被相続人と相続人の関係性を表した「相続関係説明図」を作成しておくと、相続手続がよりスムーズに運ぶことが期待できます。一方、相続関係説明図に似ているが公的文書としての性質を持つ「法定相続情報一覧図」を作成した方がいいケースもあるでしょう。
【この記事の要点】
- 相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
- 法定相続情報一覧図を活用すべきケース
- 法定相続情報一覧図の作成・申請手順
この記事では、相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違いや作成方法などについて説明していきます。法定相続情報一覧図の申請手続きはやや煩雑ですので、専門家の力を上手に借りることも検討してみましょう。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図の3つの違い
相続関係説明図に似た書類として、法務局が発行する法定相続情報一覧図があります。いずれも相続関係を明確に表した文書になりますが、相続関係説明図は私文書・法定相続情報一覧図は公文書である点で大きく異なっています。
また、以下の点において明確な違いがありますのでよく確認しておきましょう。
1.「証明力」が違う
相続関係説明図は「相続関係の把握」をスムーズにするために作成する書面ですが、法的な証明力はありません。したがって、相続関係説明図だけで相続手続を進めることはできず、金融機関や法務局など申請先に対して別途戸籍謄本を添付して提出する必要があるのです。
法定相続情報一覧図は法務局から認証を受けた文書ですので、各申請先に対して戸籍謄本を提出しなくても相続手続を進めることが可能です。
したがって、相続関係説明図と法定相続情報一覧図の大きな違いは、法務局による認証があるか(証明力があるか)という点にあるといえます。
2.作成方法が違う
相続関係説明図には望ましい書き方があるものの、私文書であるためパソコンでも手書きでも作成でき、比較的自由度が高いといえそうです。
法定相続情報一覧図は法務局が発行する文書になるため、用紙の種類や余白の空け方など一定の作成ルールに則って一覧図を作る必要があり、また必要書類を揃えて申請しなければいけません。法定相続情報一覧図が発行されるまでには時間もかかる点に注意しましょう。
3.記載事項が違う
相続関係説明図には相続放棄や数次相続が発生したとしても当該人物について記載することができますが、法定相続情報一覧図には記載することができません。これは、法定相続情報一覧図が「相続開始時での相続関係を証明する文書」であるためです。
法定相続情報一覧図を活用すべきケースとは
法定相続情報一覧図の申請には、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本など・相続人の戸籍謄本(抄本も可)が必要です。手続きの完了までには数週間ほど要することもあります。手間も時間もかかる作業になることを考えれば、相続手続きを要する財産が限られている場合などは相続関係説明図と戸籍謄本を用意して対応した方が効率的であるともいえるでしょう。
一方、複数の不動産や金融機関口座に対する手続きを要する場合などは、その都度戸籍謄本等を用意する必要があり、結果として相続手続き自体が遅延する可能性もありますので、法定相続情報一覧図を取得した方がよいと考えられます。
法定相続情報一覧図の申請手順
法定相続情報一覧図と必要書類を提出して認証を受けるためには、次の手順で手続きを行います。
必要書類の用意
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
- 被相続人の住民票の除票
- すべての相続人の戸籍謄本(抄本も可)
- 申出人の本人確認書類(運転免許証などの公的書類)
※「申出人」とは、相続人を代表して手続きを行う者
次の書類が必要になることがありますので、該当する場合は速やかに用意しましょう。
- 法定相続情報一覧図に相続人住所を記載する場合→各相続人の住民票の写し
- 委任による代理人が手続きする場合→委任状、戸籍謄本(親族関係がわかる戸籍謄本)または身分証明書(資格者代理人が代理する場合)
- 被相続人の住民票の除票が用意できない場合→被相続人の戸籍の附票
一覧図の作成
被相続人の戸籍謄本をもとにして一覧図を作成します。法務局のホームページでは、「法定相続人が配偶者及び子である場合」や「法定相続人が子のみである場合」など、さまざまなパターンにおける記載例が公開されていますので、参照しながら一覧図を作成するといいでしょう。
なお、以下のルールに則って作成することが求められます。
【法定相続情報一覧図作成ルール】
- A4サイズの縦用紙を使用すること
- 下から約5cmの余白を設けること(認証文を付すため)
- 長期保存可能な紙質を選択すること
- 文字はパソコン入力または黒色インクや黒色ボールペンを使用すること
- 楷書で記載すること
※こすって消える筆記具は使用不可
申出書の記入と登記所への申出
申出書に正しく記入し、用意した各種書類と一覧図を添えて登記所に申出をします。申出を行う登記所は、以下いずれかの地を管轄する場所を選択します。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義の不動産の所在地
申出は、登記所に出向いて行うほか郵送でも可能です。郵送で一覧図の写しの交付を受ける場合は、返信用封筒および切手を同封する必要があります。
札幌市の登記所
札幌市における登記先は、管轄地域により以下の通り分類されます。
- 札幌法務局(本局):対象地が札幌市中央区の場合
- 南出張所:対象地が札幌市豊平区、南区、清田区の場合
- 北出張所:対象地が札幌市北区、東区の場合
- 西出張所:対象地が札幌市西区、手稲区の場合
- 白石出張所:対象地が札幌市白石区、厚別区の場合
まとめ
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は似て非なるものであることから、違いを知り目的に合わせて活用することがよいと思われます。
当社は行政書士法人であるため、相続手続に不可欠な戸籍関係書類の取得を代行することができます。これによりお客様の相続手続をよりスムーズにすることはもちろん、戸籍をもとにした相続関係説明図の作成代行も承っております。
相続関係説明図があることで、金融機関や法務局など各種手続き先に対して相続関係をわかりやすく説明できますし、不動産を相続した場合は、相続関係説明図があることにより戸籍等の原本の還付も受けることが可能です。
相続財産の種類が多く手続き先が多岐に渡るような場合は、有料ではありますが、法定相続情報一覧図の認証申請の代行も行います。
相続が開始したらまずは相続人を確定させ、その後の利便性を高めるために相続関係説明図を作成しておくことが勧められますが、手続きにご不安をお持ちの方やご依頼をご検討の方など、ぜひ無料相談をお気軽にご利用ください。










