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相続土地国庫帰属法は農地も対象になるのか?
相続財産のなかに農地が含まれているが、さまざまな理由から相続土地を手放したいと考える人もいるようです。ここでは、相続土地を国庫に帰属させることができる相続土地国庫帰属制度について、農地も対象になるのか説明していきます。
制度利用における「農地」の条件
法務省ページによると、「農地も(制度の)承認申請をすることができる」としています。国が引き取れない土地の条件に該当しないことを前提とし、負担金の納入を行うことで、相続土地国庫帰属制度を利用することは可能なのです。
農地特有の注意点とは
ただし、農地の負担金は原則として20万円とされていますが、例外も設けられているので注意しましょう。例外については以下のとおり定められています。
- 都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の農地
- 農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内の農地
- 土地改良事業等の施行区域内の農地
※法務省資料参照
上記いずれかに該当する場合、「面積にかかわらず20万円」という定めは適用されず、別途算定式で負担金額を算出します。
- 面積が250㎡以下:国庫帰属地の面積に1,210(円/㎡)を乗じ、208,000円を加えた額
- 面積が250㎡超500㎡以下: 〃 850(円/㎡)を乗じ、298,000円を加えた額
- 面積が500㎡超1,000㎡以下: 〃 810(円/㎡)を乗じ、318,000円を加えた額
- 面積が1,000㎡超2,000㎡以下:〃 740(円/㎡)を乗じ、388,000円を加えた額
- 面積が2,000㎡超4,000㎡以下:〃 650(円/㎡)を乗じ、568,000円を加えた額
- 面積が4,000㎡超 〃 640(円/㎡)を乗じ、608,000円を加えた額
※法務省資料より抜粋
農地がどの区分に所在しておりどれくらいの面積があるかによって、算出される負担金の額は変わってきます。あらかじめ計算を行って金額を確認しておきましょう。
相続土地国庫帰属制度以外の方法も検討を
相続した農地が不要である場合、「相続放棄・地方公共団体への寄附・民間売買や贈与・農地中間管理機構の活用(※法務省ページ参照)」という4つの選択肢のいずれかを活用することも検討してみましょう。
農地中間管理機構とは
農地中間管理機構は、都道府県や地方自治体、農業団体などにより組織されているもので、「農地バンク」「公社」ともよばれています。機構は、農地を貸したい人(出し手)から農地を借り、農地を借りたい人(借り手)に貸し付ける事業を行っています。
農地中間管理機構を活用するメリット
農地を相続したが自分では活用できない場合などでは、「土地を有効に使用してもらいながら賃料を得る」という農地中間管理機構利用のメリットを検討してみてもいいでしょう。
農林水産省が公開している資料によれば、農地を貸し出す「出し手」になることには、次のような利点があるとされています。
- 公的機関から確実に賃料が振り込まれる
- 契約機関満了後は農地返却または再貸付が可能である
- 農地は適切に耕作される
- 税制優遇措置が適用される
※農林水産省資料参照
北海道を管轄するのは「公益財団法人北海道農業公社」ですので、詳細について問い合わせてみるといいでしょう。
まとめ
農地は広大な土地であるために、制度利用にあたっては、申請に必要な境界線の確認や現地撮影といった作業など大きな労力を要することが想像されます。農地は相続人によって活用の可否が分かれる点が特徴的です。相続登記や相続土地国庫帰属制度の利用に際し迷うケースも少なくありません。
当事務所では、提携する司法書士や税理士と協力してサポートを行っております。遺産分割協議書の作成から相続登記、相続税の納付まで総合的にお手伝いさせていただきますので、制度利用に関するご相談を含め、ご不安な点などがありましたらぜひ当事務所までお尋ねください。