相続が発生すると、遺産の内容によっては「相続税の申告」が必要となります。
ここでは、自分で相続税申告手続きを行うために必要な、相続税の基礎控除の概要や計算方法、申告期限と手続きの流れについて整理していきます。
相続税の課税目的と申告手続きの流れ
相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を受け取る人(相続人)に課される税金です。その目的は次の2点です。
- 労働によらず得た「不労所得」に公平な課税を行うため
- 特定の家族に財産が集中するのを防ぐため
相続発生から申告までの基本の流れ
相続が発生したら、すみやかに相続税申告手続きを開始します。手続きの具体的な流れを押さえておきましょう。
【1】被相続人の死亡により相続が開始
被相続人の死亡と同時に相続は開始します。死亡届を提出し、葬儀などの手続きを行いながら、相続に関する諸手続きの準備を進める必要があります。相続開始日は死亡日とされ、この日から10か月以内に相続税の申告・納付を行わなければなりません。
【2】相続人と相続財産を確定
誰が相続人となるかを戸籍謄本などから確認します。次に、被相続人の財産を調査し、預貯金・不動産・有価証券・負債などを一覧化します。相続人と財産の確定は、相続放棄や遺産分割協議など、後の手続きに大きく影響するため、正確に把握することが重要です。
【3】遺産分割協議を実施
相続人全員で、誰がどの財産を相続するかを話し合うのが遺産分割協議です。合意に至った内容は「遺産分割協議書」として書面に残し、全員の署名・押印を行います。この協議書は相続登記や銀行手続き、相続税の申告時にも必要となる重要な書類です。
【4】必要に応じて相続放棄や限定承認の手続き
借金などマイナスの財産が多い場合は、家庭裁判所で「相続放棄」または「限定承認」の手続きを行うことができます。これにより、相続による債務の負担を回避または限定できます。手続きの期限は、相続開始を知った日から3か月以内と定められています。
【5】財産評価から相続税の計算
相続財産の評価額をもとに、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、課税対象額を算出します。土地や建物などの不動産は固定資産税評価額、株式や保険金は時価を用いて評価します。正確な評価には税理士などの専門知識が必要な場合もあります。
【6】税務署への申告・納付(10か月以内)
相続税の申告は、被相続人の死亡日から10か月以内に、最後の住所地を管轄する税務署へ行います。申告書には相続人全員の署名・押印をし、相続財産の明細書などを添付します。納税は現金一括が原則ですが、延納や物納が認められる場合もあります。
相続税の基礎控除とは
相続税は、相続財産の総額が「基礎控除額」を超える場合にのみ課税されます。つまり、控除額以内であれば申告や納税の必要はありません。
基礎控除の計算式(図解)
- 計算式:3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
- 例:相続人が3人の場合 → 3,000万円+(600万円×3)=4,800万円
この控除額を超えない限り、相続税の申告・納付は不要です。
ただし、「小規模宅地等の特例」などを適用する場合には、基礎控除を下回っても申告が必要になるケースがあるため注意が必要です。
相続税の申告期限と提出先
では、相続税の申告期限と書類の提出先を確認しておきましょう。
申告期限
相続税の申告期限は、被相続人の死亡から10か月以内です。期限を過ぎてしまうと、
- 無申告加算税(5~20%)
- 延滞税
などのペナルティが課される可能性があります。
申告書の提出先
書類の提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。郵送提出も可能で、その場合は消印日が提出日とみなされます。
相続税の申告書と作成方法
相続税の申告書は「第1表~第15表」までありますが、全てを記入する必要はなく、自分の相続内容に該当する部分だけ作成すればOKです。
- 基本的な税額計算 → 第1表
- 生命保険金の明細 → 第9表
- その他の特例適用 → 必要な付表を追加
申告書は税務署で配布されているほか、国税庁ホームページからダウンロード可能です。「記入の手引き」も掲載されているため、初めての人でも安心して作成できます。
専門家に依頼した方がよいケース
相続税の申告は、自分でも可能ですが、以下のようなケースでは税理士など専門家への依頼がおすすめです。
- 遺産に土地・株式など評価が難しい財産がある
- 特例(小規模宅地等、配偶者控除など)を適用したい
- 相続人間の意見がまとまらない
- 期限内の申告が難しい
専門家に依頼することで、申告漏れや税務調査リスクを減らし、結果的に節税効果が高まることもあります。
まとめ
相続税の申告は、正確さと期限遵守が大切です。早めに財産の整理を進め、必要に応じて専門家に相談しましょう。










