家族が亡くなり遺産の確認をしていたところ、山林を所有していたことがわかった、というケースがあります。一方、山林は固定資産税評価額が低いことから、固定資産税納税通知書が届いておらず、被相続人の山林所有の事実に気付かないというケースも散見されます。

 

【この記事の要点】

  • 山林の相続登記
  • 森林の土地の所有者届出制度
  • 山林を相続したときに起こりやすい問題点
  • 山林が必要ない(いらない)場合の対処法

 

ここでは、山林の相続手続やいらない場合の対処法について説明していきます。山林と言っても不動産ですので、一般的な不動産相続と同様に相続登記を行わなければならず、同時に役所への届出も必要になります。

 

山林の「相続登記」と「森林の土地の所有者届出制度」

相続登記とは、ある不動産について登記簿に記録されている名義(被相続人の名前)を、不動産を相続した人物の名前に移す手続きのことをいいます。山林を相続した場合も一般的な不動産を相続した時と同様に、管轄の法務局で登記申請を行う必要があります

 

相続登記の必要書類

法務局の資料によれば、相続登記には次の書類が必要とされています。

 

遺産分割協議に基づき相続する場合

  • 被相続人の出生から死亡までの事実が記載された一連の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票(登記簿上の住所・本籍地の記載があるもの)
  • 法定相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印した印鑑のもの)
  • 固定資産課税明細書(登記申請日の属する年度のもの)
  • 新たに不動産の所有者となる相続人の住民票
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図
  • ※委任状(代理人による申請の場合)

 

法定相続分に基づき相続する場合

  • 被相続人の出生から死亡までの事実が記載された一連の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票(登記簿上の住所・本籍地の記載があるもの)
  • 法定相続人の戸籍謄本
  • 固定資産課税明細書(登記申請日の属する年度のもの)
  • 法定相続人の住民票
  • 登記申請書
  • 相続関係説明図
  • ※委任状(代理人による申請の場合)

 

遺言書に基づき相続する場合

  • 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれか
  • 被相続人の出生から死亡までの事実が記載された一連の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票か戸籍の附票(登記簿上の住所・本籍地の記載があるもの)
  • 新たに所有者となる法定相続人の戸籍謄本
  • 固定資産課税証明書
  • 新たに所有者となる法定相続人の住民票
  • 登記申請書
  • 相続関係説明図
  • ※委任状(代理人による申請の場合)

 

一般的な宅地などと異なり、山林は境界線を確認することが困難な不動産です。相続登記を行う前にきちんと測量を行い、被相続人が所有していた山林の範囲を明確にしておきましょう。

 

森林の土地の所有者届出制度

法に定められた「地域森林計画対象森林」に該当する土地を取得した場合は、「森林の土地の所有者届出書」を提出する必要があります。札幌市での問い合わせ先は「札幌市建設局みどりの管理課自然緑地係」ですので、届出が必要な土地かどうかをあらかじめ確認しましょう。

 

必要書類

  • 森林の土地の所有者届出書森林の土地の所有者届出書
  • 権利を有していることの証明書類(登記事項証明書や土地売買契約書など)
  • 土地の位置がわかる図面(登記所備付地図や公図、インターネット上の無償提供地図に土地の位置を記したものなど)

 

提出者

  • 個人か法人の別を問わず、相続ほかの事由により森林を取得した者

 

期限

  • 当該森林の所有者となった日から90日以内

 

申請は無料で、窓口もしくは郵送での申請が可能です。札幌市の場合は「建設局みどりの推進部みどりの管理課」が担当部署となりますので、詳細については問い合わせてみるといいでしょう。

 

山林を相続した場合の問題点

山林は一般的な宅地などと異なる性質を持っているため、次に挙げるような課題が生じることがあります。

 

当該山林が相続登記されていなかった

山林を相続してみると、何世代も前の親族名義のままになっていることがよくあります。2024年4月1日から相続登記が義務化されましたが、それまでは任意扱いであったことから、所有者が変わっても名義変更をせずそのままにしてきたことが考えられます。

 

このようなケースにおける名義変更では、すべての相続人による同意が必要になります。その場合、戸籍を遡って相続人を辿ることになるため、手間と時間がかかってくるでしょう。

 

自分より先の世代に対して同じ負担をかけないよう、新たに山林の所有者となった相続人については、必ず相続登記を行い所有権を明確にしておくことが大切です。

 

土地活用としての困難が残る

住宅街や農村などがある山林であれば、生活に必要な施設や交通の便などが整っていることから、土地活用の可能性を見出すことができそうです。しかし、開発されていない山林の場合、土地活用には困難が付いてまわるかもしれません

 

山林の活用方法としては、たとえば次のようなものが挙げられます。

 

  • 立木の売却
  • 太陽光発電設備の設置
  • きのこなどの栽培
  • アウトドア(キャンプ場など)施設の整備

 

山林は簡単に売却できない

山林の活用法が見出せないことから、手放したいと考える人も少なくありません。しかし、宅地として開発される可能性のある土地ではない場合、当該山林の購入希望者が現れにくい実情もあります。

 

特に、山林は土地としての境界線を明確にすることが難しい不動産です。売却を検討している場合は、測量を行い境界線をはっきりさせたうえで、次のような方法を採ることも考えてみましょう。

 

  • 不動産会社による山林売買サイトの利用
  • 山林バンクの利用
  • 山林組合への相談 など

 

山林を相続したくない(いらない)場合

遺産に山林が含まれているが、相続したくない・いらない場合は、次のような方法を採ることも検討してみましょう。

 

相続放棄

山林をどうしても相続したくないときの選択肢として、相続放棄を挙げることができます。ただし、相続放棄をすると始めから相続人ではなかったことになるため、山林以外のすべての財産についても相続する権利を失います。この点について十分理解したうえで、相続放棄という方法を採ることも1つの選択です。

 

山林の売却・無償譲渡など

山林を売却したり無償譲渡したりするなどして、所有権を第三者に移行させる方法もあります。当該山林に利用価値がある場合は売却するのも良い選択肢で、不動産業者や山林買取業者が力になってくれるでしょう。寄附や無償譲渡する場合は、北海道のNPO法人による森林バンクやマッチングサービスの利用を検討してみてもいいかもしれません。

 

相続土地国庫帰属制度の利用

土地の所有権を手放して国庫に帰属させる制度を「相続土地国庫帰属制度」といいます。同制度を利用すれば、相続放棄のようにすべての財産を放棄する必要がなく、いらない山林だけを手放すことができます。

 

ただし、相続土地国庫帰属制度の利用に際しては、法務大臣(法務局)による審査を受ける必要があります。また、審査手数料として土地一筆あたり14,000円を納付し、土地の国庫帰属が承認された場合は10年分の土地管理費相当額を負担金として支払うことになります。区分が「森林」の場合、負担金は以下の金額となりますが、決して少なくない金額ですのでよく検討して制度利用することが大切です。

【相続土地国庫帰属制度】森林の場合の負担金額

※法務省資料より引用

 

まとめ

山林を相続した場合、自分にとってメリットとなるのかどうかよく確認し、土地活用法を模索するか所有権を手放すか決めることが大切です。

 

資産価値のある山林であれば利益をもたらしてくれることも考えられますが、測量や相続登記といった手続きをクリアしなければいけませんので、大きな手間と労力がかかることになります。所有権を手放すにしても、どのような形を採るべきかよく検討する必要があるでしょう。

 

当社では、相続全般に関するご相談・ご依頼を数多く承っており、相続登記の必要な不動産相続については司法書士と連携しながらお客様をしっかりとサポートしています初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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