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事業承継税制をわかりやすく説明!贈与税・相続税免除の要件
会社の相続税対策の一環として、事業承継税制がよく利用されています。事業承継における後継者が生前贈与や相続により会社の株式を継いだ際、贈与税や相続税の納税が猶予されるものです。ここでは、事業承継税制についてわかりやすく説明していきます。
事業承継税制の概要
事業承継税制について、国税庁ホームページでは次のように説明しています。
事業承継税制は、円滑化法に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。
この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。
※国税庁ホームページより抜粋
たとえば、事業を興した初代経営者が後継者に事業承継した場合、2代目にあたる後継者の納税が猶予され、さらに次の世代に事業を継がせることができた場合は、猶予された税金が免除されることになります。
国税庁ホームページによれば、法人版事業承継税制と個人版事業承継税制は以下のように異なっている点に注意しましょう。
【法人版事業承継税制】
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
【個人版事業承継税制】
個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限ります。)に係る事業(不動産貸付事業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けた者が、個人の事業用資産を贈与又は相続等により取得した場合において、その事業用資産に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
※国税庁ホームページより抜粋
事業承継税制が適用されるための要件
事業承継税制が適用されるためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。
会社の要件
中小企業に限り制度の利用が認められます。上場している会社や風俗営業会社、資産保有・資産運用型の会社、各種法人や外国会社はこの制度の適用外となります。
後継者の要件
会社を後継者に贈与するか相続により引き継ぐかによって、後継者の要件は変わります。
贈与による後継者の場合
会社の贈与を受けた時点で次の要件を満たしていなければなりません。
- 会社の代表権を有している
- 20歳以上である
- 役員に就任してから3年以上経過している
- 後継者および後継者その親族等により総議決権の50%以上を確保している
- 後継者が1人である場合は、後継者が最も多く議決権数を持っている
- 後継者が2人以上である場合は、後継者が総議決権の10%以上を持っており、その数は後継者の親族等と比べて最も多い状態にある
相続による後継者の場合
会社を相続した場合、後継者は以下の要件を満たしていなければなりません。
- 相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していること
- 相続開始の時点で後継者及び後継者と特別の関係がある者で、総議決権の50%超を確保しており、同時に後継者が最も多く議決権数を持っていること
- 相続開始の直前時点で、後継者がすでに会社役員を務めていること(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く)
被相続人(先代の経営者)の要件
相続開始直前あるいは贈与の時点で、先代経営者である被相続人と親族等が総議決権総数の過半数を持っており、同時に筆頭株主であることが求められます。
担保に関する要件
納税猶予税額および利子税の額に見合う担保を税務署に提供することが条件です。
まとめ
事業承継税制は、贈与か相続かによっても要件が若干異なっており、また根拠法も複数にまたがっていることから、その正しい解釈と制度の利用には複雑さを伴います。同時に、手続きだけでも数ヵ月を要することが多く、専門知識を持たない人が気軽に利用しにくい内容であることは確かです。
納税にまつわることでもありますから、会社の相続や贈与が行われる前か相続開始の時点ですぐに専門家に相談し、確かな手続きを進めることをおすすめします。
当事務所では、相続に限らず事業承継や会社立ち上げなど、事業に関するサポートに注力していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。必要に応じて税理士などをご紹介することも可能ですので、まずはご一報いただけますと幸いです。