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事業承継前に対策しておきたい経営者保証問題

中小企業が金融機関から借り入れを行う際の仕組みとして、経営者個人が会社の保証人となる「経営者保証」が挙げられます。ここでは、事業承継を検討している会社が経営者保証に関し行っておくべき対策について説明していきます

 

会社の借入内容を整理して全体像を把握する

経営者保証とは、万が一、会社が倒産するなどして借入金の返済ができなくなった場合、経営者個人が代わりに返済を行う仕組みをいいます。自分の会社について事業承継を検討している場合は、まずは借入に関する情報を以下のように整理しておきましょう。

 

【銀行A】

借入額:5,000万円

契約日:2017年4月

返済期間:60ヵ月間

利率:固定金利2%

担保:自宅

 

借入が複数ある場合は、上記の例に倣いまとめておきます。ただし、事業承継を検討している場合、経営者保証や担保がついている借入については後継者に継がせることができませんので、専門家に相談しながら適切な手続きを進めていくようにしましょう

 

経営者保証に関するガイドラインと国による施策について

経営者保証という仕組みがあることで、事業者はスムーズに資金を用意することができます。しかし、いざ事業承継について考えるべきときが来た時、経営者保証があることで事業の引継ぎがやや困難になる可能性がありますので注意しましょう

 

経営者保証があることによって事業承継等が円滑に進まないといった事態を解決するために、全国銀行協会と日本商工会議所は平成25年に「経営者保証に関するガイドライン」を公表し翌年には適用を開始しました。また、同ガイドラインの促進を図る目的から、政府としても「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」を令和元年から実施しています

 

経営者保証ガイドラインの重要ポイント

ガイドライン自体に法的拘束力はありませんが、中小企業やその経営者、関係金融機関が自主的に守るべきルールとして、ガイドラインに沿った対応が求められています。たとえば、ガイドラインの第4章では「経営者保証に依存しない融資の促進」について、第5章では「経営者保証の契約時の対象債権者の対応」について、第6章では「既存の保証契約の適切な見直し」について言及されています。

 

【ガイドラインのコンテンツ(目次より抜粋)】

4.経営者保証に依存しない融資の一層の促進

 (1)主たる債務者及び保証人における対応

       ① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離

       ② 財務基盤の強化

       ③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

(2)対象債権者における対応

 

5.経営者保証の契約時の対象債権者の対応

(1)主たる債務者や保証人に対する保証契約の必要性等に関する丁寧かつ具体的な説

(2)適切な保証金額の設定

 

6.既存の保証契約の適切な見直し

(1)保証契約の見直しの申入れ時の対応

       ① 主たる債務者及び保証人における対応

       ② 対象債権者における対応

(2)事業承継時の対応

       ① 主たる債務者及び後継者における対応

       ② 対象債権者における対応

 

7.保証債務の整理

(1)ガイドラインに基づく保証債務の整理の対象となり得る保証人

(2)保証債務の整理の手続

(3)保証債務の整理を図る場合の対応

※全国銀行協会ホームページより一部抜粋

 

経営者保証ガイドラインを適用するための3つの要件

企業においては、以下3つの要件を将来にわたり満たし続けることが必要とされています。

 

 

これらの要件を満たすことにより、経営者保証の形をとらず融資を受けられる可能性が生じ、またすでに借り入れた金銭について経営者保証の見直しが期待できるようになります。金融機関に関しては、3つの要件をどの程度満たすかにより、経営者保証を求めない貸し付けを行ったり経営者保証に代わる方法で保証を得たりすることが求められます。

 

経営者保証を外す際のポイント

経営者保証は、一定の条件の下で外せる可能性があります

こういった条件を満たしていることで、金融機関との交渉を進めることができるでしょう。

 

なお、経営者保証に関するガイドラインの詳細や参考事例については、金融庁のホームページを参照できますので、一度目を通しておくことをおすすめします。

 

まとめ

経営者保証の問題については、政府系機関が関わることにより融資の無保証化を進めるなど、政府としても対策に乗り出しています。

 

当事務所でも、事業承継にまつわるさまざまなご相談やご依頼を承っておりますので、お困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください

 

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