相続した不動産は、売却する場合はもちろん、遺産分割を円滑に進めるためにも正確な査定が不可欠です。査定方法を理解し、複数の不動産会社から客観的な評価を得ることで、相続人間の不公平感や売却トラブルを防ぐことができます。相続不動産は感情が絡みやすいため、数値に基づいた判断が重要です。
相続不動産において「査定」が重要な理由
相続財産に不動産が含まれる場合、次のような場面で査定が必要になります。
- 売却するか保有するかを判断するとき
- 誰が不動産を取得するか決めるとき
- 遺産分割協議で公平性を保ちたいとき
不動産は現金と異なり価値が分かりにくいため、査定を行わないまま話し合いを進めると紛争の原因になりやすい点に注意が必要です。
あらかじめ、相続不動産の主な査定方法を知っておくことが大切です。
机上査定(簡易査定)
短時間で相場感を把握できる査定方法です。住所・面積・築年数などの情報を基に、過去の成約事例や市場データから算出されます。現地確認を行わないため精度は限定的ですが、相続初期の目安として有効です。
訪問査定(現地査定)
実際の売却価格に近い査定が分かる方法です。建物の劣化状況、日当たり、接道条件、周辺環境などを直接確認します。売却や代償分割を前提とする場合は、訪問査定を基準にするのが一般的です。
査定を複数の不動産会社に依頼すべき理由
相続した不動産の査定は、できるだけ複数の不動産会社に依頼しましょう。その理由として以下を挙げることができます。
相場から大きく外れた査定に気づける
一社のみでは、その査定額が妥当か判断できません。複数社を比較することで、極端に高い・低い評価を見抜くことができます。
業者ごとの販売戦略や考え方が分かる
同じ物件でも、販売方法やターゲット層の想定は会社ごとに異なります。査定額の根拠を聞くことで、信頼できる業者を見極められます。
相続人への説明資料として使いやすい
複数査定の結果を示すことで、「一社の主観ではない」客観的資料として遺産分割協議を進めやすくなります。
高すぎる査定額には注意が必要
ときに、高額な査定額を提示してくる不動産会社がありますが、そのような場合は以下の可能性を踏まえて慎重に検討することが大事です。
売れ残りや値下げの原因になりやすい
相場より高すぎる価格では買主が付きにくく、結果として長期間売れ残り、最終的に大幅な値下げが必要になることがあります。
媒介契約目的の高値提示の可能性がある
一部の業者では、媒介契約を取るために実現性の低い高額査定を提示するケースもあるため、査定額の根拠確認が重要です。
相続不動産の査定と遺産分割の関係
遺産分割では不動産評価が前提になります。不動産の価値が不明確だと公平な分割ができないからです。不動産の評価額が分からなければ、現金や預貯金とのバランスが取れず、相続人の間で不満が生じやすくなります。
査定額を使った遺産分割の代表例
査定額にもとづき、次の方法で遺産分割することができます。
換価分割
不動産を売却し、その売却代金を法定相続分や合意内容に応じて分配します。公平性が高く、相続トラブルが起きにくい方法です。
代償分割
特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に査定額を基準とした代償金を支払います。査定の正確性が特に重要になります。
共有名義による分割
複数人で共有する方法ですが、将来の売却や管理で意見が対立しやすく、二次相続時に問題が拡大するリスクがあります。
遺産分割トラブルを防ぐためのポイント
遺産分割トラブルを防ぐためには、査定を一社だけに任せないことが大切です。一社査定では偏りが生じやすいですが、複数社の評価を基準に話し合うことで納得感が高まります。
また、どの査定方法を用いたのかを明確にしないと、相続人間で評価の信頼性に疑問が生じる可能性があります。査定結果は、口頭説明だけでなく、書面やPDFで共有することで、誤解や感情的対立を防ぎやすくなるでしょう。
話し合いを進める際は、感覚的にではなく、客観的な査定額を基準に協議を進めることが円満解決につながります。
まとめ
相続不動産の査定は、売却のためだけでなく、遺産分割を円滑に進めるための重要な基盤です。査定方法を理解し、複数の評価を基に判断することで、相続人間のトラブルや売却失敗を防ぐことができます。
相続不動産の扱いに迷った場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。










