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相続土地国庫帰属法は原野商法による購入土地も対象か
原野商法は40~50年ほど前に急増した悪徳商法の1つで、当時の被害は大変深刻なものでした。ここでは、相続土地国庫帰属法が原野商法で購入した土地も対象としているか説明していきます。
相続土地国庫帰属法の対象になるための条件
今から40~50年ほど前、原野商法とよばれる悪徳商法被害が急増しました。原野商法は次の点において特徴的で、多くの人が土地を買わされてしまったのです。
- 今後の値上がりが期待できないような原野や山林を販売する
- 開発計画や道路整備計画があるなど虚偽の情報で相手を信用させる
- 実際にはそのような開発計画はなく活用しようのない土地を買わされてしまう
当時から数十年経過し、土地を購入した親の相続が始まったとき、原野商法で交わされた土地が相続財産として見つかるケースがたびたび起こるのです。もともと開発計画なども予定されておらず、値のつかない土地であったことから、相続人としては当該土地を相続しても活用のしようがありません。
そこで気になるのが、「相続土地国庫帰属法により原野商法で購入した土地も国庫に帰属させることができるのか」という点です。
原野商法で購入した土地を相続し制度利用する場合
相続土地国庫帰属制度の対象となるのは相続した土地で、購入した土地は対象外です。原野商法とはいえ売買契約が成立していますから、購入者は制度を利用することができません。
ただし、購入者の相続が発生し相続人が当該土地を相続した場合は、相続人として制度を利用することができます。制度利用するためには、原野商法で購入した土地を相続した人が相続登記を行っていることが前提となります。
土地を国庫に帰属させるための要件
原野商法で購入した土地であっても、相続土地国庫帰属法に定められた「国庫に帰属させることができない土地の条件」に該当しなければ、制度を利用することは可能です。
「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」によれば、制度承認申請を行うにあたり、以下の条件に該当する場合は申請が認められません。
(承認申請)
第二条
3 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
※e-Govより抜粋
また、同法によれば、以下いずれにも該当しない場合は、原則として申請は承認されるとしています。
(承認)
第五条 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。
一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
※e-Govより抜粋
つまり、原野商法で購入した土地かどうかが問題なのではなく、相続土地国庫帰属法に定められた条件が制度利用の可否を決めるのです。
まとめ
原野商法による土地購入は悪徳商法による被害の産物ともいえますが、相続人が土地を相続してしまえば相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性が見えてきます。重要なのは、法津が指定する事柄に該当するかどうかという点ですから、まずは同法をよく理解し、相続した土地の状況をしっかりと理解把握したうえで、制度申請を検討してみましょう。
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