fbpx

トップページ > 効力はあるのか?相続で口約束を実現する方法とは

効力はあるのか?相続で口約束を実現する方法とは

亡くなった人から生前に「自分が亡くなったら財産をあなたにあげる」といった口約束を受けていた場合、実際に財産を相続することはできるのでしょうか。ここでは、口約束の効力や口約束を実現するための方法について説明していきます

 

遺言書の作成

亡くなった人が確かに「財産をあげる」と言ったとしても、口約束は客観的な証拠を持たないため、実際の相続手続きでは主張が通らない可能性があります。すべての相続人が被相続人の意思を確認し納得している場合はいいですが、口約束は個人間でなされることも多く、相続において一般的には通用しないと考えた方がいいでしょう。

 

遺言書作成で口約束を実現する

口約束では証拠が残りませんので、できるだけ遺言書を作成してもらい、財産の相続あるいは遺贈などについて明記してもらうようにしましょう。自分で作成する自筆証書遺言と公証役場が介入する公正証書遺言のうちいずれを選択するか、決めておく方がスムーズです。

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言作成者が遺言書全文を自筆し、署名押印することで完成するものを指します。自分で手軽に作成できることから、自筆証書遺言を選択する人は少なくありません。

 

ただし、法律により、自筆証書遺言が有効とされるための条件が定められていますので、関連法をよく確認して慎重に作成することが大切です。また、遺言内容は明確にし、遺留分に気をつけることも意識しましょう。

 

また、紛失や改ざんへのリスク対策として、自筆証書遺言を遺言書保管所に預ける制度がありますので、これを利用するのも1つの方法です。

 

(遺言書の保管の申請)

第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。

2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。

3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。

4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。

一 遺言書に記載されている作成の年月日

二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所

イ 受遺者

ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者

四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。

6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。

※法務局における遺言書の保管等に関する法律より抜粋

 

公正証書遺言

口約束を実現するためには、リスク要因の多い自筆証書遺言よりも公正証書遺言を作成した方がいいでしょう。遺言原案は遺言者が考えますが、これを公証人に口述し、公証人が遺言書を作成しますので、誤りなどを防ぐことができます。

 

自筆証書遺言では、内容の不備などから無効とされてしまうケースもありますが、公正証書遺言であれば内容の正確性が担保されます。また、作成した遺言書を公証役場で保管するため、紛失や改ざんの恐れがなくなることもメリットだといえるでしょう。

 

(公正証書遺言)

第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 証人二人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

※民法より抜粋

 

死因贈与の契約

口約束による相続を実現するための方策として、遺言書の作成を挙げましたが、被相続人がまだ健在であるうちに死因贈与の契約を結んでおくと、財産の移動がよりスムーズになります

 

死因贈与契約で口約束を実現する

死因贈与契約とは、遺贈者の生前に受贈者との間で特定の財産を渡す約束を書面化したものです。私署として契約書を作成した場合や執行者を指定していない場合は、相続人全員の印鑑証明書を必要とする等、手続きが若干複雑になります。一方、公正証書として契約書を作成し執行者を指定していれば、贈与の手続きはシンプルで実現しやすいものとなるでしょう。

 

まとめ

被相続人の財産を相続あるいは遺贈するうえで、被相続人が最も気を付けなければいけないのは争族の回避です。特に、生前の口約束がある場合は「言った、言わない」で揉める可能性がありますので、遺言書を作成して遺言書保管所に預けるか、あらかじめ死因贈与契約を結んで書面化する対策が求められるでしょう。

 

遺言書や死因贈与契約書を正しく作成するためには、法律を正しく理解し活用できる知識や経験が欠かせませんので、トラブル回避のためにも専門家に相談することをお勧めします。当事務所では、遺言書や死因贈与契約を含む相続問題全般について豊富な経験を有していますので、無料相談をご利用いただき、現在口約束となっている事柄に確実性を持たせる方法を見つけましょう

無料相談の予約はこちら