相続登記とは、遺産である不動産について、相続を機に名義変更する手続きのことをいいます。親が亡くなって子が不動産を相続した場合は、不動産の名義を親の名前から相続する子の名前に変更しなければいけないのです。この手続きはとても複雑で各種書類の収集にも手間がかかりますが、遺言書がある場合は手続きがかなりスムーズになるといわれています。

 

【この記事の要点】

  • 遺言書の種類と相続登記への影響
  • 相続あるいは遺贈による相続登記の必要書類と登録免許税
  • 登記申請手続きの流れ

 

この記事では、遺言書が遺されていた場合の相続登記について説明していきます。遺言書は大切な家族である被相続人からの強いメッセージでもあるので、正しく不動産を相続できるよう十分に下調べを行い手続きに繋げましょう。

 

遺言書の種類と相続登記のパターン

遺言書は3種類あり、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言に分けることができます。遺されていた遺言がこのなかのどれかによって、相続登記の手続きパターンも変わってきますので、押さえておくべきポイントを整理していきましょう。

 

【相続登記】自筆証書遺言で不動産を相続した場合

自筆証書遺言は見つけてもその場で開封することができず、必ず家庭裁判所による検認を受けなければなりません。「検認」は、自筆証書遺言が偽造ではないことや形状などを明確にする手続きですので、手続きを経て初めて相続登記の添付文書として提出できるようになります。

 

【相続登記の申請】

  1. 管轄の法務局に対し登記申請書と添付文書(自筆証書遺言など)を提出
  2. 登録免許税の納付

 

【自筆証書遺言保管制度について】

遺言者が自筆証書遺言を法務局が管理する「自筆証書遺言保管制度」を利用していた場合、当該遺言書が法に定められた形式に適合するか外形的チェックを受けることができます。また、遺言書は原本およびデータとして保管されます。このことから、遺言書の紛失や改ざんを回避することが可能です

また、保管されていた遺言書は裁判所の検認を受けなくても良いとされており、遺言書保管の事実については以下いずれかのパターンで対象者に通知されます。

◆関係遺言書保管通知
いずれかの相続人が遺言書を閲覧したり遺言書情報証明書の交付を受けたりしたとき、他のすべての相続人に対して「遺言書保管所に遺言書が保管されている旨」の通知が届きます。

◆指定者通知
遺言者があらかじめ通知対象者を指定していた場合、遺言者の死亡の事実が確認できた時点で、他相続人などの閲覧等を待たずに、当該人物に「遺言書保管所に遺言書が保管されている旨」の通知が届きます。

 

【相続登記】公正証書遺言で不動産を相続した場合

公正証書遺言とは、遺言者が公証役場に出向いて公証人に遺言内容を伝え、これを公証人が記録して作成される遺言書の形です。公証役場で作成された遺言書は公正証書として扱われますので、本人確認や意思能力の確認、偽造リスクの回避が済んでいるとみなされます。したがって、公正証書遺言はそのまま相続登記の添付文書として法務局に提出することが可能です

 

自筆証書遺言保管制度と同じように、遺言書の原本データが公証役場に保管されますので、相続人は公証役場の遺言検索システムで被相続人による遺言書の有無を確認してみるといいでしょう。

 

【相続登記の申請】

  1. 管轄の法務局に対し登記申請書と添付書類(公正証書遺言など)を提出
  2. 登録免許税の納付

 

【相続登記】秘密証書遺言で不動産を相続した場合

秘密証書遺言は、遺言者自身が作成する遺言書である点は自筆証書遺言と同じですが、遺言書が存在する事実を公正証書に証明してもらう点で異なっています。遺言者はあらかじめ作成した遺言書を公証役場に持参し、公証人による証明を受けたうえで遺言者自身が保管するのです。

 

遺言者の死後、公証役場の遺言検索システムで遺言書の有無を調べることはできますが、公証人は「遺言書の存在の有無」についてのみ証明しており、その内容について法的に有効かどうかまでは担保されていません。

 

したがって、遺言書が見つかった場合は、自筆証書遺言と同様に家庭裁判所による検認を受ける必要があります。検認では、自筆証書遺言が偽造ではないことや形状などを明確にします。

 

【相続登記の申請】

  1. 管轄の法務局に対し登記申請書と添付書類(公正証書遺言など)を提出
  2. 登録免許税の納付

 

遺言書が遺されていたときの相続登記

どのタイプの遺言書が遺されていたかによって、相続登記の添付書類として遺言書を使用可能かどうかが変わってくるのは前述の通りです。同時に注意したいのは、「遺言で不動産を相続させるのか遺贈するのか」により必要書類が異なるという点です

 

遺言書で相続・遺贈により不動産を引き継いでもらう場合、対象が相続人か相続人以外か、相続させるのか遺贈するかで対応が変わってきます。具体的には次のパターンが考えられるでしょう。

 

  1. 相続人に相続させる
  2. 相続人に遺贈する
  3. 相続人以外に遺贈する

 

「1.相続人に相続させる」場合は、当該相続人が単独で相続登記の申請を行うことができます。「2.相続人に遺贈する」場合は、当該相続人とすべての相続人(もしくは遺言執行者)による共同申請が求められます。「3.相続人以外に遺贈する」場合も、受遺者とすべての相続人(もしくは遺言執行者)による共同申請が必要です。

 

「1.相続人に相続させる」場合の必要書類

  • 登記申請書
  • 遺言書(検認済み遺言書または公正証書遺言書)
  • 当該不動産を相続する相続人の現在戸籍
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 不動産を相続することになった相続人の住民票
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 収入印紙
  • 返信用封筒

 

【登録免許税】

相続人に不動産を相続させる場合、当該相続人は「固定資産税評価額×4/1000(0.4%)」の式で算出した登録免許税を納付します。相続登記の対象となる不動産の評価額が3,000万円だった場合、3,000×0.4%=12万円が登録免許税となります。

 

「2.相続人に遺贈する」場合の必要書類

  • 登記申請書
  • 遺言書(検認済み遺言書または公正証書遺言書)
  • 当該不動産の遺贈を受ける相続人の現在戸籍
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 不動産の遺贈を受けることになった相続人の住民票
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 収入印紙
  • 返信用封筒

 

【登録免許税】

相続人に不動産を遺贈する場合、受遺者は「固定資産税評価額×4/1000(0.4%)」の式で算出した登録免許税を納付します。遺贈登記の対象となる不動産の評価額が3,000万円だった場合、3,000×0.4%=12万円が登録免許税となります。

 

「3.相続人以外に遺贈する」場合の必要書類

  • 遺言書(検認済み遺言書または公正証書遺言書)
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票
  • 被相続人の権利証(登記済権利証または登記識別情報通知)
  • 受遺者の住民票
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 収入印紙
  • 返信用封筒
  • すべての相続人の印鑑証明書と実印(遺言執行者がいる場合はその印鑑証明書と実印)

 

【登録免許税】

相続人以外の者に不動産を遺贈する場合、受遺者は「固定資産税評価額×20/1000(2%)」の式で算出した登録免許税を納付します。遺贈登記の対象となる不動産の評価額が3,000万円だった場合、3,000×2%=60万円が登録免許税となります。

 

相続登記申請手続きの流れ

相続登記の申請は、以下の流れにしたがって進められます。

 

1.登記申請書の作成

登記申請書は法務局の窓口または法務局ホームページから入手することができます。また、オンラインで申請することができる「登記・供託オンライン申請システム」を利用することも可能です。申請書の記入例についても、法務局ホームページの案内を参考にしながら作成してみましょう。

 

2.登記申請書の提出

登記申請書を作成し添付書類を用意したら、管轄の法務局に持参あるいは郵送します。郵送申請を行う場合は、返信用封筒を同封し書留郵便で送付しましょう。「登記・供託オンライン申請システム」を利用する場合は、ウェブ上の申請書に必要事項を記入し、その他求められる書類を添付して申請を行います。

 

3.申請手続きの完了

登記申請手続きが完了すると、法務局から「登記識別情報通知書」が交付されます。

 

まとめ

不動産を相続したとき・遺贈を受けたときの登記手続きは、人生のなかで何度も経験することではありません。一般的には馴染みのない手続きですので、相続登記の仕組みや必要書類、専門用語を理解したうえで正しく登記を行うには、相応の手間と労力を要することが考えられます。

 

不動産という大きな財産の権利関係を引き継ぎ名義を変更する「相続登記」は、必ず行わなければならないものですので、できるだけ専門家に相談し助言を得ながら手続きすることをお勧めします

 

当行政書士事務所では、不動産相続・遺贈を含む相続全般の手続き依頼を多数承っております。豊富な経験に基づく助言はもちろんのこと、ご依頼にあたっては司法書士や税理士といった専門家との協力に基づくトータルサポートを提供いたしますので、ご安心のうえお任せいただけます。無料相談もご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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