トップページ > 確認から相続手続きまで!相続財産に株式が含まれていた場合
確認から相続手続きまで!相続財産に株式が含まれていた場合
生前に被相続人が株取引を行っていた場合、株式は有価証券として相続財産の一部となります。ここでは、相続財産に有価証券(株式)が含まれていた場合の証券会社への確認方法について説明していきます。
証券会社への確認の仕方
生前の被相続人が株式をやっていた場合、その多くは上場株式であることが想定されます。これら株式を相続する場合は、被相続人がどこの証券会社と取引していたか確認しなければなりません。証券会社が判明している場合とそうでない場合について、それぞれ手順を整理していきましょう。
取引証券会社がわかっている場合
被相続人から取引証券会社について聞かされていたり死後に各種書面などを見つけたりした場合は、次の手順に沿って確認を行い株式の相続手続きを行います。なお、実際の手続き内容については、各証券会社のホームページを確認するか直接問い合わせることをお勧めします。
証券会社に連絡する
株式の名義人である被相続人の死亡について証券会社に連絡すると同時に、保有株式を相続人名義に変更したい旨も伝えましょう。
相続手続き用の書類を揃える
証券会社により若干の違いがある可能性は考えられますが、以下に挙げるような必要書類を用意して相続手続きに備えます。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 本人確認書類
- 遺言書あるいは遺産分割協議書 など
相続人自身の口座を開設する
株式を相続するためには、証券会社に相続人自身の口座を開設する必要があります。
株式が振り替えられる
相続人名義の口座と相続手続き書類を証券会社に提出すると、被相続人名義の株式が名義変更され相続人の口座に振り替えられます。これにより、相続人は株式の売却を行ったり配当金を得たりすることが可能になります。
取引証券会社が不明である場合
どこの証券会社と取引していたか不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)に情報開示請求して確認する方法があります。詳しくは次章で説明します。
証券保管振替機構(ほふり)に対する開示請求手続き
証券保管振替機構とは有価証券の振替や決済などを行う日本唯一の組織で、通称を「ほふり」といいます。証券保管振替機構に情報開示請求することで、被相続人の口座開設先を確認することができます。
必要書類
開示請求書以外のすべての書類は原則としてコピーを提出することになっています。また、情報漏洩防止の観点から、提出書類は返却されません。
- 開示請求書
- 法定相続人の本人確認書類
- 法定相続人と株主(被相続人)の関係を示す戸籍等(※1)
- 被相続人の住所がわかる資料
※1 法務局が発行する法定相続情報一覧図も可
書類提出
証券保管振替機構に対する情報開示請求は、郵送のみ可となっています。必要書類を揃えたら、以下の宛先に郵送しましょう。
〒103-0026
日本橋茅場町郵便局留
東京都中央区日本橋兜町7番1号 KABUTO ONE
株式会社証券保管振替機構
開示請求事務センター
開示結果の受取
書類不備などがない場合、証券保管振替機構は開示結果である「登録済み加入者情報通知書」を発行します。開示結果は郵便局の代金引換サービス(簡易書留)で請求者に送付されますので、開示費用を支払い、開示結果を受領することになります。
【開示費用】1件6,050円
※ただし、法務局発行の法定相続情報一覧図を提出した場合は1件4,950円です。
※複数の調査対象がある場合、2件目以降1件あたり1,000円が加算されます。
※該当情報がない場合も開示費用がかかります。
野村證券の相続手続き例
証券会社のなかでも利用者が多い野村證券を例に挙げ、相続手続きに必要な書類や手続きの流れをみていきましょう。
取引店の照会
被相続人が野村證券に口座を保有していたかどうかについて、窓口あるいは電話口で回答することはできません。必要書類を揃えて郵送し、取引店を確認するところから始めましょう。
- 口座照会依頼書(ホームページよりダウンロード可)
- 被相続人の死亡が確認できる書類:戸籍謄本、住民票除票の写し、または法定相続情報一覧図
- 相続人との関係が確認できる書類:戸籍謄本、または法定相続情報一覧図
- 本人確認書類:相続人(依頼人)の本人確認書類の原本またはコピー(いずれか1つ)
【送り先】
〒221-8790 日本郵便株式会社 神奈川郵便局私書箱第2号 野村證券株式会社
(事務取扱)野村ビジネスサービス株式会社 口座照会係
取引店が判明したら、被相続人死亡の旨を連絡しましょう。相続に必要な書類や手続き方法などの案内を送付してもらえます。
遺言書による相続手続きの場合
次の必要書類を揃えて野村證券に郵送します。(野村證券ホームページ参照)
- 相続手続依頼書
- 遺言書の写し
- 検認調書の写しまたは検認済証明書の写し(※1)
- 遺言執行者選任審判書の写し(※2)
- 死亡証明書・戸籍謄本等(※3)
- 遺言執行者の印鑑証明書(※4)
※1 公正証書遺言と、法務局で保管された自筆証書遺言は検認が不要
※2 家庭裁判所で遺言執行者が選任されている場合
※3 死亡が確認できるもの(原本)
※4 遺言執行者がいない場合は、野村證券に属する相続財産の相続人すべての印鑑証明書(原本)
遺産分割協議による相続手続きの場合
次の必要書類を揃えて野村證券に郵送します。(野村證券ホームページ参照)
- 相続手続依頼書
- 戸籍謄本等または法定相続情報一覧図(※1)
- 相続人全員の印鑑証明書(※2)
- 遺産分割協議書の写し(※3)
※1 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等(戸籍謄本/戸籍全部事項証明/除籍謄本)。相続人全員を確認できるもの。
※2 発行より6カ月以内の原本
※3 相続人全員の署名・実印の捺印があるもの
野村證券による相続手続き完了
提出書類に不備がなければ、野村證券は資産を相続人口座に振り替えます(相続手続き完了)。次いで、以下の書類が相続人宛に送付されますのでこれを受領します。
- 「手続きが完了した旨の通知」
- 「お預り明細のお知らせ」
まとめ
遺言書により1人の相続人が株式を相続する場合は、証券会社による資産振り替えで手続きが完了します。複数の相続人で株式を相続する場合は、一旦、相続人の代表者の証券口座に資産を振り替えてもらい、これを売却した後、代金を相続人の間で公平に分けるといいでしょう。
当事務所では、行政書士を窓口として、司法書士や税理士といった専門家などと連携しながらお客様の相続をトータルサポートしています。相続特有の手続きや法的な注意点、さまざまな書類収集など、相続人の方々の負担を軽減するためにも、相続開始から相続税納付まで寄り添う形が望ましいと考えておりますので、ぜひ一度無料相談をご利用ください。