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高齢者は注意!本人が遺言書を書けない場合の対応策
年齢や病気などが原因で本人がうまく字を書けない場合、遺言書を作成することはできないのでしょうか。ここでは、遺言書を本人が書けない場合の対応策について説明していきます。
自筆証書遺言の場合
遺言書を作成したいと思っても、何らかの理由によってうまく字が書けずに困っている人は少なくありません。たとえば次のようなケースが該当します。
- 高齢になり字を書く際に手が震えてしまう
- 病気で臥せっており文書作成が難しい
- 病気やケガで手が不自由になった
- 極端に視力が落ちて手元が見えない など
特に「高齢になり手が震えてうまく字が書けない」という方は多く、遺言書を作成するには大変な苦労を要する場合があります。また、筆圧が弱くなったりまっすぐ字を書けなくなったりすることもあるようです。
このような場合、誰かの助けを得て遺言書を作成してもいいのでしょうか。
自筆証書遺言は本人の手書きにより作成されることが前提です。字を上手く書けない理由が何であれ、文字を書く際に誰かの助けを得た場合、その介助の程度によっては遺言書としての有効性が疑問視されることもありそうです。
たとえば、「本人が書きやすいよう用紙を押さえてあげる」行為は問題ないとされるものの、遺言者に手を添えて字を書く助けをする行為は「自筆証書遺言を自署していない」と見なされる可能性があることから、遺言書としての有効性にも疑問が残ります。
したがって、思うように字が書けない場合、自筆証書遺言は適した方法ではないと考えられるのです。
公正証書遺言の場合
先に述べた通り、自筆証書遺言では、遺言本文・日付・署名は必ず自署することが求められています。しかし、さまざまな理由から自署が難しい場合は、自筆証書遺言の代わりに公正証書遺言を利用するといいでしょう。
たとえば当事務所が公正証書遺言作成のご依頼を受けた場合、行政書士が遺言書原案の提案を行い公証人との調整を行います。公証人は原案に基づき公正証書遺言書案を作成し、公正証書遺言書作成当日は、遺言者は原案に沿って口頭で遺言内容を公証人に伝え、署名捺印することで遺言書が完成するのです。
遺言書本文は公証人が作成しますので、遺言者本人が字を書くことに不自由があったとしても心配することはありません。署名は自署であることが原則として求められますが、民法では公証人が遺言者の署名に代わり対応できる旨が明記されています。
(公正証書遺言)
第九百六十九条
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
※e-Govより抜粋「民法」
公正証書遺言を利用することで、思うように字が書けないというハードルを乗り越えることができますので、遺言書を遺したい場合は公正証書遺言を第一の選択肢として考えるといいでしょう。
まとめ
高齢になると身体を思うように動かせなくなったりさまざまな疾病の影響を受けたりして、うまく字が書けなくなることがあります。そのようなときは、公正証書遺言を利用して法的に有効な遺言書を作成することをおすすめします。
また、高齢で遺言書を作成する場合、遺言者の意思能力などが問題になり相続人同士で揉める可能性が否定できないことから、医師の診断書や介護記録などを用意し、遺言書作成時点で十分な意思能力を有していたことを証明するのもいい方法だといえます。
当事務所では、遺言書作成から相続全般にいたるまで広くご相談・ご依頼を承っております。司法書士や税理士と連携しながらトータルサポートを提供していますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。