相続人が行方不明の場合、そのままでは遺産分割協議はできません。実務上は「不在者財産管理人の選任」または「失踪宣告」によって手続きを進めることになりますが、相続税の期限などを考えると、不在者財産管理人を利用するケースが一般的です。
本記事では、相続人が行方不明になった場合の具体的な対処法を整理して解説します。
相続人が行方不明だと遺産分割はできない
遺言書がない場合、相続は法定相続人全員による遺産分割協議で行います。そのため、相続人のうち1人でも行方不明や連絡不能の場合、遺産分割協議は無効となり、名義変更や売却などの手続きも進められません。
相続人が行方不明の場合の主な対処法は2つ
相続人が行方不明のときは、次のいずれかの方法で対応します。
- 不在者財産管理人を選任する
- 失踪宣告を行う
それぞれの特徴を見ていきましょう。
不在者財産管理人を選任する方法
不在者財産管理人とは、行方不明となっている相続人に代わって財産を管理する人です。家庭裁判所に申立てを行い、利害関係のない第三者や弁護士などが選任されるのが一般的です。
不在者財産管理人は遺産分割協議に参加できるか
原則として、不在者財産管理人は「管理」が目的のため、遺産分割協議には参加できません。ただし、家庭裁判所から「権限外行為の許可」を得れば、遺産分割協議に参加し、署名・押印も可能になります。
実務上は不在者財産管理人が選ばれやすい
失踪宣告と比べて手続きが早く、相続税の申告期限(10か月)にも対応しやすいため、実務では不在者財産管理人の選任が現実的な選択とされています。
失踪宣告による対応方法
失踪宣言とは、一定期間にわたり生死不明の状態が続いた場合、家庭裁判所の審判によって法律上「死亡したもの」とみなす制度です。
- 一般失踪:7年以上生死不明
- 特別失踪(災害など):1年以上生死不明
失踪宣告の注意点
失踪宣告は申立てから認められるまで1年以上かかることも多く、その間は相続手続きが進められません。そのため、相続税申告期限に間に合わないリスクが高い点に注意が必要です。
不在者財産管理人の選任と失踪宣言のどちらを選ぶ?
早く相続手続きを進めたい場合は「不在者財産管理人」の選任を、相続人が長期にわたり生死不明で将来的に戻る可能性が低い場合は「失踪宣告」を選択する傾向があります。
多くのケースでは、まず不在者財産管理人を選任し、必要に応じて失踪宣告を検討する流れになるようです。
まとめ
相続人が行方不明の場合、そのままでは遺産分割協議は行えません。現実的な対応策としては、家庭裁判所で不在者財産管理人を選任するか、長期間にわたり相続人が不明の場合は失踪宣告を検討する、という方法があります。
相続税の期限や手続きの迅速性を考慮すると、不在者財産管理人の活用が実務上は最も多い選択肢です。早めに専門家へ相談し、適切な手続きを進めることが、相続トラブルを防ぐ鍵となるでしょう。










