相続が発生したら、財産のなかに課税対象となる不動産が含まれていないかどうか調べる必要があります。そのようなときは、「名寄帳(なよせちょう)」を確認するのも方法の1つです。被相続人が所有していた不動産をひととおり調べることができるでしょう。
【この記事の要点】
- 名寄帳で確認できること
- 札幌市における名寄帳請求の手続き
- 名寄帳に記載されている情報
- 名寄帳取得に際しての注意点
この記事では、札幌市における名寄帳の取得手続方法や留意点について説明していきます。
市区町村の不動産情報は「名寄帳」で確認
名寄帳(なよせちょう)は、土地や家屋を所有者ごとに整理した台帳で、市区町村が作成・管理しています。主に固定資産税課税を目的として作られているため、不動産の所有者名・住所・不動産の構造・地番などが記載されており、次の情報も確認することができます。
- 固定資産税評価額
- 固定資産税課税標準額
- 固定資産税額 など
相続手続きでは被相続人名義の不動産を正しく把握し、期限内に相続税を納付しなければいけませんので、必要に応じて名寄帳を確認・取得しておくといいでしょう。
札幌市における名寄帳請求・縦覧手続き
札幌市では、以下の提出書類を揃えることで、窓口での名寄帳請求・縦覧または郵送での名寄帳請求が可能です。
【提出書類】
- 固定資産課税台帳(名寄帳)閲覧申請書兼縦覧帳簿縦覧申請書
- 委任状(他の者が代わりに請求・縦覧する場合)
※提出書類とともに、運転免許証などの顔写真付本人確認書類(1点)か健康保険証や年金手帳など顔写真のない本人確認書類(2点)の添付が必要です。
【提出時期】
- 名寄帳:随時請求可
- 縦覧:毎年4月1日から4月30日まで
【提出方法】
- 名寄帳請求:書類を窓口へ提出、または郵送で提出
- 縦覧:書類を窓口へ提出
【受付窓口】
- 資産の所在する区を管轄する市税事務所固定資産税課(ただし、償却資産については中央市税事務所固定資産税課)
【受け取れるもの】
- 名寄帳請求の場合は「名寄帳兼賦課台帳」を無料で受け取ることができます。
なお、相続人が名寄帳請求・縦覧の手続きを行う場合は、被相続人の死亡が確認できる戸籍等・自らが相続人であることを確認できる戸籍謄本や遺言書等が必要です。個人的な資産情報を得る手続きですから、本人との関係を明確に示す書類の提示が不可欠になります。
※山林・農地・私道など固定資産税が課税されない不動産は、名寄帳にのみ記載されている場合がありますので注意しましょう。
名寄帳の見方
名寄帳にはさまざまな資産情報が記載されていますので、正しく読み解く必要があります。記載事項と「何を確認できるか」を理解しておきましょう。一般的には、登記名義人・土地家屋の一覧・固定資産税評価額・課税標準額・特例・減免・非課税措置の有無などを確認することができます。
資産の所有者情報
名寄帳には、特定の不動産についてその所有者情報が記載されています。所有者を確認できることはもちろん、固定資産税の納税義務者が誰であるかもわかります。
資産情報
名寄帳を読み解くことで、土地および建物に関する資産情報を詳細に確認することができます。
土地情報
名寄帳で確認できる土地情報(細部は市区町村により異なる場合あり)として、次の事柄があります。
- 所有形態:単独所有または共有、区分所有などの別を確認できます。
- 所在地:正確な住所および地番を確認できます。
- 地目・地積:地目とは土地の用途、地積は土地の広さを表します。これにより、当該土地が宅地なのか畑なのか、どれくらいの広さがあるのかなど、土地の性質を知ることができます。
- 固定資産価格:固定資産税のもととなる土地評価額が記載されています。
- 課税標準額:固定資産税を算出するときに欠かせない基準額が記載されています。
- 持分:当該土地が共有地である場合などは、各所有者が持つ土地の割合・持分が記載されます。
建物情報
名寄帳で確認できる建物情報(細部は市区町村により異なる場合あり)として、次の事柄があります。
- 家屋番号:建物にはそれぞれ「家屋番号」が割り当てられています。当該建物を識別する家屋番号を確認することができます。
- 種類:建物の用途(住宅、商業施設、事務所など)が記載されています。
- 階数:建物の規模や構造を確認する際に欠かせないのが階数です。当該建物が「地上○階」「地下○階」であることが確認できます。
名寄帳請求時に知っておきたいこと
被相続人の不動産情報が不足している場合、名寄帳を請求することで「どのような不動産を所有していたか」を明確に把握することができます。ただし、次に挙げるような注意点がありますので、名寄帳請求時には気を付けましょう。
不動産取得時期が直近である場合は反映されていないことがある
名寄帳に記載されている不動産情報は、各年度の1月1日時点の情報です。したがって、1月2日以降に追加された情報はすぐに名寄帳に反映されていないことがある点に注意しましょう。直近に取得した不動産情報を名寄帳で確認するためには翌年まで待たなければならない可能性もあります。
取得者名義の不動産しか記載されていない
名寄帳に記載されているのは取得者名義の不動産に限られます。したがって、個人名義の不動産として名寄帳請求した場合、法人名義の不動産情報は除外されます。
たとえば相続において被相続人が会社を経営しており、その法人名義で不動産を所有していた場合は、次の代表者が法人名義の名寄帳請求手続きを行って名義変更手続きに活かすなどする必要があるでしょう(法人名義の不動産は遺産分割の対象外)。
名寄帳は自治体ごとに管理されている
名寄帳の管理は各自治体に委ねられています。したがって、A市で取得した名寄帳にはA市に所在する不動産情報しか記載されていないことになります。所有者が複数の自治体に複数の不動産を所有していた場合は、各自治体において名寄帳請求の手続きを行う必要があります。特に、相続において被相続人が遠方の実家を所有している場合などは、所在地の役所に対して名寄帳請求手続きを行わなければなりませんので注意しましょう。
まとめ
被相続人が不動産を所有している場合、通常は固定資産税納税通知書が手もとに届くため、そこから相続人は「被相続人がどのような不動産を有していたか」を把握することができます。
ただし、当該土地が「共有名義の不動産」「固定資産税が非課税の不動産」である場合は、固定資産税納税通知書が被相続人に届きませんので、相続人が不動産の存在を見落としてしまうことも考えられます。「被相続人は○○市か○○市に不動産を所有していたようだ」などある程度推測できる場合は、該当しそうな自治体に対して名寄帳を請求してみることも有効です。
名寄帳の請求手続き自体はそこまで煩雑なものではありませんが、「名寄帳の読み方」には注意を払いましょう。正しく内容を読み解き、当該不動産がどのような特徴を持っているのか、評価額はいくらかなどを知り、遺産分割協議や相続税の計算に活かすことが大切です。
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