贈与契約書とは

贈与契約書とは、贈与者(あげる側)と受贈者(もらう側)が財産移転に合意したことを証明する書面です。

 

贈与は口約束でも成立しますが、相続発生後に次のようなトラブルが起こりやすいので十分注意しましょう。

  • 「本当に生前贈与だったのか?」と他の相続人から疑われる
  • 実際には貸付だったのか贈与だったのか争いになる
  • 贈与時期が曖昧で贈与税や相続税の計算に影響が出る

こうしたリスクを防ぐため、第三者が見ても明確な贈与契約書の作成が必須となります。

 

贈与契約の法的基礎

贈与は契約ですから、贈与者と受贈者双方の合意が不可欠です。贈与は、贈与者の「あげる」という意思」と「受贈者のもらう意思」が一致して初めて成立しますので、受贈者が承諾しない限り、贈与契約は成立しません。

 

書面契約は取り消し不可

贈与は口約束でも可能ですが、証拠が残らず法的拘束力も伴いませんので、実行前であれば取り消すことも可能です。

 

一方、贈与契約書を作成することによって法的拘束力が生じ、原則取り消しができないことになります。

 

口約束と書面化ではどのような違いが起こるか、十分理解したうえで契約に臨みましょう。

 

贈与契約書の書き方と記載事項

贈与契約書に決まった書式はありませんが、次の5要素(いつ・誰に・何を・どんな条件で・どのように贈与するか) は絶対に記載しなければなりません。

 

贈与契約書に必須の記載事項

  • 贈与日(いつ)
  • 贈与者・受贈者の氏名・住所(誰に)
  • 贈与財産の内容(何を)
    • 不動産なら所在地・地番・家屋番号
    • 金銭なら金額
  • 贈与条件(どんな条件で)
  • 引き渡し方法・時期(どのように)

この5つが欠けていると、契約として無効扱いになる可能性があります。

 

贈与契約書例(金銭)

簡易な例ですが、基本的に贈与契約書は以下のような形で作成されます。

 


贈 与 契 約 書

 

贈与者 甲

受贈者 乙(住所

 

甲は乙に対し、次のとおり金銭を贈与することを約し、乙はこれを承諾した。

 

1条(贈与の目的物)

甲は乙に対し、金100万円を贈与する。

 

2条(引渡し時期)

甲は、本契約締結日から7日以内に、前条の金銭を乙名義の銀行口座

(○○銀行○○支店 普通 ○○○○○○○)へ振り込んで引き渡す。

 

3条(撤回の禁止)

本契約は書面による贈与契約であり、民法550条により撤回することができない。

 

4条(費用負担)

本契約に要する印紙その他の諸費用は甲の負担とする。

 

本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙それぞれ署名押印のうえ1通ずつ保有する。

 

令和○年○月○日

 

(贈与者)甲 住所・氏名

      印

 

(受贈者)乙 住所・氏名

      印


 

贈与契約書作成時の注意点

贈与契約書を作成するうえで、以下の点に注意しましょう。

 

不動産贈与は必ず200円の収入印紙が必要

不動産贈与を行うための贈与契約書は課税文書に該当します。このため、贈与契約書には200円の印紙を貼る義務があります。また、記載する住所は「住居住所」ではなく登記記録にある「所在」「地番」 でなければなりません。

 

実印での押印を推奨

契約の信頼性を高めるため、贈与者・受贈者ともに印鑑証明書を用意し、押印には実印を用いることが望ましいといえます。

 

未成年への贈与がある場合

たとえば受贈者が「意思能力がない乳児」である場合、親権者が代理で署名押印することができます。

 

一方、受贈者が「意思能力がある未成年」である場合、未成年単独での贈与契約も可能とされています。

 

契約書は2通作り双方で保管

贈与契約書は公証役場で作成するようにしましょう。公証人の立ち合い、確定日付印の押印がありますので、契約そのものの信頼性と有効性が高まります。

 

贈与契約書の活用は「節税」「相続トラブル回避」に有効

贈与契約書を作る最大の理由は、以下の2つにあります。

  • 税務トラブル回避
  • 相続トラブル回避

 

【1】税務トラブル回避

贈与については、税務署が「本当に贈与だったのか?」を疑うこともあります。たとえば定期贈与と判断された場合は課税される可能性も否定できません。また、贈与者が亡くなる前3年以内の生前贈与については、生前贈与加算の対象となることもあります。

 

贈与契約書を作成しておけば、贈与の事実や時期を客観的に証明できるため大いに役に立つことでしょう。

 

【2】相続トラブル回避

贈与について、他の相続人から「あの人は勝手に財産をもらった」と疑われるケースもあります。贈与者の認知症発症後に贈与が行われたのではないか、特別受益の扱いはどうだったのかなど、揉める可能性も出てくるでしょう。

 

贈与契約書を残しておけば贈与の詳細が明確になりますので、遺産分割での問題化を回避できる有用な材料となるはずです。

 

まとめ

贈与契約は口約束でも成立しますが、税務・相続両面で重大なトラブルが発生する可能性が高いため、贈与契約書の作成は必須です。特に、不動産贈与や多額の金銭贈与では、契約書の有無が「相続争い」に発展するどうかを左右します。

 

争いを回避し安心できる贈与を実現するためには、専門家に相談しながら、いつ・誰に・何を・どのように贈与したかを明確に書面で残すことが重要になってくるでしょう。

 

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