自分の全財産を子に相続させたいときは、慎重に遺言書を作成する必要があります。子以外の相続人がいる場合は、相続時の争いを回避するための配慮も要るでしょう。

 

【この記事の要点】

  • 遺留分対策の方法を提案
  • ごくシンプルな遺言書の書き方
  • 財産内容を詳細明記した遺言書の書き方
  • 付言事項を活用した遺言書の書き方

 

ここでは、全財産を子供に相続させるための遺言書の書き方について説明していきます。子供だけに全財産を相続させる場合は遺留分についても対策しなければなりませんので、具体的な方法についても整理していきましょう。

 

遺言書作成時に注意したい遺留分対策

自分の財産を「誰に」「どのように」相続させるかは自分自身の考え次第ですし、仮に「全財産を子供に相続させる」という遺言書を作成したとしても、それが無効になることはありません(正しい形式で作成されていることが前提)。

 

ただし、注意したいのが他の相続人の「遺留分」です。遺留分は相続人に最低限保証されている取り分ですから、遺言書作成時には将来的な遺留分トラブルを回避できるよう、慎重に対策を採る必要が出てくるでしょう。

 

遺留分とはなにか

遺留分とは、相続人の生活保障などの目的から法律上認められている最低限の遺産の取得割合のことをいいます。民法では、遺留分について「兄弟姉妹以外の相続人に対して認められた取り分」であるとしています

 

もし、相続の仕方に不公平があるなどして相続人に遺留分が発生した場合は、当該相続人は遺留分侵害額請求を行い遺留分相当額を求めることができます。全財産を子供に相続させるといった遺言書を作成した場合、他相続人に遺留分が発生する可能性があり、子供が相続トラブルに巻き込まれるリスクも想定しなくてはなりません

 

このため、これから遺言書を作成しようとする人は、以下のような点に注意して遺留分対策を行うことが求められます。

 

1.遺留分相当分のみ他相続人にも相続させる

「全財産を子供に相続させる」という遺言書を作成してしまうと、他の相続人の遺留分を侵害してしまう恐れがあります。そこで、他相続人の遺留分相当額のみ当人らに相続させ、残るすべての財産を子供に継がせる旨を明記しておくことも検討してみましょう。

 

2.付言事項により理解を求める

遺言書には、相続人に対するメッセージとして法的拘束力を持たない「付言事項」を書き添えることができます。これを利用し、以下のような点について理解を求めるのも1つの策です。

 

  • その子にすべての財産を相続させたい理由
  • 親としての思い
  • 背景事情
  • 被相続人の思いを理解してくれることへの願いや感謝 など

 

子供に全財産を相続させる遺言書の書き方

子供に全財産を相続させる旨の遺言書を作成するときの参考例をご紹介します。あくまでも参考例ですので、実際に遺言書を作成するときは、専門家に相談し事情を伝え、相続トラブルを回避できる内容を作り上げることが非常に重要です

 

遺言書作成の時間が限られているときのシンプルな書き方

遺言者の余命が限られているなど、詳細な遺言書を作成する時間的余裕がない場合は、ごくシンプルな書き方で遺言書を作成することができます。

 

【シンプルな書き方】

 

遺言書

 

遺言者である札幌太郎は、次のとおり遺言する。

 

第1条 遺言者は、遺言者名義のすべての財産を、遺言者の長男である札幌次郎(昭和50年1月1日生)に相続させる。

 

令和○年○月○日

 

北海道札幌市○○区○○町○丁目○―○

札幌太郎 印

 

遺言書に財産内容を明記するときの書き方

財産といっても不動産から預貯金、有価証券など幅広いものです。相続人がすべての財産を把握しているとは限りませんので、自分にどのような財産があるかを明記することで、相続発生後の手続きのスムーズ化が期待されます。

 

【財産内容を明記する書き方】

 

遺言書

 

遺言者である札幌太郎は、次のとおり遺言する。

 

第1条 遺言者は、以下の不動産および預貯金ほかすべての遺言者名義の財産を、遺言者の長男である札幌次郎(昭和50年1月1日生)に相続させる。

 

1.土地

所在:北海道札幌市○○区○○町○丁目

地番:○番

地目:宅地

地積:80.00平方メートル

 

2.建物

所在:北海道札幌市○○区○○町○丁目

家屋番号:○番

種類:居宅

構造:木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建

床面積:1階部分 ○○㎡、2階部分 ○○㎡

 

3.預金

○○銀行△△支店

普通預金

口座番号XXXXXX

 

令和○年○月○日

 

北海道札幌市○○区○○町○丁目○―○

札幌太郎 印

 

 

付言事項を活用した書き方

法的拘束力はないものの、遺言者からのメッセージを付言事項として遺言書に記載することができます。全財産を子供1人に相続させたいなど、他相続人の理解が必要な場合などは、付言事項を活用して遺言者の思いを伝えるといいでしょう。

 

【付言事項を活用した書き方】

 

遺言書

 

遺言者である札幌太郎は、次のとおり遺言する。

 

第1条 遺言者は、以下の不動産および預貯金ほかすべての遺言者名義の財産を、遺言者の長男である札幌次郎(昭和50年1月1日生)に相続させる。

 

1.土地

所在:北海道札幌市○○区○○町○丁目

地番:○番

地目:宅地

地積:80.00平方メートル

 

2.建物

所在:北海道札幌市○○区○○町○丁目

家屋番号:○番

種類:居宅

構造:木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建

床面積:1階部分 ○○㎡、2階部分 ○○㎡

 

3.預金

○○銀行△△支店

普通預金

口座番号XXXXXX

 

【付言事項】

長男○○はいつも私の様子を気遣い、体調を心配し、よく顔も見せてくれました。このことにはとても感謝しており、どれほど私自身の心の支えになったかわかりません。長年に渡り支えてくれた長男○○への感謝の気持ちとして、私に万が一のことがあった場合は全財産を長男○○に相続させたいと思います。次男△△にはどうか私の心情を理解してもらい、異議を述べることなく、今後も兄弟仲良く暮らしていってくれることを願います。

 

令和○年○月○日

 

北海道札幌市○○区○○町○丁目○―○

札幌太郎 印

 

(※このような場合は、トラブルになることを避けるため、「次男△△」には遺留分相当額を相続させる旨を記載した方が良いと考えられます。)

 

不備のない遺言書を作成するための確認ポイント

せっかく自分で遺言書を作成しても、形式的な不備が見つかれば遺言書が無効になる恐れがあります。民法に定められた形式を確認するか、専門家に遺言書作成を手伝ってもらい、誤りのない遺言書を作り上げることが重要です。

 

自分で遺言書を作成する際に注意したいポイントについてみていきましょう。

 

  • ​遺言書全文を自署で作成すること
  • 具体的な日付を記入すること
  • 遺言者が直筆で署名すること
  • 捺印を忘れないこと
  • 遺言書の修正がある場合、法律の定めに則って対処すること
  • 財産内容を詳細に明記すること
  • 遺言者の遺言能力が確かであること など

 

当行政書士事務所としては、専門家に相談しながら遺言書案を作成し、公正証書遺言とすることを強くお勧めしています。

 

まとめ

家族のなかで誰よりも子供が自分のことを気にかけてくれた、世話をしてくれた、といった感謝の思いから、特定の子供に全財産を相続させたいと考えるケースもあることでしょう。配偶者や他相続人(子供の兄弟姉妹など)には法定相続割合に応じた相続権利があることから、遺言書を作成する際は遺留分対策に十分留意したり、生前からこれら相続人に理解を求めたりするなどの対処が必要になると考えられます。

 

トラブルを回避しつつ希望通り子供1人に全財産を相続させたい場合は、遺言書作成などの生前対策に知見の深い当行政書士事務所までぜひご相談ください。丁寧にご事情をうかがい、遺言者の思いを反映させた遺言書の作成方針を説明し、ご相談者様の不安や疑問にお答えしていきます。初回のみ相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

問い合わせバナー
無料相談受付中予約カレンダー
無料相談受付中
予約カレンダーメールでのお問い合わせ電話でのお問い合わせLINEでのお問い合わせ