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単独で手続き可能!遺言書がある場合の不動産相続の流れ
遺言書は被相続人の意思を伝えるものであり、相続においては最も優先されるものとなります。ここでは、遺言書に基づく不動産の相続手続きの在り方について説明していきます。
遺言書がある場合の不動産相続の流れ
被相続人が自筆証書遺言を残していた場合と公正証書遺言を残していた場合では、相続発生後の手続きに違いが生じます。
【自筆証書遺言が遺されていた場合】
自筆証書遺言が遺されていた場合は、すぐに家庭裁判所に対して検認の申立てを行いましょう。自筆証書遺言書は裁判所による検認の際に開封されることになっており、相続人であっても勝手に開封することはできません。検認が完了したら、ようやく相続登記ができるようになります。
【公正証書遺言が遺されていた場合】
遺されていたのが公正証書遺言書だった場合は、裁判所の検認は不要です。遺言書の正本と、被相続人と相続人の関係を示す戸籍謄本などを用意することによって、不動産の相続登記を勧めることができます。
ただし、相続登記の手続きができるのは、当該不動産を引き継いだ相続人に限られます。単独名義で相続した場合は当該相続人が、共有名義で相続した場合は、その共有者それぞれが登記申請人になります。
相続登記の必要書類
遺言書が遺されていた場合、相続登記には次の書類が必要です。遺言書で不動産を継ぐよう指定された相続人と被相続人との関係性がわかればいいので、被相続人の出生から死亡までを遡る戸籍謄本は不要です。
【必要書類】
- 登記申請書
- 登記原因証明情報(遺言書)
- 登記名義人の死亡を証明する書類(戸籍・除籍・原戸籍謄本または抄本)
- 相続人の戸籍謄本または抄本
- 被相続人の死亡時の住所を明らかにする書類(住民票除票や戸籍の附票など)
- 相続人の住所証明情報(相続人の住民票や戸籍附票など)
- 固定資産の評価証明書
- 代理権限証明情報(※遺言執行者が手続きする場合:遺言書や委任状など)
相続登記の申請先
用意した申請書類を管轄の法務局に提出するか、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して申請します。
札幌市における管轄法務局は以下の通りです。
【中央区】札幌法務局(本局)
【豊平区、南区、清田区】南出張所
【北区、東区】北出張所
【西区、手稲区】西出張所
【白石区、厚別区】白石出張所
※法務省ホームページ「管轄のご案内」参照
登記申請書の記載例
【登記の目的】
単独名義で相続する場合は「所有権移転」、共有名義で相続する場合は「(被相続人)持分全部移転」と記載します。
【原因】
遺言に基づく相続登記の場合は、原因の欄に「相続」と記載します。なお、日付は遺言の効力が生じた日(相続が発生した日→遺言者死亡の日)です。
【相続人】
遺言書に基づく相続人の住所・氏名・連絡先を記入し押印します。
【添付情報】
登記申請書に添付する書類(添付情報)は原則として原本を用意します。
登記原因証明情報としては、遺言書および被相続人の死亡の事実がわかる戸籍謄本または除籍謄本、ならびに相続人の戸籍謄抄本の添付が必要です。
遺言書がある場合の住所証明情報としては、実際に相続する者(相続人もしくは受遺者)の住民票を提出します。
【日付】
管轄の法務局への申請日を記入します。なお、札幌市における各区管轄法務局は以下の通りです。
【中央区】札幌法務局(本局)
【豊平区、南区、清田区】南出張所
【北区、東区】北出張所
【西区、手稲区】西出張所
【白石区、厚別区】白石出張所
※法務省ホームページ「管轄のご案内」参照
【課税価格】
不動産の課税価格とは、市町村役場の固定資産税台帳に登録された価格を指しています。
【登録免許税】
登録免許税は「不動産の価格(課税価格)」の1000分の4(0.4%)にあたる額です。
【不動産の表示】
一筆の土地または一個の建物ごとに割り振られた13桁の数字で、これにより不動産を識別できるようになっています。登記事項証明書などに記載されていますので、確認のうえ記入しましょう。
登録免許税の納付と申請
書類提出と登録免許税の納付をもって申請が完了します。登録免許税は「不動産の価格(課税価格)」の1000分の4(0.4%)にあたる額ですので、仮に不動産の価格が3,000万円だった場合、3,000万円×0.004=12万円になることがわかります。
遺言書がある場合の相続登記の注意点
遺言書があることによって相続登記の内容が変わってきますので、注意点について確認しておきましょう。
戸籍謄本などが不要になる
通常、相続登記には「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など」が必要になります。これらの書類は、法定相続人を確認しその相続権利を証明するために準備が求められるのです。
しかし、遺言書により不動産を相続する相続人が指定されている場合は、相続人としての証明を行う必要がありませんので、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など」は省略可能です。同様に遺産分割協議書の提出も不要です。
指定された相続人が単独で手続きできる
遺言書は最も優先すべき被相続人の意思ですから、指定された相続人が不動産の相続登記を行ううえで他相続人による協力を必要としません。
※ただし、遺言執行者の指定がない遺贈のように、法定相続人以外の人物が不動産を引き継ぐ場合は、相続しない相続人の協力が必要になることがあります。
まとめ
遺言書により不動産を相続した場合は、単独で相続登記を行うことができます。しかし、登記申請書類を集める手間や労力がかかることはもちろん、法務局への手続きに複雑さを感じることがあるかもしれません。
当事務所では、行政書士を窓口として、司法書士などの専門家と連携しながら相続登記を含む相続手続き全般のサポートを行っています。遺言書が見つかり単独名義で不動産を引き継ぐことがわかったら、お1人でその手続きに悩むことなく、まずは無料相談でお話をお聞かせください。