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相続土地国庫帰属制度の申請手続きの流れ
所有者不明土地はさまざまな社会問題の原因となります。そのような状況を回避するためにも、相続土地を国庫に帰属させる制度が生まれました。ここでは、相続土地国庫帰属制度の申請手続きについて説明していきます。
相続放棄に変わる選択肢「相続土地国庫帰属制度」
これまで、土地を相続したが相続人がこれを不要とする場合、相続放棄により手放すことが多かったといえます。しかし、相続放棄することは、プラスの財産・マイナスの財産ともに全ての権利を失うことを意味するため、不要な土地だけを放棄するといったことができませんでした。結果としてプラスの財産と不要な土地をすべて相続したものの、不要な土地の処分に困り登記手続きを放置してしまうケースが多数見られたのです。
このような状態を解消するために設けられたのが相続土地国庫帰属制度であり、一定の要件のもとに相続土地を国庫に帰属させることができるようになりました。これによって、相続人はすべての財産を相続した後、不要な土地については国に譲ることが可能になりますので、所有者不明土地の抑制・解消の有効な手段になると期待されています。
相続土地国庫帰属制度の利用手続きの流れ
相続土地国庫帰属制度により不要な土地を国庫に帰属させる手続きについて整理していきましょう。
1.法務局に相談する
制度利用の申請手続きは、法務局への相談からスタートします。土地の所在地を管轄する法務局の本局で相談予約を行いましょう。相談の対象者は土地の所有者に限らずその家族なども該当します。相談では、「現在所有している土地を国庫に帰属させることができるか」「申請書類の確認をしたい」といった事柄について尋ねることができます。
法務局への相談に際して、次のものを用意しておきましょう。
- 相続土地国庫帰属相談票(法務省ホームページからダウンロード可)
- 相談したい土地の状況チェックシート(法務省ホームページからダウンロード可)
- 土地の状況がわかる資料(登記簿謄本、法務局で取得した地図や測量図の写し、土地の全体像がわかる写真など)
2.申請書類の用意と提出
以下の書類を作成し法務局に提出します。法務省ホームページに記載のあるもののうち、相続土地に関する必要書類は以下の通りです。
【共通】
申請書
【全ての申請者が添付必須の書面】
(1)承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
(2)承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
(3)承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
(4)申請者の印鑑証明書
【承認申請者と所有権登記名義人が異なる場合に添付必須の書面】
(6)土地の所有権登記名義人から相続又は一般承継があったことを証する書面
<具体例>
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書、除籍謄本又は改製原戸籍謄本
・亡くなった方の除かれた住民票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍一部事項証明書
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・遺産分割協議書
【任意で添付する書面】
○ 固定資産評価証明書
○ 承認申請土地の境界等に関する資料
※法務省ホームページ参照
3.審査
申請に基づき法務大臣の名のもとに法務局が審査を行います。土地を国庫に帰属させるための要件を満たすかどうか、土地への立ち入りを含めた現状判断が進められ、承認にいたります。不承認に該当する事由がなければ、法律に基づき原則として承認されることになっています。
(承認)
第五条 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。
※「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」より抜粋
4.負担金の納付
審査の結果、承認が決定した場合、承認通知に加え負担金の納付を求める書面が送られてきます。負担金の納付期限は通知が到着してから30日以内と決まっており、納付の完了をもって相続土地は国に帰属することになるのです。
万が一、期限内に納付完了しなかった場合は承認自体が失効してしまいます。再び申請手続きを行わなければなりませんので、必ず期限内に負担金の納付を完了しましょう。
まとめ
相続土地国庫帰属制度を利用する場合、国に引き渡したい土地の種類や要件が合致するかどうか、事前によく確認しなくてはなりません。法律的視点も必要になりますので、専門家に相談してみることも大切です。
当事務所では司法書士と連携して、相続登記義務化や相続土地国庫帰属制度の利用に対応しています。お気軽に無料相談をご利用いただき、お困りの現状についてまずはお話をお聞かせください。