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外国の相続事情とは?海外在住の被相続人が死亡した場合

日本の法律「法の適用に関する通則法」によれば、相続は被相続人の本国法に基づき行われる旨が規定されています。ここでは、海外に住む被相続人が死亡した場合の相続手続きについて説明していきます

 

海外在住の日本人が死亡したときの届出

海外在住の日本人が死亡した場合、同居親族などが在外日本大使館や領事館に対して死亡届を出す必要があります。

 

第四十条 外国に在る日本人は、この法律の規定に従つて、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に届出をすることができる。

※戸籍法第40条より抜粋

 

海外における死亡届の手続き

海外において死亡届が出されたのち、日本の戸籍に死亡の事実が記載されるまでの流れを追ってみましょう。

 

翻訳文付き死亡診断書の提出

海外の日本大使館や領事館に死亡届を提出するには、現地の医師が作成した死亡診断書を添付しなければなりません。なお、現地の言語で作成された死亡診断書には日本語翻訳文の添付が必要です。専門家が翻訳したものはもちろん、一般の人が翻訳したものでも構いません。

 

日本の本籍地で死亡の事実が記載

同居親族などが日本大使館や領事館に死亡届を提出すると、大使館・領事館は日本の外務省を経由し、故人の本籍地がある市区町村長宛てに必要書類を送付します。これにより、本籍地のある市区町村では故人の戸籍に死亡の事実を記載することができるのです。なお、日本の戸籍に死亡の事実が反映されるまでには約1ヶ月を要するといわれています。

 

海外に遺産がある場合の相続方法

被相続人である故人が海外在住だったと考えれば、現地に何らかの財産を所有していたことは容易に想像できます。現地通貨で預貯金を持っていたり、現地の不動産を所有していたりする可能性は非常に高いといえます。現地で借金をしていることも想定しながら、財産調査をしっかり行うことが重要です。

 

国際相続はその国によって「相続統一主義」か「相続分割主義」のいずれかの考え方を採用しており、当該国がベースとする考え方に則って遺産分割が行われます。

 

相続統一主義による遺産分割

すべての相続財産について、特定の国の法律に基づき遺産分割を行う考え方を「相続統一主義といいます。相続統一主義は、被相続人の国籍に基づく「本国法主義被相続人の最後の住所地に基づく「住所地法主義に分けることができます。

 

 

たとえば被相続人が韓国在住で韓国に財産を持っていた場合、国籍が日本であれば日本国の法律に基づいて相続が行われることになります。

 

相続分割主義による遺産分割

被相続人が所有していた財産の種類または所在地によって、適用する法律が変わるという考え方を「相続分割主義といいます。被相続人が仮に、現地に不動産と車(動産)を所有していた場合、不動産は所在地法、車は居住地法に基づいて遺産分割されるようなイメージです。

 

 

たとえば被相続人がアメリカ在住でアメリカに不動産を持っていた場合、当該不動産については居住していた地の州法に基づいて相続が行われることになります。

 

このように、被相続人が日本人であったとしても、本人が海外在住で海外に財産を所有していた場合は、現地の法律もよく調べたうえで相続手続きを進める必要があります。単独で取り組むには大変難しい作業となることも考えられますので、積極的に相続の専門家に相談するようにしましょう。

 

プロベートによる相続手続きに注意

アメリカやイギリスなど欧米諸国を中心として、遺産相続にあたり「プロベート」という手続きを踏む必要があります。

 

被相続人の死亡によって現地の財産は財団化され、裁判所が介入して財団から相続債務の弁済を行い、残余財産を相続人に分配します。この考え方を「管理清算主義」といい、管理清算主義に則って相続財産の管理や清算を行う仕組みを「プロベート」というのです。

 

被相続人が住んでいた国ではプロベートが採用されているかどうか、相続手続きを始める前によく確認することが求められます。

 

海外の財産の相続税評価額

海外に財産を所有していたとしても、相続人が日本在住である以上、日本の相続税法に基づいて相続税の手続きを行わなければなりません。その際、国内外合わせた財産の評価額を明確にする必要があります。

 

国内の財産については自力で、あるいは専門家に依頼するなどして評価額を調べることができますが、大きな手間と労力を要するのが海外の財産の評価です。海外に預貯金がある場合はその残高証明書を取得し、不動産を所有している場合はその評価を明らかにしなければ、日本における相続税の手続きを進めることができません。

 

しかし、海外では書類の発行手順や不動産の評価方法が異なる場合が多いため、ある程度時間を要することを認識しておいた方がいいでしょう。日本における相続税申告手続きの期限が10ヶ月以内であることからも、相続開始後すぐに現地の相続事情や関連法などを調べるための行動が必要です

 

まとめ

被相続人と相続人がいずれも10年以上に渡り海外に居住している(日本国内に住所がない)場合などを除き、海外にある財産も相続税の対象として数えられます。また、居住していた国によっては現地で相続税が課されるケースもあり、すでに現地で納税していた場合は日本国内で控除を受けられることになっています。

 

被相続人が海外に居住していた場合の国際相続は、日本を含めた2ヶ国以上の国の法律や慣習に基づいて相続手続きされることから、「どこから手を付ければいいかわからない」「居住国の相続事情がわからない」といったお困り事を抱えることも珍しくありません

 

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