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故人の生命保険契約の確認方法と照会制度の利用手続き
自分に万が一のことがあったときに備えて、生命保険に加入している人はたくさんいます。しかし、大切な家族が亡くなったとき、故人がどの生命保険に入っていたのかわからなければ、生命保険金を請求することはできません。では、どうやって故人の生命保険加入状況を確認すればいいのでしょうか。
【この記事の要点】
- まずは思い当たる場所やパソコンなどをくまなく調べることが大事
- どうしてもわからない場合は生命保険契約照会制度の利用検討も
- 生命保険協会の加入保険会社と手続きの流れを確認
- 相続の専門家の力への相談も検討を
ここでは、亡くなった家族がどの生命保険に入っていたかを確認する方法や、大変便利な生命保険契約照会制度の利用方法について説明していきます。
加入している生命保険の探し方
自分の家族がどの生命保険に加入しているか、きちんと把握しているでしょうか。普段はあまり気にすることのないものであるため、たとえば「いざ親が亡くなったとき、生命保険の加入状況がわからず困った」といったことが起こりやすいといえます。
死亡保険金の請求には期限があり、多くの場合、被保険者が死亡してから3年以内に保険金を請求しなければ時効となってしまう可能性があります。話しにくいテーマともいえますが、元気なうちから家族内で加入している保険会社や保険証券の保管場所などの情報を共有しておいた方がいいでしょう。
もし、家族が亡くなったときに故人が加入している保険がわからなかった場合は、次に挙げるような方法で確認してみることをお勧めします。
保険証券を探す
机の引き出しの中や本立てなど、故人が普段から重要書類を保管していた可能性のある場所を、1ヶ所ずつ調べていきましょう。無事に保険証券を見つけたら、次の項目を確認します。
- 保険証券番号
- 契約者名
- 被保険者名
- 受取人名
- 保険金額
- 保険期間 など
保険証券が見つかれば保険会社も判明しますので、すぐに問い合わせて証券番号を伝え、被保険者が亡くなったことを伝え手続きを進めましょう。
郵便物を探す
保険証書が見つからなかった場合は、保険会社からの郵便物が届いていないか確認します。保険に加入している場合、通常は年末調整や確定申告に向けて秋頃に「生命保険料控除証明書」が送付されてきますので、当該書類がないか探すことも大切です。
通帳を確認する
保険証券も保険会社からの郵便物も見つからなかった場合は、故人の通帳を確認してみましょう。保険料が毎月引き落とされていた場合、通帳に支払先が記載されていますので、そこから該当する保険会社を特定して連絡を取ることもできます。
保険料をクレジットカード払いにしている可能性もあるので、紙の利用明細かオンライン明細を確認することも忘れてはいけません。次項にある通り、故人のパソコンやスマートフォンも忘れずチェックすることが重要です。
パソコン(スマートフォン)を確認する
昨今では、取引状況をオンラインで確認するケースも増えています。故人が使用していたパソコンにログインできるようであれば、ブラウザの「お気に入りサイト」や保険関連フォルダ、メールの受信トレイなどを探してみましょう。
また、生命保険会社によっては自社アプリの使用を勧めていることもありますので、スマートフォンに該当するアプリがないか確認することも大切です。
一般社団法人生命保険協会を利用する
すでに述べたような方法でどうしても保険加入状況がわからなかった場合、一般社団法人生命保険協会に問い合わせ、有料での調査を依頼する方法も試してみましょう。一般社団法人生命保険協会は多数の生命保険会社が加入する団体で、加入保険会社への照会が可能な「生命保険契約照会制度」を提供しています。
なお、生命保険契約照会制度を利用することができるのは、以下の人物に限られます。
- 照会対象者の法定相続人
- 照会対象者の遺言執行者
- 照会対象者の法定相続人の法定代理人
- 照会対象者の法定相続人の任意代理人
- 照会対象者の遺言執行者の任意代理人
特に、法定代理人・任意代理人などについては留意事項として以下の点に注意しましょう。
※法定代理人
契約者または被保険者が認知症などになっている場合で、裁判所により成年後見人などが指定されているものを指します。
※任意代理人
契約者または被保険者が認知症などになっている場合で、元気なうちに公正証書による任意後見契約を締結しており(生命保険契約に関する代理権を付与されていること)、裁判所により任意後見監督人が選任されているものを指します。
※任意代理人(弁護士・司法書士・行政書士)
契約者または被保険者が認知症などになっている場合で、元気なうちに個人的な委任契約を締結した場合に限ります。ただし、照会対象者に次の人物が含まれている場合は、当該代理人以外の制度利用は認められません。
- 成年後見制度に基づく法定代理人
- 任意後見契約制度に基づく任意代理人
※内縁関係の人
法定相続人に含まれないため制度を利用できません。
協会会員会社(2024年4月1日現在・協会ホームページ参照)
- アクサ生命保険株式会社
- 朝日生命保険相互会社
- アフラック生命保険株式会社
- イオン・アリアンツ生命保険株式会社
- SBI生命保険株式会社
- エヌエヌ生命保険株式会社
- FWD生命保険株式会社
- オリックス生命保険株式会社
- カーディフ生命保険株式会社
- 株式会社かんぽ生命保険
- クレディ・アグリコル生命保険株式会社
- ジブラルタ生命保険株式会社
- 住友生命保険相互会社
- ソニー生命保険株式会社
- SOMPOひまわり生命保険株式会社
- 第一生命保険株式会社
- 第一フロンティア生命保険株式会社
- 大樹生命保険株式会社(旧三井生命保険株式会社)
- 大同生命保険株式会社
- 太陽生命保険株式会社
- チューリッヒ生命保険株式会社
- T&Dフィナンシャル生命保険株式会社
- 東京海上日動あんしん生命保険株式会社
- なないろ生命保険株式会社
- ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社
- 日本生命保険相互会社
- ネオファースト生命保険株式会社
- はなさく生命保険株式会社
- 富国生命保険相互会社
- フコクしんらい生命保険株式会社
- プルデンシャル生命保険株式会社
- PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)
- マニュライフ生命保険株式会社
- 三井住友海上あいおい生命保険株式会社
- 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社
- みどり生命保険株式会社
- 明治安田生命保険相互会社
- メットライフ生命保険株式会社
- メディケア生命保険株式会社
- ライフネット生命保険株式会社
- 楽天生命保険株式会社
※一般社団法人生命保険協会ホームページ参照
生命保険契約照会制度を利用するための申請書類
生命保険契約照会制度を利用するためには、以下に挙げる書類を揃えて提出する必要があります。
【本人確認書類(照会代表者)】※いずれか1種類を提出
- 運転免許証または運転経歴証明書
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- 住民票(3か月以内に発行されたもの・個人番号は記載なしあるいは黒く塗りつぶす)
- 印鑑登録証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
【法定相続情報一覧図】※いずれも該当するもの
- 照会対象者に関するもの
- 法務局で認証済みのもの
一般社団法人生命保険協会への手続きの流れ
必要書類を揃えたら、オンラインあるいは郵送で申請を行います。
オンライン申請
オンラインでの申請は、一般社団法人生命保険協会ホームページの指示にしたがって手続きを進めます。
郵送申請
一般社団法人生命保険協会ホームページの指定フォームから申し込みを行うと、事務局から申請書などが送られてきます。照会代表者はこれに記入し必要書類を添えて事務局に返送します。
契約の有無の開示
オンライン申請・郵送申請ともに、必要書類提出後に制度利用料として3,000円を支払い、そこから約14営業日程度で結果が開示されます。開示される情報は「契約者・被保険者が加入していた生命保険の有無」のみとなるため、あとは個別に保険会社に連絡を取り保険金請求手続きを行う必要があります。
まとめ
大切な家族を亡くしたことだけでも非常に大きなショックを負うことになりますが、そのような状況のなかでも生命保険金は速やかに請求しなければなりません。思い当たる場所やデバイスなどを調べてみても亡くなった人の生命保険加入状況がわからない場合は、生命保険契約照会制度を利用してみるのも1つの方法です。
また、生命保険金の請求を無事に終えても、そこから先は相続に関するさまざまな手続きが控えているため、遺族にとって大きな負担となることが想定されます。
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