遺産分割は、一定の条件を満たせば「無効」「取消し」「合意解除」によりやり直すことが可能です。錯誤(勘違い)・詐欺・脅迫・相続人の欠缺などがあれば法的に争えますが、条件を満たさない場合は原則として一度成立した遺産分割を覆すことはできません。
遺産分割は解除・やり直しできるのか?
遺産分割は一度成立すると原則として確定しますが、法律上は例外的に「無効」「取消し」「合意解除」による見直しが認められる場合があります。ここでは、遺産分割を解除・やり直しできる代表的なケースを整理して解説します。
ケース① 錯誤(勘違い)による遺産分割の無効
遺言書の存在を知らずに分割した場合がこれに当たります。
遺産分割協議の前提となる重要な事実について勘違い(錯誤)があった場合、遺産分割は無効と主張できます。
具体例
- 実は有効な遺言書が存在していた
- 遺言書があると知っていれば分割協議に応じなかった
このような場合、「遺言書の不存在」という重要な前提事実の錯誤があるため、錯誤による無効を主張することが可能です。
ケース② 詐欺・脅迫による遺産分割の取消し
相続人同士の遺産分割は「契約」と同じ扱いです。つまり、遺産分割協議は、法律上は相続人同士の契約にあたるのです。そのため、協議の過程で次のような行為があった場合、取消しが認められます。
該当する例
- 脅されて不利な内容に同意させられた(脅迫)
- 遺産内容を偽って説明された(詐欺)
- 財産を隠されたまま分割に応じた
この場合、取消しの意思表示を行ったうえで、遺産分割無効確認訴訟を提起することが可能です。
※実務上は「言った・言わない」の争いになりやすいため、録音や証拠の確保が重要です。
ケース③ 相続人全員が参加していない遺産分割は無効
相続人が欠けている場合は分割協議は成立しません。遺産分割は相続人全員の参加と合意が必要です。一人でも欠けていれば、その遺産分割は無効となります。
失踪者がいる場合の遺産分割の扱い
失踪宣告後に分割し、後日発見された場合についてはどうでしょうか。
相続人の中に失踪者がいる場合でも、失踪宣告を経たうえで遺産分割協議を行っていれば有効です。その後、失踪者が発見され失踪宣告が取り消されても、過去に行われた遺産分割が直ちに無効になることはありません。
ケース④ 相続人全員の合意があれば遺産分割は解除できる
合意解除による「やり直し」という方法もあります。
相続人全員が「この遺産分割を一度解除して、やり直したい」と一致している場合は、合意解除が可能です。
ポイント
- 相続人全員の同意が必須
- 第三者の権利(売却済み不動産など)を害することは不可
- 解除後、改めて遺産分割協議を行う
遺産分割の解除・無効が問題になりやすい注意点
- すでに不動産が第三者に売却されている
- 登記や税務処理が完了している
- 相続開始から長期間経過している
これらの場合、解除や無効主張が制限されることがあります。
まとめ
遺産分割は原則として確定しますが、
- 錯誤(勘違い)
- 詐欺・脅迫
- 相続人の欠缺
- 全員合意による解除
といったケースでは、解除・無効・やり直しが認められる可能性があります。
ただし、第三者の権利関係や証拠の有無によって結果が大きく左右されるため、「遺産分割をやり直したい」と思った時点で、早めに専門家へ相談することが重要です。










