親亡き後の相続手続きをできるだけスムーズに進めるため、また争いなどを避けるためにも、親には遺言書の作成を積極的に検討して欲しいと考える人は少なくないでしょう。しかし、「遺言書」という言葉は死を連想させる可能性があることから、まだ元気な親に声をかけにくいかもしれません。
【この記事の要点】
- 親に不快な思いをさせないことが大事
- 親に遺言書作成を促す方法
- 親の心情に配慮を
ここでは、親に遺言書を書いてもらうための方法について説明していきます。生前対策として遺言を遺すことはとても意味のあることですから、切り口に工夫しながら親と話を進めるといいでしょう。
親に不快な思いをさせず遺言書作成を頼む方法
親の心情としては、急に子供から「遺言書を書いて」と言われれば困惑してしまうかもしれません。まだ自分自身は元気なのに遺言書の作成を求められれば、さまざまな感情や思いが湧いてきてしまうことでしょう。
「まだ元気なのに死ぬときのことを話すなんて・・・」
「うちの家族が相続で争うわけがない」
「財産はそれほどないのだから遺言書を作成する必要がない」
「なにより縁起でもないことを言われて不愉快だ」
親が遺言書を書いてくれるかどうかは、未来の相続人である配偶者や子供などにとって非常に大切な問題だといえます。作成者となる親には遺言書の重要性を理解してもらい、自ら進んで遺言書というテーマに向き合ってもらえるよう、親の心情に寄り添いながら二人三脚で進むことが必要になってくるでしょう。
では、親に対して具体的にどのように遺言書の話題を提供すればいいのでしょうか。以下にいくつかのパターンについて説明しますが、親子間の関係性や親自身の性格などを踏まえ、最も適切と思われる方法できっかけ作りをしてみるのがいいと思われます。
亡くなった後の不安点について話し合う
遺言書は、親名義の財産をどう分配するかを指定するための文書です。しかし、心の準備ができていない親に対して、「死後の財産相続についてはどう考えているか」「相続に向けて遺言書を書いて欲しい」とダイレクトに尋ねることは避けた方がいいかもしれません。
このような場合は、親が亡くなった後にどのような不安が残るかをテーマに話し合い、子として具体的な対策を望むということを伝えてみましょう。たとえば、次のようなテーマで話し合いを始めてみることができます。
- 父の万が一に際し、母の生活費や介護費用などを誰がどのように負担するか
- 親が住む家が空き家となった場合、誰に住んで欲しいか、または処分して欲しいか
- 親が手がける事業は終了させるのか、誰かに承継して欲しいのか など
家族それぞれにとってテーマとなる事柄は変わってきます。実際のところ、遺された家族の守り方や自宅不動産の扱いなど、親が亡くなったときのことについて不安に思う子は少なくありません。
だからこそ、このように問題提起したうえで親の意見を聞き、その内容を遺言書として遺しておいて欲しい旨を伝える、といった流れを作ることも大切になってくるでしょう。
「遺言書の作り方セミナー」に親子で参加する
なぜ遺言書を作った方がいいのか、どのようにして遺言書を作ればいいのかなど、遺言書を作成すべき理由や作成イメージを持つことはとても大事です。親に遺言書を書いて欲しいのであれば、この点について親と認識を共有する必要がありますので、遺言書の作り方セミナーに親子で参加してみるのもいいでしょう。
この場合、あらかじめ「遺言書の作成」について親子が納得していることが前提となります。先に述べたような話し合いを経て、次のステップとしてセミナーなどを利用すると自然かもしれません。
率直に「遺言書を書いて欲しい」と伝える
日頃から親子間のコミュニケーションが十分取れている場合や、子がはっきりした性格であることを親が理解している場合などは、率直に「遺言書を書いて欲しい」と伝えることもできそうです。親子間の関係性や性格などからいって、遠回しに伝えるよりストレートに投げかける方が適していそうであれば、この方法が最もシンプルで行動に移しやすいかもしれません。
ただし、「なぜ遺言書作成して欲しいのか」、その理由についてはあらかじめ明確にしておくべきですし、親子ともに納得していることが重要です。
専門家の意見を聞いてみる
死後に生じるだろう問題点について親子が共通認識を持っている場合は、専門家の無料相談を利用して「遺言書を作成すべきか、他の方法があるか」など、意見をもらうのも良い方法です。親子揃って専門家の見立てや実際にあった類似事例などを聞かせてもらうことにより、自分たちが具体的に何をすべきかが見えてくるでしょう。
また、遺言書には種類があり(自筆証書遺言や公正証書遺言)、それぞれ作成方法には決めごとがあります。その点についても説明を受けておくと、親としても具体的なイメージを持ちやすくなるかもしれません。
親の心情に配慮したアプローチが重要
すでに述べたとおり、親に遺言書を書いてもらうためには、まず親が「遺言書の必要性」をきちんと理解し納得していることが必要です。そのためには、親の性格や普段の親子の関係性などを踏まえて適切なアプローチを選択しましょう。
エンディングノートの活用も検討
いきなり遺言書の話をすることがためらわれる場合や親の心理的負担を軽くしたい場合などは、エンディングノートの作成を勧めてみるのも1つの策となるでしょう。エンディングノートは遺言書としての効力を持ちませんが、自分に関するさまざまな情報を整理したり万が一のときの対応希望を書き込んだりすることができますので、比較的取り組みやすいと考えられます。
昨今では50代、60代など中高年世代からエンディングノートを書き始める人もいますので、たとえば子である自分が最近エンディングノートを付け始めたので親にも勧めたい、というアプローチをすれば「子がやっているなら親の自分も」と行動に移しやすいかもしれません。
遺言書作成の一方的な要求は避けるべき
最も避けるべき行為は、子から親に対して一方的に遺言書作成を迫ることです。強制により作成された遺言書は法的に無効となりますし、なにより親子間に不信感が生じたり今後も遺言書作成に消極的になってしまったりする可能性も出てきます。
親の心情に寄り添い、抵抗なく遺言書作成への道筋を付けることができるよう、丁寧かつ慎重にサポートすることを心がけるといいでしょう。
まとめ
当行政書士法人では、親子揃って遺言書作成のご相談に来られるケースも多々ございます。親と子がともに家族の将来を案じ、適切な生前対策を行うことができれば、万が一のときも非常に安心です。また、親としても相続や身辺整理について自分の希望を明確に残しておくことができるため、実は遺言書作成はとてもメリットの大きな手段なのです。
遺言書に関するご不安や疑問から遺言書作成サポートにいたるまで対応しておりますので、当行政書士法人の無料相談をぜひお気軽にご利用ください。










