遺言の効力発生時期

 遺言という意思表示は遺言書作成時に成立しますが、遺言の効力の発生は遺言者の死亡時であり、遺言者の死亡までは何の法律関係も生ぜず、期待権ありません。 つまり、遺贈を原因として仮登記をすることもできませんし、また、遺言無効確認の訴えを提起することもできません。

 

民法第985条により、遺言は遺言者の死亡の時から効力を生ずると定められています。そのため、生前はあくまで将来効が予定されているにすぎません。遺言は原則としていつでも撤回することができ(民法第1022条)、新しい遺言を作成すれば前の遺言は抵触する部分について失効します。この点も、効力が死亡時に発生することと密接に関係しています。停止条件付遺言など、一定の条件を付すことも可能ですが、その場合でも効力発生の基準時は死亡時であり、条件成就により具体的権利が確定します。

 

遺言の有無の確認方法

 相続が発生した場合、まずは遺言者が遺言を作成しているかどうかの確認が必要です。遺言書がないものと思って、先に遺産分割協議を済ませ、その後に遺言書が出てきた場合、先に行った遺産分割協議は無効となりますので、注意が必要です。通常であれば、せっかく作った遺言書の発見がなされなければ意味がないので、遺言者の方で生前中に遺言作成をした旨のアナウンスが誰かにされていることが多いのですが、完全に秘密にして遺言を作成する方もいるので、自宅の仏壇やタンスなど、隈なく大事そうな書類を探したほうがよいでしょう。

 

自筆証書遺言書保管制度の可能性も

自筆証書遺言の場合、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用している可能性があります。この場合は、法務局で遺言書保管事実証明書の交付請求を行うことで、保管の有無を確認できます。

 

自筆証書遺言(法務局保管でないもの)や秘密証書遺言は、家庭裁判所での「検認」が必要です。検認を経ずに開封した場合、過料の制裁を受ける可能性があります。

 

公正証書遺言なら存在確認も可能

 なお、公正証書遺言と秘密証書遺言の場合、最寄りの公証役場に行って所定の手続きを取れば、遺言の有無の確認をすることができます。システムを利用するときは、被相続人の死亡を証する書類と相続人であることを示す戸籍等が必要になります。

 

遺言書に基づく預貯金・有価証券等の払戻しもしくは名義変更手続き

 遺言書に遺言執行者の指定があるかどうかによって遺言相続手続き方法が異なります。

①遺言書の原本提示(原本認証が必ず必要。コピーは金融機関で取る。自筆証書・秘密証書は検認済証明書が必要)

②被相続人の死亡の記載のある戸籍もしくは除籍謄本
遺留分の侵害があるケースでは、金融機関によっては被相続人の出生~死亡までの戸籍及び相続人全員の現在戸籍を求めるケースもあり。遺言執行者が指定されている場合は、被相続人の死亡記載のある戸籍だけで大丈夫です。

③遺言によって財産をもらう人の印鑑証明書と実印
遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の印鑑証明書と実印となります。

④被相続人の預金通帳や証書

 

遺言書に基づく不動産の相続(相続登記、遺贈登記)

 遺言書を使って不動産の名義変更をする場合、登記原因が「相続」になるのか「遺贈」になるのかによって手続きの仕方が異なってきます。

 

相続登記

2024年4月1日より相続登記が義務化され、相続開始および所有権取得を知った日から3年以内に登記申請をしなければ、過料の対象となる可能性があります。相続人に相続させるという遺言の場合は、「相続」に該当し、その相続人の単独による申請で登記できます。相続人ではない人に遺贈するという遺言の場合は、「遺贈」に該当し、登記権利者(受遺者)と相続人全員もしくは遺言執行者(登記義務者)が共同して申請することになります。

 

遺贈登記

遺贈登記の場合、相続人全員の協力が無ければ登記申請ができないため、この場合は遺言執行者がいたほうが便利です。遺言執行者の指定が遺言書にない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立を検討するべきでしょう。

 

包括遺贈と特定遺贈では法的性質が異なり、包括遺贈の場合は受遺者が相続人に準じた地位を有するため、相続放棄に類似した「包括受遺者の放棄」が問題となる点にも注意が必要です。

 

不動産登記の際には、遺言書のほか、固定資産評価証明書や登録免許税の納付が必要となります。登録免許税は原則として固定資産税評価額の0.4%(相続の場合)となります。

 

まとめ

以上のとおり、遺言は「死亡時に効力が発生する」という原則を理解したうえで、遺言の有無の確認、検認手続き、金融機関対応、不動産登記までを適切に進めることが重要です。

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