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相続登記義務化に伴う未登記建物の手続きと取り扱い
相続が起こり被相続人の財産を調べていく中で、登記簿謄本に記載のない建物が見つかることもあります。ここでは、相続登記義務化に伴う未登記建物の手続きや取り扱いについて説明していきます。
未登記建物と登記の義務化
土地建物はその所有者を明確にするために「登記(記録)」しなければいけません。長らく放置され荒れ放題になっている土地建物も多いことから、令和6年(2024年)からは相続登記が義務化されます。
未登記建物とは、本来行うべき登記を放置したままにしてある建物のことを指しており、しばしば問題になっているのです。特に、相続時の財産調査で未登記建物が見つかることも多く、どのように対処すればいいか迷うケースも少なくありません。
不動産登記法第47条によれば、未登記建物の所有権を得た場合、1ヵ月以内に表題登記を行うものと定められています。
(建物の表題登記の申請)
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
※e-Govより抜粋
しかし、登記を行うことが義務化されているにもかかわらず、何らかの理由で放置されて未登記建物となっている現状があります。
未登記建物には表題登記を
登記簿謄本は、表題部・権利部(甲区)・権利部(乙区)の3つに分かれています。それぞれ次のような意味を持ち、「不動産がどこの誰のものなのか」を記録するものとなっているのです。
【登記簿謄本】
- 表題部: 不動産の住所や状態を示す
- 権利部(甲区): 不動産の所有者情報や登記の目的などを示す
- 権利部(乙区):甲区が設定されているときに加えられる所有権以外の権利を示す
※不動産を担保にしたり賃貸に出したりするような場合(他人が不動産を利用するケース)に限り乙区が作成される。
相続登記に代えて表題登記を行う
登記簿謄本の表題部と権利部(甲部)に記録がない建物の場合は未登記建物となります。未登記の不動産を相続したら、行うべきは相続登記ではなく表題登記と所有権保存登記であることを覚えておきましょう。
法務省資料では次のように記載されています。
「建物を相続したが、その建物の登記がない場合は?」
古い建物を相続した場合など、事案によっては、建物としての登記がない場合があります(このような建物を「未登記建物」といったりします。)。
この場合には、相続登記の申請をする前に、建物の登記(表題登記)の申請をする必要があります。
※法務省資料より抜粋
不動産登記法によれば、「未登記建物の所有権を取得したら1ヵ月以内に表題登記を行う義務がある」とする第47条第1項に加え、第36条では土地についても同様の定めがあることがわかります。
(土地の表題登記の申請)
第三十六条 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
※e-Govより抜粋
表題登記を済ませたら、次に所有権が誰にあるかを示す所有権保存登記を行います。
表題登記の申請書類
土地建物の表題登記を行う場合、次の書類を揃えて法務局で手続きを行います。以下は必要書類の例であり、詳しくは法務局に問い合わせて確認することが大切です。
【必要書類(例)】
- 登記申請書
- 所有権を証明する書類(固定資産税納付証明書など)
- 建物の図面
- 申請者の住民票
- 遺産分割協議書
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- すべての相続人の戸籍謄本と印鑑証明書
※法務局に要確認
通常の相続登記に代えて表題登記を行いますので、相続登記義務化がスタートするのを待たず未登記建物の手続きを済ませましょう。
まとめ
令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化が開始されます。未登記建物の場合は表題登記を行う必要がありますが、これら手続きをしないまま3年以上放置してしまうと過料の対象となる可能性が出てきます。
当事務所では遺産分割協議書の作成を始めとする相続全般のサポートを行っており、提携する司法書士や税理士と協力しながら登記や相続税の手続きもお手伝いしています。未登記建物を相続した場合は、すみやかな手続きが必要になりますので、無料相談をご利用のうえできるだけ早いタイミングでお問合せください。