてみなされますので、法律に基づき、被相続人の配偶者、子、孫や親など該当する相続人がこれら財産を受け継ぐことになります。
事業に関する財産は、遺言書がない限り法定相続人が相続します。必ずしも会社の状況や経営に明るい人物が受け継ぐわけではないため、会社としては不安が残りやすいといえるかもしれません。
手続き面での違い
手続き面でも、事業承継と相続では違いがみられます。
- 事業承継で行われる手続き:会社法などの法律に基づき、株主総会による承認や登記手続きなどを行う
- 相続で行われる手続き:相続税納付に向けた各種の相続手続きが行われ、遺産分割協議書の作成が必要となることもある
【かかる税金が異なる】事業承継と相続の違い
経営者が健在のうちから主体的に進められる事業承継か、経営者が亡くなり相続が発生したことによる事業承継かによって、発生する税金も変わってきます。
経営者が主体的に進める事業承継
経営者が引退し後継者に事業を継がせる場合、事業を営むのに必要な資産も譲り渡すため、贈与税が発生します。贈与税の基本的な考え方は以下の通りです。
- 対象期間と対象財産:その年の1月1日から12月31日までに贈与された財産
- 控除:贈与財産の合計額から110万円を基礎控除として差し引く
- 税率:基礎控除分を差し引いて残った額に対し、金額に応じた税率をかけて税額を算出
※国税庁ホームページ参照
経営者の相続開始による事業承継
経営者が亡くなって相続が発生した場合、相続人は速やかに相続税納付に向けた各種手続きを行わなければなりません。相続税の基本的な考え方は以下の通りです。
- 対象期間と対象財産:亡くなった時点で被相続人が所有していた各種財産
- 控除:課税遺産総額から基礎控除分を差し引く(※1)
- 税率:基礎控除分を差し引いた課税遺産額に対し、金額に応じた税率をかけて税額を算出
※1「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」を基礎控除額とする
※国税庁ホームページ参照
特例事業承継税制
求められる要件を満たし一定の手続きを行うことによって、株式を後継者に継がせる際に発生する贈与税や相続税を猶予または免除してもらうことができます。詳しくは国税庁ホームページを参照するか、最寄りの税務署に確認することをおすすめします。
事業承継税制は、円滑化法に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。
※国税庁ページより抜粋
まとめ
事業承継も相続も、経営者が営む事業及びその資産を次の世代に譲ることから、明確な違いがわからず混乱してしまうことがあります。混同したままにせず、税務署や専門家に相談して違いをしっかりと認識することがとても大切です。
当事務所では相続全般を取り扱っておりますので、ぜひ無料相談をご利用ください。ご不明な点や疑問点などを整理して、ビジョンを明確化するサポートをさせていただきます。