デジタル遺品整理とは何か

家族が亡くなった後、私物整理の中でも特に対応に悩むのがデジタル遺品の整理です。デジタル遺品とは、スマートフォン・パソコン・タブレットなどに保存された、以下のような無形の遺品を指しています。

  • 写真
  • 動画
  • メール
  • SNSアカウント
  • クラウド上のデータ

 

近年は、スマートフォンで日常の出来事や記念行事を撮影する人がほとんどのため、デジタル遺品の中には故人の人生そのものが詰まった写真データが大量に残されていることも珍しくありません。

 

デジタル遺品の整理で最も多い「写真データ」

従来の遺品整理は、衣類・家具・貴金属などの目に見える財産が中心でした。しかし現在では、思い出の大半がスマートフォンの中に保存された写真や動画として存在しています。

 

そのため、「スマホの写真だけは何としても残したい」「クラウドにある家族写真を取り出したい」という相談がデジタル遺品整理で最も多く寄せられています。

 

デジタル遺品の写真は形見分けできるか

デジタル遺品の写真は形見分けとして扱うことになりそうです。形がないため軽視されがちですが、以下の点に注意しましょう

  • 写真やデータは「故人にとって価値を持つ情報」
  • 勝手な削除・独占はトラブルの原因
  • 処分・保存・共有は原則として相続人全員の同意が必要

つまり、「この写真は私がもらう」「このデータは消す」など、一人の判断では進められないという点が、通常の遺品整理との大きな違いです。

 

デジタル遺品の写真を取り出す方法

スマートフォンやパソコンにロックがかかっていない場合は、

  • 直接印刷する
  • USBなどにコピーする
  • クラウドへバックアップする

といった方法で写真を保存できます。

 

ただし、この段階でも相続人全員の合意を得たうえで作業を行うことが原則となります。

 

ロック解除できない場合は専門業者に依頼

問題となるのが、ロックが解除できずデータを取り出せないケースです。この場合は、デジタルデータ復旧の専門業者に依頼して写真やデータを取り出します。

  • 費用:数万円~数十万円程度
  • 成功報酬型の場合もあり
  • 裁判所提出用の証明を出せる業者も存在

費用はかかりますが、「写真だけはどうしても残したい」という理由で依頼するご家族は非常に多いのが実情です。

 

取り出した膨大な写真データの整理方法

エンディングノート・遺言書・死後事務委任契約などで、

  • 残す写真
  • 削除する写真
  • 管理する人

などが指定されている場合は、その指示に従って整理していきます。

 

指定がない場合は遺産分割協議で決める

故人から写真整理についての指定がなかった場合、デジタル遺品の取り扱いについては、相続人同士の話し合いによって決めることになります。

 

順序としては、

  1. まずUSBなどにすべてコピー
  2. 相続人同士で共有
  3. 誰が管理するか決定
  4. 整理・保存・削除の方針を決める

という流れが安全です。

 

残しておきたい写真の具体例

写真が膨大な場合は、以下を目安に残していくと整理がしやすくなります。

  • 家族や親族の集合写真
  • 結婚式・入学式などの記念行事
  • 家族の自然な笑顔の写真
  • 故人の趣味に関する写真
  • 故人と友人が一緒に写っている写真

風景写真などは同じ構図を何枚も撮影していることが多いため、23枚に厳選して保管するとよいでしょう。残した写真は印刷し、形見分けとして配布するのもおすすめです。

 

デジタル遺品の写真から遺影を選びたいとき

デジタル遺品として残された写真は、遺影の作成にも活用できます。スマートフォン内の写真から自然な表情を選べる一方、整理や使用には相続人全員の同意が原則必要となるため、慎重な確認が大切です。

 

デジタル遺品整理でやってはいけない行為

以下の行為は相続トラブルの原因になります。

  • 相続人の1人が勝手に写真を削除する
  • データを独占して共有しない
  • 第三者に無断で渡す
  • 機器の買取や売却処分を独断で行う

デジタル遺品は「気持ちの問題」だけでなく、法律の問題でもあるという点を必ず押さえておきましょう。

 

生前からできるデジタル遺品整理対策

近年では、生前整理の一環として、デジタル遺品の扱い方を決めておいたり、ログイン情報の管理方法や写真の保存・削除方針を決めたりして、元気なうちに対策を取る方が増えています。

 

ただし、家族にパスワードを教えたくない、プライバシーを守りたい、という方も多いため、遺言書を遺したり死後事務委任契約やエンディングノートを活用したりするなど、第三者を介した安全な引き継ぎ方法を選択するケースも増えています。

 

まとめ

デジタル遺品の整理は、単なる片付けではなく、相続と深く関係する重要な手続きです。スマートフォンやパソコンに保存された写真やデータの取り出し・整理・削除・共有には、原則として相続人全員の同意が必要となります。

 

ロック解除ができない場合は専門業者の利用が必要になり、写真が膨大な場合には遺産分割協議を経て慎重に整理することがトラブル防止につながります。

 

また、生前からデジタル遺品整理の方針を決めておくことで、遺された家族の負担を大きく軽減できます。

 

デジタル遺品整理に不安がある方は、法的な視点からのサポートが可能な専門家へ早めに相談することをおすすめします。

 

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